「おれがあいつであいつがおれで」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS DJ OZMA

2011.12.21(WED) @Zepp Tokyo

最終回に迎え撃つ、最強にして最大の敵!
有終の美を飾る、綾小路 翔とDJ OZMA奇跡のセッション!?

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第30弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜おれがあいつであいつがおれで〜」のゲストはDJ OZMA!!5月より半年強に渡り、全29組の猛者たちを相手にしてきたこのシリーズもついに最終決戦!己の敵は己自身とばかりに迎え撃つ、最強にして最大の相手との戦いはまさに最後の聖戦。「極東ロックンロール・ハイスクール」開校前、「シリーズが終わる時、"氣志團が存在する理由はあるのか?"に対する答えが出ると思ってる」と話してた團長。「勝たなきゃ越せない年がある。」とは、この対バンに付けられたキャッチフレーズだが、これは決して負けることが許されない、生きるか死ぬかの真剣勝負!12月7日、氣志團がシングル「MY WAY」をリリースした際、同日発売で3年間の沈黙をやぶってシングル「珍魂歌」をぶつけてきたDJ OZMA。「俺が氣志團の止めを刺すことに決めた。俺がセールスで勝利したら、氣志團には潔く解散してもらう!」と一方的に宣戦布告し、いよいよ迎えた直接対決。3年ぶりの登場となるDJ OZMAはどんなステージを見せるのか?あの底抜けの明るさやテンションに氣志團はどう対抗するのか? つうか、この対バンは物理的に可能なのか?と、事前から色んな憶測が飛び交ったこの夜。世紀の一戦を見逃すわけにはいかないと、詰め掛けた双方のファンで、Zepp Tokyoは超満員御礼!開演時間を過ぎて、ステージ上には総合司会の茂木淳一が登場。今シリーズの趣旨を改めて説明し、とうとう前代未聞の歴史的な一戦が幕を開ける!!

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1曲目「I ♡ PARTY PEOPLE」が場内に響き、ステージの幕がゆっくり開く。ステージ中央には、08年12月の引退以来、3年ぶりに見るDJ OZMA、夜王"KING"純一、PANCHOの姿。真っ白なスーツで揃えた3人の雄姿に、会場中から悲鳴に近い歓声が上がり、先攻・DJ OZMAのパーティーがスタート!上半身裸のOZ-MATE(男性ダンサー)を従えた賑やかな「HAPPY SONG」で一気にアガッた観客は、OZ-MAX(女性ダンサー)も加わえて披露された「超!」で両手を広げて腰を振る!さらにイントロが鳴った瞬間、突き上げる歓声が上がったのは、代表曲「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」!!OZMAの"肩を組め!"の煽りに会場中が自然と肩を組み、♪Na-Na-NaNaNaと大合唱するシーンはあまりにハッピーで、ちょっぴり感動。ラストはボディスーツ姿のダンサーたちが、しっかりテイクオフ!この前半戦の強烈な盛り上がりは、シリーズでも指折り。やはりDJ OZMA、恐るべし!!"みんな元気?DJ OZMAファミリーです。オフィシャルでは3年ぶりのパーティーです。やっぱ人前で楽しいことをするのは気持ちいいね。陰のうの裏からゾクッとするよ"と軽薄なノリと下品なMCで笑わせたOZMA。"好きに生きさせてもらうぜ!"と始まった「MY WAY」に続いて、OZMAらが一旦去ったステージに登場したのは、華やかな舞台とは不釣合いの冴えない男。「え、誰?」と会場がざわつく中、ぼそぼそ喋り出したその男。"みなさんごぶさたしてます。私、2代目DJ OZMAでございます"の挨拶に会場中がズッコける(笑)。さらに"私、2代目DJ OZMAは本日をもちまして引退させていただきます"と唐突な発表で、2代目DJ OZMAは引退。全員が呆気に取られる中、それを掻き消すようなけたたましいサイレンが鳴り、マスクをかぶったCHOLESTEを中心に下着姿のダンサーがキレのあるダンスで魅せた「Spiderman」で中盤戦がスタート!「KINGとPANCHOの下着のない音楽会」など、ヒドい悪ふざけもOZMAならでは(笑)。ゼブラ柄のスーツに着替えて再登場したOZMA。この季節にピッタリの「白い童話」では、ミニスカサンタを従えてクリスマスを演出。「One Night」ではKINGの美声やPANCHOの鋭いラップも魅せ、この日のためだけに仕上げてきた新曲「MATSURI」でガッツリアゲる!バズーカでフロアにおしぼりを巻き、タオル&おしぼり回しでフロアが沸いた「純情〜スンジョン〜」はOZMAの男っぽさやKINGの色気、PANCHOの全力パフォーマンスなど、それぞれの魅力も爆発。曲が終わり、OZMAは激しいダンスに肩で息をしながら"言っちゃ悪いが、この勝負はDJ OZMAがいただいた!なぜならこの後、氣志團のフロントマン2人はなにも出来ない。アイツら、なぜか足腰が立たないはず!!"と根拠のない勝利宣言で氣志團を挑発。ちきしょう、團長と光に何しやがった!?(笑)その後も毒舌MCで悪役を演じ、氣志團ファンを敵に回すOZMAだったが、"ここからはひとつになろうぜ"と始まったラスト「Together」では、会場中を最高にピースフルな空気で包み込んでフィニッシュ。30人近くに及ぶOZMAファミリー勢揃いで、♪バイバイバイババイと笑顔で手を振る中、ステージは幕を閉じた……が、これで終わるわけがないのがDJ OZMA!幕が再度ゆっくり開き始めると、センターに立つOZMAの独唱で始まったのは最新シングル曲「珍魂歌」。♪関係ないから!と曲がバカアッパーに展開すると、ステージに登場した全員が裸にうちわ姿!さらにはPV同様、人気女性アイドルたちに扮した女性ダンサーも登場して盛り上げ、ステージ上は完全な無法地帯。明るさやバカバカしさに徹底したOZMAのステージをゲラゲラ笑いながら見てると、2006年に"低迷した日本を元気にしたい"と「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」でデビューしたDJ OZMAが2011年の終わりに再度姿を表したのは必然だった気がした。最高にバカバカしいエンディングだが、そこには「今こそ、日本を元気に」という、今、DJ OZMAが一番伝えたかったメッセージも込められていた……気がする。

DJ OZMAが怒涛のステージを終えると、今シリーズで全ての転換時にBGMとして氣志團と対戦相手のMEGAMIXを作成してきた、ミッツィー申し訳がDJで盛り上げる。さらにOZMA、氣志團の楽屋中継などで長い転換時間も楽しませ、ついに後攻・氣志團の登場。SE「BE MY BABY」が流れる中、シリーズを締めくくる、集大成的なGIGに期待する観客の大きな歓声に迎えられてステージに立つメンバー。OZMAの予想とは裏腹に、團長と光がどっしりと腰を据えて構えると、ランマのギターで1曲目「房総スカイライン・ファントム」がスタート。一人ひとりがいつも以上に丁寧に気持ちを込めて演奏してるように見えたのは気のせいか、「キラキラ!」ではこの夜で終わってしまう「極東ロックンロール・ハイスクール」のスクールライフがあまりに名残り惜しく、<宝石みたいな日々は終わらない>の歌詞がやたらと響く。"極東ロックンロール・ハイスクールもついに最終回。ここに来たからには、俺ら以外のことを考えんじゃねぇぞ!"と團長。"ちょっと早いけど、メリークリスマス"と始まった曲は、「Secret Love Story」。團長が雰囲気たっぷりなボーカルを聴かせ、星条旗ランの光、カラフルな衣装に身を包む微熱DANJI&女性ダンサーが華麗なダンスで盛り上げる中、ダブルネックのギターでプレイを魅せるトミーやランマの柔らかい歌声と、見どころ盛りだくさん!曲の終盤には会場中に雪が舞う演出で魅了。氣志團からのクリスマスプレゼントに、観客はうっとりとした笑顔を浮かべていた。MCでは、"10年間、メイジャーでやれると思ってたメンバーは?"の團長の問いに真っ先に手を挙げたランマが"氣志團が好きだから"と答え、最後まで手を挙げなかったトミーは"来年消えるくらいの気持ちで、今を精一杯生きた結果だから"と答えるなど、メンバーそれぞれが性格の出たコメントで10周年を振り返る。"10年やってみるもんだな"と呟く團長は、"俺たち、もっともっとビッグになって帰ってきて、お前らに恩返しするから"とたっぷり愛情込めた「愛 羅 武 勇」を歌い上げる。続く「高校与太郎組曲 〜喧嘩ボンバー〜」ではセンターでスポットライトを浴びる松のベースプレイ、演奏陣のクールな演奏に魅了されていると、ひと二人分はある巨大團長と巨大光が両袖から登場。"さっそくだけど、ビッグになって帰って来ました!"と笑わせる、対バンシリーズ第1弾でニューロティカに影響された演出や、対バン相手や観客からの評判がすこぶる良かったため定番曲となった「オールナイトロング」など、このシリーズがあったからこそ生まれたストーリーや演出で、異常に完成度の高い現在の氣志團のGIG。今シリーズだけでなく、この10年間、様々なドラマや感動を生み続けた「One Night Carnival」は、この日もGIGのクライマックスを生み、会場中の大合唱を受けた團長は"10年経っても20年経っても、変わらずお前らを愛し続けるぜ!"とキッシーズに力強く宣言した。ラストを締めくくったのは、最新シングル曲「MY WAY」。特攻服を脱ぎ捨てサラシ姿になると、観客の声援をたっぷり受けながら、ランマのギターに合わせて歌い始める團長。<私には愛する歌があるから>と、10年目にして改めて氣志團に生きる覚悟を決めるように歌う團長、歌詞を口ずさみながらたっぷり気持ちを込めて演奏する楽器隊。演奏を終えてステージ中央に並ぶ6人は、達成感や満足感に満ちた、なんとも言えない幸福そうな表情を浮かべていた。

氣志團がGIGを終えると、茂木淳一が再度登場。"この勝負、決着は着いたのかな?もっと見たいだろ?"と観客を煽ると、"DJ OZMA&氣志團、出てこいやー!"と双方を呼び込む。すると、ステージに登場したのは、團長&光以外の氣志團メンバーとOZMA以外のOZMAファミリー。メインボーカル不在のまま、氣志團の生演奏で始まったセッション曲は、DJ OZMA「マッチ棒」。KINGがボーカルを取り歌い始めると、ステージ袖に白スーツ姿のDJ OZMAが登場。さらにステージ上方に團長が登場!團長とOZMAが並んで歌うというあり得ない光景に、観客が素直に驚いたり不審がったりする中、團長が"OZMAさんではないですよね?"と追求。サングラスを取ると、OZMAの正体はさっき引退したばかりの2代目(笑)。"OZMAさんは帰りました"と説明するKINGに、"なんでそういうことするかなぁ……"と團長が不満を漏らしていると、"いつまで茶番を続けるんだ!僕は知ってる。OZMAは帰ってなんかいない!DJ OZMAは綾小路 翔なんだ!!"と微熱DANJI・二階堂腱ヂが乱入!スタッフに羽交い絞めにされながらも"KINGは輝矢くん、PANCHOは早乙女 光だ!"と叫びながらステージから消え、"あの子は何を言ってるんでしょう?"とたしなめられる腱ヂ。DJ OZMAは不在ながら役者が揃ったところで、"この曲、歌ってみたかったんだ"と團長の言葉で始まった曲は、氣志團の生演奏による「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」!氣志團、OZMAファミリー勢ぞろいでの思い切り賑やかで派手やかなエンディングに、会場中が振り付けを合わせて大合唱!!30本に及ぶ対バンツアーのラストに相応しい最高潮の盛り上がりの中、ついに「極東ロックンロール・ハイスクール」が閉校した。終演後、様々な対バンとたくさんの奇跡を生み、毎日が刺激と感動の連続だったスクールライフを振り返り、少しおセンチになってしまった僕だったが。氣志團がこのシリーズで蓄えた強靭な肉体と精神力、歌と演奏力をもって挑む、2012年の結成15周年&デビュー10周年の"完璧年間行事(パーフェクトイヤー)"に過剰な期待を馳せて、「極東ロックンロール・ハイスクール」を卒業したい。そう、宝石みたいな日々はまだ終わらないのだ。

「大きなフィートの木の下で」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS 10-FEET

2011.12.14(WED) @LIQUIDROOM

京都最強ミクスチャーバンドと、熱く激しく愉快な夜。
シリーズ史上、最もデタラメなエンディングに爆笑&困惑!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第29弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜大きなフィートの木の下で〜」のゲストは10-FEET!12月も半ばに差し掛かり、5月より行われてきたこのシリーズも残す所、あと2本。DJ OZMAとの最終決戦を目前に、セミファイナルの対バン相手に選ばれたのは、京都が誇る最強ミクスチャーバンド!!音楽性はもちろん、ライブバンドとしての定評も異常に高い彼ら。毎年夏には地元・京都で自身主催のロックフェス「京都大作戦」を開催し、ライブ最強の猛者たちと4万人の観客を相手に大トリを飾り続けるなど、喧嘩の強さも申し分無し!個人的にはパンクロックを根っこに持つ音楽的ルーツや世代感、熱い男気とユーモアを併せ持つ人柄など、氣志團と10-FEETにどこか重なる部分を感じて、かなり楽しみにしていたこの対バン。恵比寿リキッドルームは当然、満員御礼。Tシャツ姿のキッズが目立つフロアは、開演前から熱気立つ!果たして、氣志團は10-FEETに潰されることなく、無事、最終決戦に辿りつくことが出来るのか!?開演時間を過ぎた頃、客電が消えてサブステージにライトが当たる。「リキッドルームなう。10-FEETうぃる……」と携帯でTwitterしながら登場したのは、星屑輝矢演じる、ロリータファッションのしーちゃん。そう、これまでレポートで触れることは無かったが全29本、すべてのGIGで前説と中説の役割を果たすコントを演じ切ったのが、「極東ロックンロール・ハイスクール」の影の立て役者・微熱DANJI。対バンごとに趣向を変えて、どんな客層でもしっかり盛り上げたしーちゃん、團長コスプレのダンくん(錦織純平)、光ちゃん命のキコちゃん(二階堂腱ヂ)の3人には改めて拍手!よく頑張った、感動した!!手作りTAKUMAくん人形で心を掴み、観客を巻き込んでの「極東ロックンロール・ハイスクール、開校ぉ〜!」のかけ声で、いよいよ対バンシリーズのセミファイナルが幕を開ける!!

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突き上げる歓声の中、ステージに登場した3人。"おっしゃ行こか、騒ごか!"とTAKUMAが放ち、先攻・10-FEETのライブがスタート!会場中のVIBESを直結すべく、始まった曲は「VIBES BY VIBES」。KOUICHIの激しいビートとへヴィなサウンドに観客がモッシュ&ダイブで応え、フロアは早くもグッシャグシャ!間髪入れずに始まった曲は、彼らの代表曲「RIVER」。ユッサユッサと揺れ、観客の大合唱が響く会場の盛り上がりは、すでに最高!!TAKUMAが"ブッ飛ばして行くからな、気ぃ張っていけよ"と一声飛ばし、「hammer ska」が演奏される頃には完全に沸点越え。ヤバい、10-FEETは本気で氣志團を殺りに来てる!狭いステージで華麗に踊り、叩きつけるようなベースプレイで魅せるNAOKI。MCでは"NAOKI人形も作ってもらえるまで、一緒にやるしかないな"とTAKUMAに振られ、"ホンマやで!めっちゃスネたわ!!"と本気で嫉妬(笑)。中盤戦ではメロディアスな「under the umber shine」で会場の雰囲気を変え、ギタースクラッチと野太いベースで始まった「2%」で再度フロアをアゲる。真正直で感情むき出しにした10-FEETの歌や演奏にはハッとさせられることが本当に多く、その度に子供みたいに思い切り笑ったり泣いたりしてしまう。"氣志團との対バンやから学ラン買いに行こうと思ったんやけど、ごっつ高くて"なんてセコいMCや、"何か歌ってや"のTAKUMAのむちゃ振りに、スナックのカラオケばりのエコーを利かせて「One Night Carnival」を披露したKOUICHIと、近所の兄ちゃん的な身近さもオモロ(笑)。後半戦では、"闘う時が来たんじゃあ〜〜!"と叫ぶと、鋭く激しい「1sec.」でフロアを掻き回し、ズッシリ重いサウンドと"その向こうへ"のリフレインが心に残る最新曲「その向こうへ」で聴かせた彼ら。"俺らも結成15周年。当時の仲間は8割バンド辞めてるけど、サラリーマンやりながらライブ来てくれたり、色んな奴らがおって、みんなカッコえぇ"とTAKUMAが熱く語り、"ハードコアやってたテッチンは、今はパン屋で「わくわく動物アニマルパン」ってパンを作ってて……"と笑わせながら、"俺らもいつまで続くか分からんから、限られた時間やと思って、一回一回必死にやってます"と、<いつまで歩けば辿り着くの>と始まる「風」を力強く歌い上げる。"俺らはまだ、意地張ってバンドやってます"と語ったTAKUMAが、氣志團に捧げるように歌ったこの曲が意地張って文章書いてる自分に痛いほど響き、涙が溢れてしまった僕。ラストはTAKUMAの"飛べぇ!"の煽りに会場を大きく揺らした「goes on」で、バンドも観客も燃え尽きる覚悟の盛り上がりを見せてフィニッシュ!TAKUMAはステージを去る前、"氣志團、ありがとう"と何度も何度も繰り返した。

続いて、後攻・氣志團。SE「BE MY BABY」と手拍子に迎えられて、暗転されたステージ上にメンバーが並び、始まった1曲目は「ゴッド・スピード・ユー!」。イントロのカッティングギターに合わせて、スポットライトがステージ右、左にスイッチングすると、ギターを弾く微熱DANJIの3人が代わるがわる登場。最後はランマが登場し、そのまま演奏が始まるという、今シリーズでお馴染みの演出もこの夜で見納め。中説で10-FEETのアーティスト写真から、MCハマー風のコスプレで登場したダンくん(錦織純平)が布袋ペイントのギターを弾く姿は意味分からなすぎて大爆笑!前日、後輩のフジファブリックと全力でぶつかり合った疲れも一切見せず、ド頭から力強く堂々とした演奏とステージングで、GIG初体験のキッズたちを圧倒する氣志團。シリーズで鍛え上げられた鉄板MCを経て、"お前らの溜まってる物、全部ぶちまけていけ!俺たちがちゃんと自宅まで持ち帰ってやるから!!」"と始まった曲は「D×D×D」。へヴィでアッパーな曲調と、ステージ狭しと走りまわり、観客を煽りまくる團長&光がフロアに火を着け、モッシュやタオル回しで会場の熱は急上昇!"満員御礼ありがとうございます。氣志團のモットーは「人のふんどしで相撲を取る」ですので、昔から全くブレておりません!"と、威張れたことじゃない話を堂々と語る團長(笑)。"しかし、10-FEETは全然手ぇ抜いてくれないし……毎日、対バン相手のことを考えたらお腹痛くなって。現在、十二指腸潰瘍でございます"と、対バンシリーズの気苦労をしみじみと語る。対バン相手のCDやDVDは全て購入し、研究し尽くしたという團長。そんな相手への想いや愛情、リスペクトが対バンのファンにも伝わるからこそ、「極東ロックンロール・ハイスクール」にはたくさんの奇跡が生まれたのだろう。GIG終盤戦に差し掛かる頃には、10-FEETへの強い想いや、音楽に対する真剣な姿勢、熱い男気やユーモアなど10-FEETと通ずる部分が伝わったのか、会場中を味方に付けていた氣志團。大歓声で始まった「One Night Carnival」では会場中が振り付けを合わせ、強制するまでもなくサビの大合唱が起こる!調子に乗った團長は、TAKUMAのMCからの引用で、サビのメロディに合わせて「♪わくわく動物アニマルパ〜ン!」の合唱を要求。バカバカしい合唱を全員で揃えると、会場からは大きな拍手と笑い声が起こり、最高に楽しく温かい雰囲気の中、GIGが幕を閉じた。

アンコールの声に再度登場し、10-FEETのメンバーを呼び込んだ氣志團。すると、ステージには横分けにメガネ着用、ジーンズにTシャツをインして大きなリュックを背負った、イジメられっ子スタイルの10-FEETのメンバー3人が登場(笑)。ペットボトルのお茶をすすりながら、どもり口調で話す3人は完全に挙動不審者。会話も成立しない3人に、"29本やってきましたが、この方向性は初めてだなぁ……どうしましょ?"とさすがの團長も困惑。どうにか楽器を持たせ、10-FEET+氣志團で始まった曲は、Hi-STANDARDがカバーしたことでも知られる、「はじめてのチュウ」。前半はTAKUMAが英語で歌い、後半は團長が日本語で歌い、フロアは大盛り上がり。光が扮するコロ助(?)も登場し、このままクライマックスへ……と思いきや、楽器を置いておにぎりをほおばり始めるTAKUMA。大爆笑の観客、苦笑いの團長。結局、GIGは収拾つかないハチャメチャな状況の中で終演(笑)。絶妙な融合と抜群の裏切りが観客を歓喜させ、驚かせたこの夜。予想だにしなかった、こんなデタラメでカオティックなエンディングも、実に「極東ロックンロール・ハイスクール」らしいなと妙に納得――。さて、終わりなど無いと思っていたハイスクールライフも、いよいよDJ OZMAとの最終決戦を残すのみ。たくさんの奇跡と伝説を生んだこのシリーズには一体、どんなエンディングが待っているのか!?次回、いよいよ最終回!

「三人の若者と六人のおじさんのすべて」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS フジファブリック

2011.12.13(TUE) @SHIBUYA-AX

仲良し先輩後輩対決から生まれる、新しい歴史。
これが、氣志團とフジファブリックのすべて!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第28弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜三人の若者と六人のおじさんのすべて〜」のゲストはフジファブリック!氣志團とは事務所でも、以前所属していたレコード会社でも先輩後輩関係に当たるこのバンド。フジファブリックの中心人物だった志村正彦と團長、トミー、ランマが10年以上昔、"東高円寺ロサンゼルスクラブ"でバイト仲間だったことなどから、両バンドの歴史や関係がかなり深いことはファンの間でも知られる話。志村正彦の逝去後、2010年夏に富士急ハイランドで行われた「フジフジ富士Q」に氣志團が出演した際には、"田舎に帰る"と言い出した志村に"じゃ、あの曲をくれ"と團長が迫り、音楽活動を断念することを思い止まらせたと語る「茜色の夕日」を演奏するなど、温かいエピソードも多く残るニ組の関係性。3人でバンドを続ける覚悟を決め、志村の意志を受け継ぎながら、新しいバンドへと進化しようとするフジファブリックに氣志團はどんなエールを送るのか?はたまたエールを送るどころか、こてんぱんに叩きのめされてしまうのか?氣志團、フジファブリックのファンだけでなく、この組み合わせに期待する観客も集まり、満員御礼のSHIBUYA-AX。氣志團とフジファブリックの新しい歴史がここから始まる。

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客電が落ちるとSEも鳴らない静かで薄暗いステージに、メンバーが一人ずつ登場。ゆっくり響くシーケンス音にドラム、ベース、ギターと楽器が一層ずつ重なっていき、ステージ後方から照らす光がメンバーの影を作る。全員がステージに注目する中、山内のシャウトとギターの爆音を合図に始まったのは1曲目「STAR」。突き上げるような歓声でフロアの熱が急騰する中、先攻・フジファブリックのライブがスタート!!イントロに大きな歓声が上がったのは、志村が残したデモから3人で完成まで導き、新生フジファブリックの"旅の始まりの合図"となった「夜明けのBEAT」。胸躍らせる痛快なビートに会場中が体を揺らす!"氣志團の後輩キャラということで、ブレザーなんか着ております。今日はかなり楽しい夜になると思うので、よろしくお願いします"と、丁寧に挨拶したブレザーに黒ぶちメガネ姿の山内。やはり邪魔だったのかメガネを置くと、タフなギターリフで始まり、アグレッシブなリズム隊とシンセサウンドでアゲまくった「Splash!!」が始まる。一音一音が絡み合って生まれる壮大な世界観と真っ直ぐな歌声がまさに地平線のように風景が広げていった「地平線を越えて」へと続く中盤戦は様々なタイプの曲で観客を魅了。メンバーそれぞれの個性が際立つ演奏とたくさんのアイデアが詰まったアレンジには、改めて感服!"氣志團の3人が志村くんのバイト先の先輩で。「超怖そうだな」と思っていたら、志村くんが仲良さそうに話していたから、意外だなって(笑)"と氣志團とのエピソードを語り、"フジフジ富士Qの「茜色の夕陽」と「ダンス2000」が素晴らしくて。何か恩返ししたいと思って、内緒でカバー曲を用意しました"と始まったのは、氣志團の「一番星」!ミディアムな曲調に乗せた山内の柔らかい歌声で始まったと思いきや、中盤でダンサブルなキラキラしたアレンジに転調。楽曲の世界観がどんどん拡がり、開放感溢れる壮大なラストへと繋がる彼ららしいドラマチックな展開に会場中から大きな拍手と歓声が起こる!明るさとほろ苦さを併せ持つ「TEENAGER」で始まった終盤戦はアッパーな曲が続き、山内と加藤だけでなくキーボードの金澤まで前に出て暴れまくった「TAIFU」で圧倒的な盛り上がりを見せる中、フィニッシュ!三人の若者がすべてを出し切ったステージには、氣志團への愛情や熱い想いも強く感じた。

続いては六人のおじさん、後攻・氣志團の登場。雄々しいユッキのドラムに松の地を這うような太いベース、ランマのカッティングにトミーのうなるチョーキングと、フジファブリックにも負けない強烈な個性が際立つバンド・アンサンブルで聴かせるインスト・ナンバー「房総スカイライン・ファントム」〜「ゴッド・スピード・ユー!」でGIGがスタート。対バンシリーズもいよいよ終盤戦だが、疲れを見せるどころか、光のダンスや團長のドラゴンボイスも力強さや切れ味の鋭さを増すばかり!"オメェら、こんなもんじゃねぇだろ!?"と團長が煽りまくった「キラキラ!」では、腹から声出す観客の叫び声と重心の低いサウンドの塊がぶつかり合い、強烈な熱気を生み出す!曲の間奏では豪快なライトハンドを魅せるランマ。ランマのダイナミックさやトミーの繊細さなど、ギタープレイからはイメージと異なる部分が見えるのも面白い。氣志團のダンスチューン「Baby Baby Baby」では痛快な四つ打ちに合わせて、フジファブリックのファンも振り付けを真似ながら体を揺らす。楽しくて熱くて、やがて切なくほろ苦いこの曲は、どこかフジファブリック楽曲にも通ずる部分があるのかも知れない。"可愛いなぁと思ってたヤツらが、いつの間にか怖いヤツらになってた。フジファブリックのことですよ!"と、彼らのライブを観た團長が心中を告白。"忙しい中、「一番星」なんてマニアックな曲をカバーしてくれて……あと、ブレザーのバッヂ!あれ、戸塚水産高校(氣志團ファンクラブ)のロゴですよ、泣けるぜオイ!ホント感謝してます!!"と語ると、両バンドのファンから拍手が起きる。"10年前にリリースしたこの曲には、志村正彦もバックコーラスで参加してるんだぞ!"と、マニアックなエピソードが語られた「One Night Carnival」では、サビの歌詞にフジファブリック「銀河」のフレーズを加えて合唱を強要。本人がいたら苦笑するであろう、「♪タッタッタ タラッタッタタッタ」の大合唱で、氣志團のGIGは大団円を迎えた。

アンコールでは、フジファブリック「夜明けのBEAT」が映画版のOPテーマに抜擢された、「モテキ」の原作者・久保ミツロウ先生描き下ろしによる、コラボTシャツ(秀逸!)を着て登場した氣志團。志村が東高円寺ロサンゼルスクラブでバイトする際に面接したのがトミー店長だったこと、仕事後は毎晩お酒に付き合わせていたこと、フジファブリックをカタカナ表記にしたのは團長の提案だったことなど、知られざるエピソードを次々語り、團長が"アイツは俺のことを何にも語らずに去ったんですね"と苦笑い。フジファブリックのメンバーをステージに呼びこみ、楽しそうに談笑すると"一緒に演奏するのは初めてだよね"と、フジファブリック+氣志團による、フジファブリック「若者のすべて」ならぬ、「三人の若者と六人のおじさんのすべて」のセッションがスタート。若者とおじさんがすべてをさらけ出し、互いの愛とリスペクトを伝え合い、エールを送り合ったこの夜。ここから生まれる両バンドの新しい歴史に期待するばかりだが、去り際に"なんだか2階席とかに、正彦が普通にいそうな気がするね"と呟く團長の笑顔は、やはりちょっとだけ寂しそうだった。

「星と屑達のステージ」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS 藤井フミヤ

2011.12.07(WED) @Zepp Tokyo

憧れ続けた藤井フミヤとの念願の対バン実現!
ロックンロール・プリンスの笑顔に会場中が卒倒!!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第27弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜星と屑たちのステージ〜」のゲストは藤井フミヤ!'83年に伝説のバンド・チェッカーズとしてデビュー、'93年よりソロ活動を始めて18年。30年近くの長きに渡って音楽シーンのトップに君臨してきたロックンロール・プリンスと氣志團の対バンは今回が初めて。しかし、今や氣志團のキメ台詞のようになっている「行こうぜ、ピリオドの向こうへ」の台詞など、歌詞や楽曲、発言など要所でフミヤの影響が見える氣志團。フミヤへの愛情やリスペクトは計り知れないものがあるはずで、念願叶っての対バンにかける想いを考えると、この夜への期待は高まるばかり!また、この日は氣志團がメイジャーデビューから10年目に突入した日(デビュー日は12月6日)であり、デビューから10回目の"127の日"でもある記念すべき日。THE MODS、J、吉川晃司と続いたレジェンドシリーズのとどめを打つような豪華ゲストに氣志團はどう戦うのか!?

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"Welcome,ロックンロール・ハイスクール。よぉこそ、星と屑たちのステージへ!"と粋な挨拶で始まった、先攻・藤井フミヤのステージ。黒のジャケットにタイトなパンツ、サングラスといったラフな不良スタイルながら、気品を感じさせるロックンロール・プリンス。1曲目「ストレイキャット」の軽快なロカビリーに華麗なステップを踏み、甘い歌声を響かせると会場を一発でフミヤ色に染める。髪を撫で付ける仕草、サングラスに手をかける仕草、しなやかなマイクさばきから軽いターンまで、そのいちいちがカッコいい!キャーー、フミヤさまぁ〜〜!!!"ウァクロール!(ロックンロール)"のシャウトで始まった「赤いスイッチ」ではアップテンポな曲調で観客を踊らせ、蹴り上げたマイクスタンドをくるりと回したりと自在に操りながら、軽快なダンスとステップで魅せた「愛の嵐」では、スゥイートな台詞パートが黄色い声援を生む。曲終わりにはドラム台からジャンプし、開脚着地で華麗にフィニッシュ!MCでは、"「星と屑たちのステージ」ということで、どっちが星で屑か分からない気もしますが……この年になって、屑ではない気はするんですけど"と柔らかい笑顔を見せたフミヤ。"藤井フミヤと証明する曲です。みなさんの心に届きますように"と始まった曲は「TRUE LOVE」!アコースティックギターを背負って歌う、その真っ直ぐで伸びやかな歌声は観客一人ひとりの心に刺さり、会場中がステージに釘付け。さらに"Clap your hands!"と観客を煽り、始まったイントロはチェッカーズ時代の名曲「素直にI'm Sorry」には、氣志團ファンも含めた会場中が大興奮!アコギに乗せてゆっくり力強く歌うフミヤ。さらにミディアムな曲調に透き通った歌声や歌の上手さが映えた「Long Road」とチェッカーズの曲が続き、観客の興奮は最高潮!"團長とはちょいちょい会うんです。なんだかんだで2ヶ月に一回くらい会ってるかも"と團長とのエピソードを語るフミヤ。"男ってのは犬みたいなもんで、同じ匂いがするとちゃんと嗅ぎ分けて近づくんだよ"と團長が聞いたら卒倒するようなMCを挟んだところで、終盤戦へ突入。「I・N・G」で始まった終盤戦はアッパーな曲が続き、フロアは大熱狂。<I・N・G 夢見てる 今を生きている>と歌う「I・N・G」のように、スターの風格を持ちながら、夢見る少年のような無邪気さを見せるフミヤ。ダンサブルな「UPSIDE DOWN」では、笑顔で体を揺らす観客と一緒になって空間を楽しみ、ピョンピョンと楽しそうに跳ねながら「恋の気圧」を歌う。歌い終えたフミヤはくるりとターンをキメると"Thank you!"と大きな笑顔を浮かべてフィニッシュ!"次は氣志團です、盛り上がっていこう!"と後輩への気遣いも見せ、大きな拍手に送られステージを去った。

星の後は屑のステージ(んなことはない)、後攻・氣志團のGIGがスタート。爽やかで軽快、洗練されたフミヤのサウンドに比べると、ドッシリ重くて土着的で、泥のついたまんまといった感じの氣志團サウンド(笑)。綺麗なお姉さま方の心を掴むのは多少時間がかかったが、フミヤ楽曲にも通ずる50'Sやロカビリーのテイストを含んだ「キラキラ!」では、フミヤファンも体を揺らし、"カッコいい!"の声が漏れる。曲終わりには前回の吉川晃司戦で生まれたシンバルキックを披露。光の構えたシンバルを團長が見事、ハイキックで射止めてフィニッシュ!今シリーズを何度か見た人は気付いてると思うが、筋少のダメジャンプやももクロの振り付けを取り入れて、どんどん変化している「俺達には土曜日しかない」など、過去の対バンの影響を取り入れ、要所に新しい演出や物語が生まれているのもGIGの見どころ。"全員両手を挙げろ!そのまま横に下ろして、隣の人と肩を組め!どうだ、恥ずかしいだろ?"と、スカパラ戦から影響を受けたMCで場を和ませ、「恋人」では金爆戦で使用した、光の"夜露死苦機械犬(よろしくメカドック)"の演出で爆笑を生む。"昨日でデビュー10周年を迎えました!"と團長の挨拶で始まったMCでは、"10年間、いろんなことがありました。2003年「氣志團万博」の直前にスキャンダルがあったり……"と團長がスキャンダルの歴史を語ると、メンバーが「あの娘とスキャンダル」のフレーズを弾くという身を切ったネタで笑わせた團長。"2005年には51本のツアーを終えて家に帰ったら、家にあった彼女の荷物が綺麗さっぱり無くなっていて……"と大ネタをぶっ込むと、「I Love you,SAYONARA」が演奏されて、会場中が大爆笑!これも氣志團なりのフミヤへの愛情とリスペクトの表現……なのか?GIG終盤、この日もクライマックスとなったのは「One Night Carnival」。だったのだが、曲中の語りで"俺たちはこの曲しかねぇんだよ! 「TRUE LOVE」も「Another Orion」もないんだよ!"と開き直ったあたりから、妙な雰囲気に。観客をサビの合唱に誘うべき箇所で、「Oh,mother〜」と「Mother's Touch」の一節を歌ってしまったばかりに、会場中からは「Mother's Touch」の大合唱が起きてしまい、一番大事な曲が途中から違う曲に変わってしまうというトラブルが発生(笑)。対バンへの過剰な愛やサービス精神が予期せぬトラブルを生むという他の対バンでもありがちだった展開を経て、ラストはこの日に発売された氣志團のシングル曲「MY WAY」でクールにフィニッシュ!メンバーがステージ前方に並んで演奏するシーンでは、いつもより気持ちが前に出た演奏が印象的だった。

"俺ら、木更津という、ちょっと磯臭い「時のK-City」からやって来ました」"とチェッカーズ楽曲に掛けた挨拶で始まったアンコール。フミヤをステージに呼び込むと"喋りが長い!しかも俺をネタにして……"と半笑いで叱るフミヤに、團長と光が速攻で土下座(笑)。土下座する二人に"控えおろぅ!"と冗談を飛ばす楽しそうなフミヤと一緒に演奏したのは、藤井フミヤ+氣志團による、「タイムマシーン」。嬉しそうなテレくさそうな顔で、フミヤとのツインボーカルをキメる團長。ラストはWジャンプでフィニッシュ! <神様お願い タイムマシーンに乗って>と願っても、10年前には想像出来なかったであろう夢の共演に興奮する團長。「極東ロックンロール・ハイスクール」は、「強く願えば、夢は叶う」ってのが、まんざら嘘じゃないってことも教えてくれた。

「さよならは11月のララバイ」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS 吉川晃司

2011.11.29(TUE) @SHIBUYA-AX

極東ロックンロール・ハイスクールに伝説の大番長、光臨!
一撃必殺のハイキックで、巨大なドラの音が響く!!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第26弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜さよならは11月のララバイ〜」のゲストは吉川晃司!デビュー27年、もはや大御所の域に達しながら、今も現役バリバリ!!2011年7月には布袋寅泰と共にCOMPLEXを再結成し、東京ドーム2DAYSを敢行するなど、まさに"KEEP ON KICKIN'!!!!!"な活躍を見せる我らが兄貴がついに「極東ロックンロール・ハイスクール」に光臨!氣志團と吉川の対バンは、'09年のJCBHALL(現・TOKYO DOME CITY HALL)以来2度目。「前回、完膚なきまでにボコボコにされて。どこまで太刀打ち出来るか分からないけど、兄貴の胸を借りるつもりで挑みたい」と、再戦の意気込みを語る團長。2011年末は単独で代々木第ニ体育館公演も控えた吉川のスペシャルなライブをSHIBUYA-AXで見られる贅沢さは、「極東ロックンロール・ハイスクール」に感謝するばかりだが、11月はTHE MODS、Jとレジェンドヒーローとの激戦が続き、もはや満身創痍の氣志團。伝説の大番長を相手にどこまで戦えるか!?吉川ファンだけでなく氣志團ファンも(そして僕も)期待に胸を膨らませる中、いよいよライブの幕が開く。

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興奮に満ちた大歓声が会場を包む中、流れてきたSEは「BE MY BABY」!普段は氣志團のSEとして使われている曲に会場がどよめく中、影マイクを通して響いたのは"俺んとこ来ないか?"の渋い声。その台詞を合図にバンドが「One Night Carnival」のイントロを奏で始め、ステージに登場したのは、なんと長ラン姿の吉川晃司!!人並み外れた長身と格闘家並みの体格で着こなす吉川の長ラン姿は惚れぼれするカッコ良さで、2階から見下ろされているような錯覚さえする失禁もののド迫力は、実在の人物というより、マンガ「魁!!男塾」の大豪院邪鬼とかそんな感じ。伝説の大番長が来たぞぉ〜!!これまで、どの対バン相手もやらなかった仰天の演出にド肝を抜かれる中、先攻・吉川晃司のライブがスタート!モニタに足をかけ、艶っぽい声でワンナイを歌うカッコ良すぎる姿に興奮するフロア、"ヨゥ!"と一言挨拶して、長ランを脱ぎ捨てた吉川。間髪入れずに始まった曲は、COMPLEXの名曲「1990」!耳をつんざくような歓声がフロアから上がり、熱気溢れた会場の温度はさらに急上昇!しかし、ひたいから流れる汗が止まらない、サウナのような会場の熱さは異常。ギラギラ輝くオーラを放ちながら、熱っぽいステージングで魅せる吉川を見ていると、「もしかしてこの熱気、吉川一人から発せられているのでは?」とありえない想像をしてしまう(笑)。間奏ではテレキャスを構え、豪快なギターソロで魅せる吉川。その後も立て続けに披露されるCOMPLEX楽曲に、フロアは天井知らずの盛り上がり!たくましく色気ある歌声や圧倒的な声量、ダイナミックなパフォーマンスにクラクラしてると、ダメ押しとばかりに会場に響いたギターは「恋を止めないで」。<氣志團との夜さ つれ出してあげる>と歌詞を替えて歌う吉川。Don't Stop My Love、もう、恋とロックンロールを止めないで!!曲終わりには驚異の跳躍力でシンバルキックでバシッとキメると、フロアから拍手喝采!!MCでは"このクソつまらん世の中で元気に生きるには、楽しくやってもらわないとね?とにかく楽しい夜にしましょう"と笑顔で語り後半戦へ突入。パワフルな独唱に鳥肌が立った「ジェラシーを微笑みに変えて」では、会場を包む優しく温かい歌声や"I LOVE YOU!"の叫びに男の僕もメロメロ。もう俺、兄貴になら抱かれたい!!(笑)セクシーな歌と悩ましい腰使いで魅せた「LA VIE EN ROSE」で始まった終盤戦。最高のロックンロールと熱い咆哮、ダイナミックなステージングに観客が野生に返って熱狂する中、ラストは打点の高いシンバルキックで豪快に華麗にフィニッシュ!興奮冷めやらぬ会場に"次はヤツらにまかせるぜ"とニヒルな笑顔で告げ、吉川はステージを後にした。

吉川の兄貴からバトンを受けた後攻・氣志團。熱気の残る会場にSE「BE MY BABY」が響き、メンバーがステージに登場……だったのだが、メンバーが揃ってもSEが鳴り止まない。するとSEに合わせ、演奏を始める楽器隊。1曲目は生演奏による、COMPLEX「BE MY BABY」のカバー!本人を前に、初めてこの曲のカバーに挑んだ氣志團。軽快なステップを踏みながら、吉川を匂わせるボーカルスタイルで歌い上げる團長。ギターソロではトミーがフロントに立ち、身長だけでなく、技術で布袋を彷彿とさせる超絶プレイで観客を魅了!意表を付く吉川の演出に対抗した、掟やぶりのCOMPLEXカバーで会場を沸かせた氣志團。曲のラストでは光がシンバルスタンドを持って登場し、團長が吉川にも負けない高い打点のシンバルキックを決め、会場中の拍手と歓声を受ける!團長が"WE ARE 氣志團!"とひと吼えし、GIGをいつもの空気に戻す氣志團。兄貴の凄まじすぎるステージに触発されたのか、闘魂注入されたのか、いつも以上の気合いを感じる氣志團のGIG。「キラキラ!」では吉川を思わせるファイティングポーズからの正拳突きで観客のハートを打ち抜き、全員の腹の底から湧き出たような"ワーーッ!"の声に会場が一体となる。氣志團同様、吉川に闘魂注入された観客の叫び声は、いつも以上の力強さ。対バンによって生まれる、こんな相乗効果も面白い。MCでは"あのね、持ってる人が持たざる人のやり方でやっちゃダメですよ! 学ラン着て「One Night Carnival」歌われたら、やることないですよ、私!"と吉川にキレる團長(笑)。"実は「One Night Carnival」はCOMPLEXの「PRETTY DOLL」を意識して作った曲で、「アフー!」の掛け声は吉川さんを意識してるんですけど……10年間気付かれてなかった?"と吉川へのリスペクトを込めた秘話を語る。"言うたら、超ニセモノが本物と一緒にやってるわけで……言葉にならないよね。言葉にならないので、歌で表現します"としみじみ語り、始まった曲は「愛 羅 武 勇」。いつも以上に心を込めて歌う團長、演奏からも一音一音に込められた熱い気持ちがひしと伝わってくる。楽曲にまつわる秘話を聞き、「アフー!」のかけ声がいつもと違って聴こえた「One Night Carnival」は、光があり得ない高さでシンバルスタンドを構え、シンバルキックに挑戦。フラッシュライトが光る中、團長がハイキックでシンバルを射止める!……と思いきや、黒子に支えられてんじゃん!!なんてオモロな演出から、"俺んとこ来ないか?"と演奏がスタート。サビでは泣き落としで会場中の大合唱を強制的に生み、GIGはクライマックスを迎えた。

アンコールでは、"このシリーズも30本中、26本目。今までで一番緊張しました!ライブを見なきゃ良かったんですが……いやぁ、恐ろしい人に挑んでしまったもんです"と胸中を語った團長。吉川晃司を再度ステージに迎え入れ、ガッチリと握手。"そうやって俺を褒め殺して、どっかで落とすんでしょ?"といたずらな笑顔を浮かべる吉川に、團長は大緊張でガッチガチ(笑)。始まったセッション楽曲は、吉川晃司+氣志團による、吉川晃司の大名曲「せつなさを殺せない」!会場中の合唱や手拍子を受けて気持ち良さそうな表情を浮かべる吉川と團長、譲り合って歌う姿も実にカワユイ!ラストはステージにせり下りてきた大きなドラを、團長にそそのかされた吉川が強烈なハイキックで射止めて、カッコ良すぎるフィニッシュ!吉川の圧倒的すぎるステージを見た時には「今日は氣志團の負けだ!こんなの勝ち目ねぇ!!」と思ったが、大尊敬する先輩との対バンを終え、感慨深そうな表情を浮かべるメンバーと優しい笑顔で受け止める吉川、それを見守る観客のまなざしや温かい拍手に、ロックンロールを通じて生まれた絆や繋がりのような、本当に大切なものが見えたような気がした。

「呼ばれて 飛び出て ジェジェジェジェイ!!」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS J

2011.11.24(THU) @SHIBUYA-AX

交わらないはずの道が、あの曲で奇跡の交差!
Jと氣志團、俺たちのMY WAY。

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第25弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜呼ばれて飛び出て ジェジェジェジェイ!!〜」のゲストはJ!説明するまでもなく、Jは伝説のバンド・LUNA SEAに在籍しながら、97年からソロでの活動も続けている日本屈指の名ベーシスト。團長が"ハイパー・ハイブリッドロックンローラー"と尊敬の念を表するJと氣志團の共通項や関係性についてはよく分からないが、ベーシストの一面も持つ團長がJをリスペクトしていても何も不思議ではないし、Jから滲み出る男臭さやパンク精神みたいなところにどこか氣志團との共通項を感じるのは僕だけでないはず。これまでの対バンを見ても、想像も付かない組み合わせが奇跡の融合を生み、伝説の夜が生まれることは何度も経験済みなので、期待しかせずに向かったSHIBUYA-AX。前回のTHE MODS戦の殺気立った雰囲気とは少し異なり、ライブへの高まる期待で熱気立つフロア。果たしてこの夜、氣志團とJ、さらには観客とのハイパーでハイブリッドなケミストリーは生まれたのか?

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照明が落ち、SEと大歓声が会場に響く中、先攻・Jが登場。グーッとステージに押し寄せる観客を見ると、熱心な男性ファンの姿も目立つ。ステージに登場したJはミネラルウォーターをフロアに放り投げ、真っ赤なベースを抱えてセンターに立つ。マリアのペイントが施されたスピーカーを両脇にベースを構え、ロックスターの持つ神々しさよ!へヴィなギターリフに極太なリズムが乗り、1曲目「break」でライブがスタート!勢いある楽曲と芯のあるバンドサウンド、男気溢れる歌声にシビレてると、「OVER DRIVE」でライブはさらに加速度を増す。序盤からとんでもない盛り上がりを見せるフロア、"フォーオー!"と気持ち良さそうに声を上げながら笑顔を浮かべるJ。"会いたかったぜ!初めての人もいるだろうけど関係ねぇだろ!?"とJがフロアを煽ると、会場に一体感が生まれ始める。"頭で考えず体で感じろ!"と始まったのは、疾走感溢れる「SPEED」。完全に火が付いたフロアは「Vida Rosa」の跳ねるリズムに合わせて、大げさでなく会場を揺らす!さらに"いい感じだな!ここに招かれたのは、ちょっと盛り上げてくんねぇか?って使命を任されたからだと思ってます"と告げると、"いつも来てる奴、腕の見せ所だぜ!"とファンにハッパをかけ、力強いシャウトで「BUT YOU SAID I'M USELESS」が始まる。地鳴りのようなベースとドラムを響かせ、底から沸き立つような熱気を生み出したこの曲。生の迫力や最高の空間、奇跡の瞬間を作り上げることにとことんこだわるJ。歌や演奏を心底楽しみながら、観客と共に楽曲や空間を作り上げていくライブアクトに、ロックスターたる所以と同時に、ライブ職人としての一流の技を見た!炎上するフロアを"渋谷を全部燃やせ!"とさらに炊きつけたのは「PYROMANIA」。会場中がライターに火を灯す演出まで含めて、楽曲の世界観を作り上げる技には感服するばかり!終盤戦は"ジャンルは違えど、音楽をやる人間として想いはひとつ。もっとおかしくならねぇか?"と「go crazy」でモッシュ&ダイブの嵐を生み、ドデカいビートと極太ベースサウンド、耳をつんざく高音ギターで心震わす「Feel Your Blaze」でフロアを掻き回して狂騒のライブを終演。歌や演奏でしっかり魅せながら、終始ブチアゲまくるJのステージは爽快感と満足感もハンパなかった。

続いて後攻・氣志團の登場。数々の強豪に揉まれまくった「極東ロックンロール・ハイスクール」で鍛えた強靭な演奏力をもって、Jにも負けない骨太サウンドを聴かせた「房総スカイライン・ファントム」で幕を開けたGIGは、続く「ゴッド・スピード・ユー!」の勢いある演奏や息の合ったパフォーマンスで氣志團を初めて見るパイロマニア(Jファン)も巻き込んでいく。歌と演奏、観客のノリで三位一体となってGIGを作り上げていくGIG職人としての技量は氣志團も負けちゃいない!あらゆる逆境も乗り越えてきた、團長のスベリ知らずのMCで観客の心を掴むと、"行こうぜ、俺たちの故郷の曲「木更津サリー」!"と「木更津サリー」で氣志團の硬派な一面を見せたり、「21世紀パラダイム」の幻想的な歌と世界観で惑わせたりと、縦横無尽に打ちつける隙のない攻撃で観客をステージへと釘付けにさせる。"「Rosier」のベースをコピーして、「音、違ってんじゃない?」とか言われてたあの頃。タイムマシンがあるなら、あの頃の俺に「いつかJさんと一緒に出来るよ」って教えてやりたい!"と、Jへの古くからの熱い想いを語った團長。日本でも屈指の名ベーシストを前に、松が自慢のスラップベースを披露した「高校与太郎組曲〜喧嘩ボンバー〜」では、その力強い演奏にJファンの男の子たちも歓声を上げ、会場が一体感に包まれる。いよいよGIGも終盤戦。イントロから大きな手拍子が起こった「One Night Carnival」では、相変わらずの半強制ではあったが、サビの美しい大合唱に感涙。最高潮の盛り上がりを見せる中、GIGは大団円を迎えると、安堵の気持ちも大きかったのか、会場中の喝采を受ける團長の笑顔がいつもより印象的に映った。

アンコールでは、"あ〜、緊張した!元々、俺の心臓は剛毛タイプだったんですが、11月に入ってからレジェンド達との対バンで、全て抜け落ちてしまいました……"と、弱音を交えてJへのリスペクトを語る團長。改めてステージに招き入れたJから、"氣志團の存在はデビュー前から知ってたけど、こうして一緒に出来るなんて思ってなかった。心から10周年、おめでとうございます!"と祝福の言葉を受け、本当に嬉しそうな笑顔でJと握手を交わす。J+氣志團で始まったセッション楽曲は、Jと氣志團の双方がカバーする名曲「MY WAY」! Jがボーカルを取った英語バージョンで、團長がボーカルを取った日本語バージョンとボーカルチェンジして歌ったこの曲。最後のサビをJが團長の肩を抱いてツインボーカルで歌い上げると、フロアから大きな歓声が上がる!Jと氣志團がそれぞれのMY WAYを示すように、互いのスタイルでぶつかり合ったこの夜。交わることがないと思われたそれぞれの道が、「MY WAY」を通じて奇跡の交差を生むという美しすぎるエンディングに、観客からの温かい拍手がいつまでも止まなかった。

「10 PUNKS」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS THE MODS

2011.11.21(MON) @SHIBUYA-AX

團長の痛恨のミスが生んだ、奇跡のセッション
孤高のパンクヒーローに、1000PUNKSが大熱狂!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第24弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜10 PUNKS〜」のゲストはTHE MODS!結成32年。孤高のパンクヒーロー・森山達也率いるこのバンドは、言わずと知れた日本を代表するパンクロック・レジェンド。長く追い続ける熱心なファンも多く、この日のSHIBUYA-AXにも革ジャン姿の気合い入りまくったパンクスたちが多数集結。"モッズ! モッズ!"と開演前から厳つい声が飛び交うフロアは一触即発といった雰囲気で、ヒリヒリした空気は緊張感溢れるというより、殺気だったと言う方が近い。開演時間を少し過ぎ、観客のボルテージも臨界ギリギリ、暴発寸前のフロアはまさに開戦前夜!熱気と殺気と怒声に近い歓声が会場を包む中、伝説の夜が幕を開ける。大虎に挑むような無謀とも言えるタイマンGIG、どんな結末が待ってるのか!?

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照明が落ち、SEと共に先攻・THE MODSのメンバーが登場。ステージに立つ4人の存在感溢れる、威風堂々とした姿に圧倒されていると、森山のボーカルで始まった「GANG ROCKER」でライブがスタート!開戦の合図と共に、モッシュや歓声で熱気立つフロア。観客に向けて、マシンガンのように構えたギターを掻き鳴らす森山。マイクスタンドを抱える姿、胸に拳打つジェスチャーと、ステージアクションのいちいちがカッコ良い!聴き慣れたイントロに男たちの野太い声が上がり、始まった曲は「激しい雨が」。 20年以上昔、この曲を始めて聴いた時の衝撃を思い出しながら、貫禄十分な歌と演奏に震える僕も、会場中の観客と共にサビを大合唱!フロント3人が息の合ったジャンプでキメると、間髪入れずに始まった「壊れたエンジン」のうねるグルーヴがフロアを掻き回す。この容赦ないライブ展開、興奮せずにはいられない!MCでは"氣志團の連中とはイベントで何度か一緒になって。(ステージ)袖でよく踊ってくれてます"と、氣志團との関係を語った森山。"綾小路さんとは、お酒の席で一緒になって……"と話し始めると、観客から"仲いいの?"の質問が上がり、"まぁまぁ、つう感じかな"と柔らかい表情を見せる一幕もありつつ。演奏が始まるや、その表情は一変。苣木がセンターに立ち、鋭い表情の森山がギターを鳴らして始まった「Work Hard & Little Pay」の痛快なロックンロールで踊らせると、誰もが耳馴染みのある「What a Wonderful World」のカバーで沸かせ、「GO-STOP BOOGIE」ではギターを置いた森山がマイクスタンドを自在に操り、軽快なステップを魅せる。"モッズのファンは一見ヤバそうだけど、いい奴らばっかりだから"と氣志團ファンへの気遣いも見せ、「ロメオとジュリエット」を色気と雰囲気たっぷりに聴かせると、会場中がステージに釘付け!北里がボーカルを取った「電撃BOP」で始まった終盤戦。最高潮の盛り上がりを見せたのは、この日のタイトルの元ネタでもある「TWO PUNKS」。森山のタイトルコールに大きな歓声が起こり、"10PUNKS"ではなく、会場にいる"1000PUNKS"が大熱狂! 森山の熱くたくましく切ない歌声に、忘れかけてた感覚を呼び起こされた僕も、気持ちを奮起させられると同時に、思わず涙。<この衝動を感じて 何が出来る>とは、続いて演奏された「他に何が」の歌詞。三十年以上に渡って衝動を鳴らし続けるモッズのライブに興奮しながら、「ちっぽけな自分に何が出来る?」など様々な思いが錯綜する中、ラスト「NAPALM ROCK」がそんな想いさえ吹き飛ばすドデカいナパーム弾を叩き落とし、ライブは終了。フロアの熱気や興奮は、メンバーが去った後も冷めやらなかった。

そして、後攻・氣志團。この日は学ラン姿ではなく、メンバー全員がTHE MODSを意識した、黒のミリタリーシャツとスリムパンツで衣装を揃えて登場!「ゴッド・スピード・ユー!」で始まったGIGはスリムなシルエットもあってか、モッズとの対バンに賭ける気合いの表れか、いつも以上の勢いやキレの良さを感じる。フロア後方では氣志團を見定めるように、難しい表情でステージを見る観客もいる中、"今日まで24本。あの手この手でやってきましたが、今回、初めて心を持っていけませんでした"と弱音を吐く團長。"ただ、誰にも認めてもらえないけど、氣志團はTHE MODSのフォロアーだと思ってて。リーゼントとパンクロックを受け継いでるつもりでいます。今日は死ぬ気でやって、THE MODSとモッズファンに認めてもらおうと思います!"と力強く宣言。続いて始まったのは、「TWO PUNKS」同様、忘れかけてた感覚を呼び起こすような衝動が詰まった「Rock'n'Roll Graffiti」。凄まじいステージを見せたモッズへのアンサーにも聴こえたこの曲は、氣志團に多大なる影響を与えたモッズへの強い想いが込められているようで、気持ちたっぷりの歌と演奏に激しく心を揺さぶられる。その想いはモッズファンにも伝わったのか、だんだんと楽曲に体を揺らし、氣志團に気持ちを許し始めた観客。"ついに俺たちの神様、THE MODSと対バン出来ました。これまでなかなか声をかけるわけにもいかなかったんですが、10周年を口実に胸をお借りしました"と、敬意と愛情を込めたMCに温かい拍手が起きる。GIGも後半に差し掛かり、「俺たちには土曜日しかない」では、團長&光、微熱DANJIがこれまたTHE MODSに敬意を表した黒の特攻服で登場して盛り上げる。「One Night Carnival」では、いつものように観客に強制大合唱を要求するも、脅しにも全く動揺しないモッズファン。最後は"大団円に向けて何となくでいいんで、口パクでも良いんで口ずさんで下さい!"と團長が折れ、なんとか合唱らしきものが生まれる(笑)。ここがGIGのクライマックスかと思われたが、続いて始まったイントロはなんとTHE MODSのカバー「COME ON DOWN」!これにはモッズファンも大きく反応し、沸きあがるフロアは大合唱!!……だったのだが、ここで團長が痛恨のミス。なんと一行目から歌詞が飛ぶという、まさかの大失態!演奏を中断して、"ビックリした!頭が真っ白になった!!ごめんなさい、もう一度やらせて下さい!!!"と謝罪しながら、顔面蒼白の團長。ブーイングが飛ぶフロアだったが、"行こうぜ、ゆっくり!"との優しい声も上がり、気を取り直して「COME ON DOWN」を演奏再開。歌詞をかみ締めるように慎重に歌う團長、盛り上がるフロア。すると1コーラスを歌い上げ、團長が少し安心した表情を浮かべるステージに、なんと森山達也本人が登場!!衝撃のサプライズに驚きを隠せない團長とメンバー、狂喜乱舞する観客!会場がこの日一番の盛り上がりを見せる中、團長と共に2コーラス目を歌う森山。楽曲を歌い終え、感動で崩れ落ちそうになる團長を支えながら、"ビックリしただろ?"いたずらな笑顔を見せ、森山が颯爽とステージを去っていく。團長がBLOGで語った後日談として、あの時、楽屋のモニタで氣志團のGIGを見ていたモッズメンバー。歌詞が飛んでうろたえる團長を見て、"森やん、行った方がいいんじゃない?"と声を掛けると、森山は"トイレに行ってくる"とひと言告げ、そのままステージに向かったそう。なんて、カッコ良すぎるエピソード!!森山が去った後も興奮が冷めない会場と、"ビックリしたぁ……"としゃがみ込み動揺しまくる團長。"森山さん、ありがとうございました!一生忘れません!!"と感謝の念を告げ、氣志團のロックンロール魂を見せ付ける「MY WAY」でGIGを締めくくった。痛恨のミスから生まれた、奇跡のセッション。ロックンロールの神様によるイタズラと森山達也の男気が、「極東ロックンロール・ハイスクール」にまたひとつ伝説を作った。

「サーチアンドデスとロイとグローリアとアレとソレとコレと
恋しさとせつなさと心強さと部屋とYシャツと私」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS The Mirraz

2011.11.16(WED) @Shibuya O-EAST

礼儀と敬意をもってブチかましたThe Mirraz。
ラストナンバーの向こうにあった奇跡の融合!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第23弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜サーチアンドデスとロイとグローリアとアレとソレとコレと恋しさとせつなさと心強さと部屋とYシャツと私〜」のゲストはThe Mirraz。60年代から現在まで、ロックンロールのカッコ良い部分を貪欲なほど取り入れて自らの音楽へと消化するスタイルで、キッズから年配ロックファンまで幅広い層に支持される彼ら。「オシャレで可愛い女の子が、"ミイラズ、ヤバいよ!"と教えてくれた」という不純な理由で興味を持った團長(笑)。研究するうちに「過去の音楽を解体して、新しい音楽へと転化するやり方は氣志團にも通ずるところがある」と興味を持ったというのが対バンの経緯。楽曲から見える引用の巧みさや自由な発想に、通ずる部分もあるのでは?と想像させながら、どんな夜になるか想像も付かない初顔合わせ。氣志團とThe Mirrazは奇跡の融合を見せるのか!?

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先攻はThe Mirraz。"よろしくな"とボーカル・畠山がぶっきらぼうな挨拶をして、1曲目「ハイウェイ☆スター(仮)」でライブがスタート。シニカルで飄々とした雰囲気ながら、発せられるバンドサウンドは、えげつないほどへヴィ。ドライブ感あるロックンロールと、強烈な存在感を放つ畠山のボーカルがめちゃくちゃカッコいい!1曲目を歌った畠山が"氣志團、今日はありがとう"と告げ、「正式にはフランケンというのは博士の名前である」、「アナーキーサヴァイヴァー」と痛快なロックンロールを畳み込む。ライブ中盤で、"1月25日にアルバムを出します"と、ニューアルバム『言いたいことはなくなった』の告知を挟んだ後、"アルバムの中から一曲やります"と新曲「だからボクのそばにいて」を披露。切なく感情的な歌声に酔いしれた観客から大きな拍手が起こる中、"もう一曲新曲やります。「終わんナイト・カーニバル!」"と始まったギターは、なんと氣志團の「One Night Carnival」!"俺んとこ来ないか?"を繰り返すだけのカバーだったが、氣志團への敬意を感じる粋な計らいと意外性に、フロアの観客から驚きと笑いが起こる!!激しい歌と演奏に真っ赤な照明とフラッシュライトがカオティックな雰囲気を煽った「僕はスーパーマン」、<Check it out!>に合わせてフロアから掛け声と拳が上がった「Check it out! Check it out! Check it out! Check it out!」でフロアに熱気を上げた後は、美しく静かに始まった新曲「I want u」で観客の心を掴む。ダイナミックさとしなやかさと繊細さとユーモアとアナーキズムと愛しさと切なさと心強さを要した演奏やステージング、その上若くてルックスまで良いのだから、人気出るに決まってます!"氣志團が楽屋に差し入れくれたんです。寿司です。美味しかったです。シャリが小さいんです"と畠山が笑顔を見せたMCを挟み、ライブは終盤へ。ドロドロした世界観の「TOP OF THE FUCK'N WORLD」、明るく痛快な「観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは」と感情を揺さぶった後、"次で最後です。行こうぜ、ピリオドの向こうへ"と氣志團のフレーズでキメると、痛快なリフで始まる「ラストナンバー」で大きく盛り上げる!"氣志團もよろしく!"と、氣志團へのリスペクトを最後まで忘れないひと言を残し、大熱狂の中、ミイラズがステージを降りた。

続いては後攻・氣志團。礼儀や敬意を持って、遠慮ないステージをブチかました後輩バンドに先輩の凄みを見せるためにも決してハズすことの出来ないGIG。疾走感ある「ゴッド・スピード・ユー!」で勢い良く始まったGIGに最初こそ圧倒されていた観客も、「Baby Baby Baby」のドッシリした四つ打ちに体を揺らし、フロアの熱気がどんどん上がっていく。MCでは"愛情いっぱいで見つめてくれてる人もいるけど、それ以外のキョトンとして見ている奴ら!お前らが正常だ!!"と自虐ネタで沸かせた團長。ゴールデンボンバー戦で仕込んだネタをたっぷり加えた、夜露死苦機械犬(よろしくメカドック)仕様の「恋人」では、氣志團のGIGの楽しみ方やたしなみ方を分かってきた初見の観客も懸命に振り付けを合わせ、光のネタに手を叩いて大爆笑!凄ぇライブをブチかましてきた後輩バンドをただ歌や演奏、ステージングでひねり潰そうとするのでなく、敬意と過剰なサービス精神をもって、思い切り楽しませることで凄みを見せるのが、氣志團先輩のやり方。さらに松竹梅の超絶ベースプレイで始まり、このシリーズでも磨き上げられた演奏とバンドアンサンブルで魅せる「高校与太郎組曲 〜喧嘩ボンバー〜」など、演奏面でもさらりと凄みを見せてしまうのが氣志團先輩のやり方。若いファンが目立つこの日だったが、The Mirrazのネタ振りが効いたのか、氣志團のことをよ〜く理解したのか、「One Night Carnival」はイントロのギターが鳴った瞬間から凄い盛り上がり!"過去の音楽を解体して、新しい音楽へと転化する"という氣志團とThe Mirrazを繋ぐ共通点が、顕著に表れているのがこの曲。「80年代ディスコの粗悪なカバー」とメンバーさえけなしたこの曲が10年経った今も愛され、氣志團を象徴する曲になっているのだから面白い。氣志團やThe Mirrazの自由な発想から生まれる楽曲やステージングから、「ロックンロールはもっと自由でいいんだ!」と、改めて教えられた気がした。

アンコールではホラー漫画の巨匠・伊藤潤二先生の描き下ろしによる、最高にカッコいいコラボTシャツで登場した氣志團。團長がThe Mirrazを呼び込むと、なんと畠山は「氣志團万博2003」で販売された"ヒステリックグラマー×アンダーカバー×氣志團"のレアなコラボTシャツで登場!さらに"ミイラズ始めたばかりの頃、よく着てたんです"と告白。"同じショウやん同士だしね!"と、互いに意識し合っていたことを確認した翔やんと承やん(畠山承平)が照れくさそうに笑顔を浮かべ、氣志團×The Mirrazによるセッション楽曲「Let's Go!」がスタート! 関口が包帯ぐるぐる巻きのミイラ姿で登場するなど楽しい演出や、<Let's Go!>の掛け合いで会場中が笑顔になる中、GIGは終了。両バンドのメンバーが笑顔で手を繋ぐ画は、GIGが始まる前には想像さえしていなかったもので、シリーズも後半に差し掛かって、また改めて「極東ロックンロール・ハイスクール」の面白さや醍醐味を感じさせられた。

「3年B組金爆先生」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS ゴールデンボンバー

2011.11.10(THU) @Zepp Tokyo

氣志團×金爆の新旧邪道対決が実現!
やりたい放題の金爆に、氣志團が凶器攻撃で反撃!!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第22弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜3年B組金爆先生〜」のゲストはゴールデンボンバー!メンバーが楽器を一切弾かない"エア演奏"スタイルで人気と波紋を呼ぶこのバンド。かつては氣志團もファッションや過剰な演出などから"邪道"と言われることもあったが、バンドなのに演奏さえしない金爆は邪道中の邪道!しかし、楽曲の良さや強烈なステージパフォーマンスがいまやロックファンだけでなく、お茶の間も巻き込む人気を集め、年明け早々の日本武道館2DAYSもSOLD OUT! 今、勢いに乗りまくる金爆を「絶対ナシをアリにしてしまった、恐るべきバンド。勝手ながら昔の我々を見るよう」と語る團長は、「キリショーの勢いを止められるのは、アヤショーだけ!」と宣戦布告!FMW(大仁田厚が作ったプロレス団体)全盛期を彷彿とさせる、有刺鉄線電流爆破デスマッチ級の新旧邪道対決を見届けるべく、この日のチケットは即日完売。Zepp Tokyoをビッシリと埋め尽くす超満員の観客が見守る中、いよいよ戦いのゴングが鳴る!

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ファンの黄色い声援に迎えられ、まずは先攻・ゴールデンボンバーがステージに登場。"初めて観る方、おかしいバンドですが必死でついてきて下さい!"とVo-karu鬼龍院 翔が挨拶すると、一曲目「Sick Lady たぶん…」でライブがスタート!Gita-を掻き鳴らす……フリをする喜矢武、Be-suを唸らす……フリをする歌広場。Doramuの樽美酒は叩くフリさえせず、ステージを駆け回ったり、2階から照明を当てたりとやりたい放題。ヘドバンや手扇子で波打つフロアの熱気も、1曲目から圧倒的!続く、「元カレ殺ス」では会場中が振り付けを合わせ、"元カレ殺ス!"と物騒なかけ声を合わせる。"興奮してます!盛り上げるだけ盛り上げて、忘れたくても忘れられない悪夢みたいなライブにしたいと思うんで、よろしくお願いします!"と鬼龍院の礼儀正しいMCを挟んで始まった「抱きしめてシュヴァルツ」は完全にコント仕立て。学ラン姿の喜矢武が手作りの巨大リーゼントを伸び縮みさせたと思ったら、先生に扮した樽美酒の"起立! 礼! 着席!"の声に天井から岩が落石!氣志團との初顔合わせ、「極東ロックンロール・ハイスクール」に賭ける意気込みを感じる演出にはちょっと感動さえしてしまった。方向性はおかしいけど(笑)。"1、2、3、フォー!"と観客に振り付けをレクチャーして、"PAさん、次の曲を再生して下さい!"と始まった「トラウマキャバ嬢」は喜矢武が先導するパラパラダンスで、会場をダンスフロアに変え、喜屋武の"B'zの松本さんみたいに、ギターが"うまいギタリスト"になりたいんです"のネタ振りで始まった「ultra PHANTOM」では、「うまい棒」で作った「うまいギター」に全員が食らい付く演出で笑わせる。とにかく、息つく間もなくネタをぶっ込んでくる金爆。確かにロックンロールは自由だけれど、このバンドは自由すぎ!気付いたら、もう誰も楽器持ってないし!!(笑)さらに歌広場の先導で振り付けを合わせて始まった、情熱的な新曲「酔わせてモヒート」では、子供用プールがセットされ、"抜け毛が多い"と悩む喜屋武をスカルプDでシャンプー!Zeppのステージでシャンプーしたミュージシャンなんて、聞いたことないよ!!(笑)……と、ネタを拾っていると過剰な演出ばかりに注目したレポートになってしまうが、当然、楽曲での盛り上がりもハンパない。アップテンポな曲調に大きく湧いた「毒グモ女(萌え燃え編)」や、"ヴィジュアル系の基本ってものを見せてやる!"と始まったラスト「†ザ・V系っぽい曲†」は、鬼龍院が魅惑の歌声を響かせ、会場中の観客が咲き乱れる!トリプルギターと鬼龍院のバイオリン(もちろん誰も弾いてない)のパフォーマンスでガッツリ盛り上げ、怒涛のステージがフィニッシュ。「極東ロックンロール・ハイスクール」にくっきりと足跡を残して、4人はステージを降りた。

続いては、後攻・氣志團が登場。やりたい放題の金爆が大いに盛り上げ、しっかり温まったフロアから大きな手拍子や歓声が巻き起こる中、静かにステージに立った氣志團。1曲目「房総スカイライン・ファントム」の堂々とした演奏で、メイジャー10年目のキャリアと風格を見せつける!会場を一気に氣志團色に染めた彼らは、その後も硬派にバンドの凄みを見せ付け……と思いきや、続く「ゴッド・スピード・ユー!」では、イントロのギターに合わせて、微熱DANJIがステージ左右のお立ち台でギターを鳴らす演出で、光が「うまいギター」を背負って登場!早々に金爆のネタを盗む氣志團、いやぁ、さすがです!!(笑) この意表を付いた演出には、会場中が大爆笑!金爆ファンの心を掴んだ所で始まったMCでは、トミーの"ハロー、キッシーズ!"で始まる、懐かしの自己紹介。これまた久々な"夜露死苦機械犬(よろしくメカドック)、ワンワン!"のフレーズも飛び出して会場が沸く中、"僕もこれからはエアギターをやります"とランマがボケたり、"綾小路 翔、通称アヤショーです!"と團長が媚びたりと、次々とネタをぶっ込んでいく。続く「恋人」でも、光が「よろしくメカドック」を文字った、手作り感満載の「ホットドック」、「AIBO(機械犬)」に扮して登場!反則ギリギリの凶器攻撃といえる氣志團の演出に、金爆ファンも大喜び!キャッチーな歌と強靭な演奏で観客のハートを撃ち抜いた「鉄のハート」もとんでもない盛り上がりを見せ、早くも会場に強い一体感が生まれる。"みんなが考えるロック像を少し裏切ってみたり、俺たちもかなりタブーを犯してきました。でも、それを根底から覆したのはゴールデンボンバーだけ"と、金爆へのシンパシーとリスペクトを語った團長。この日のライブを観ても、ロックンロールという自由な音楽をもって、お客さんを心から楽しませるエンターテイメントを追求するという部分では氣志團と金爆に限りなく近い部分も感じたし、楽しいことに正直なファン同士が垣根を越えてひとつになって、本当に楽しそうに盛り上がる光景を見ると、この巡り合わせは必然だったのかも知れないとさえ感じた。終始大盛り上がりだったGIGの中でもクライマックスとなった「One Night Carnival」は、團長が強制するまでもなく、会場中が振り付けを合わせて大熱狂。これまで数々の伝説を生み出してきた「One Night Carnival」だが、この日はシリーズでも1、2を争う盛り上がり!この日ばかりは、ピリオドの向こう側さえも少しだけ見えた気がした。

アンコールでは團長の呼び込みで、綺麗なリーゼントにサングラス姿でキメた金爆が再度、ステージに登場。"氣志團さんに失礼だろ!"と鬼龍院がサングラスを外させると、目の周りが黒く塗られているという小ネタからも、氣志團への愛情が見える。氣志團のGIGを受けて、"ここまで研究されてるとは……"と嬉しそうな鬼龍院。"今日、あの曲聴いてないもんね?"とフロアに問いかけて始まったセッション楽曲は氣志團×ゴールデンボンバーによる「女々しくて」! 振り付けを真似ながら楽しそうに歌う團長と光、感無量といった表情で歌う鬼龍院。この日一番の盛り上がりで応える観客にZeppが大きく揺れる中、新旧邪道対決は大団円で終幕。必然とさえ感じたこの出会いに、これっきりでなく、もっと面白いことが生まれるに違いない!と、楽しい予感を感じずにいられない。

マクラーレン

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS the pillows

2011.11.08(TUE) @Shibuya O-EAST

團長のラブコールに、はずれたフォーティーエイジ・ギア
永遠の42歳、気合いの入ったリーゼント姿で登場!!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第21弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜枕連(マクラーレン)〜」のゲストはthe pillows!89年、旧メンバーである上田ケンジと山中さわおを中心に結成された、このバンド。近年は国内のみならず海外での人気も高く、09年には初の日本武道館公演を大成功に収めるなど、結成22年を迎えた今もなお、熱狂的な人気を誇る彼らだが、これまで氣志團との親交はほぼ皆無。ピロウズ結成時からの大ファンだという團長の一方的なラブコールで実現したこの対バン、團長の熱い想いはクールな山中に届くのか?世界を相手取るthe pillowsのセンチメンタル・オルタナティブ・ロックンロールに、氣志團はどこまで対抗出来るのか!?

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先攻はthe pillows。SEとハンドクラップに迎えられて、メンバーがステージに登場。佐藤シンイチロウの鋭く正確なドラムで始まる「Dance With God」でライブがスタート。息の合ったバンドアンサンブルと山中の胸に響く歌声で、1曲目から観客を圧倒するピロウズ。続く「I think I can」ではグルーヴィーな演奏に山中が軽やかなステップを決め、大きく身体を揺らすフロアの観客から熱い拳が上がる!"今日は何で呼ばれたんでしょうか?氣志團とはあんまり絡んだことないんだけど……もしかして、俺たちのこと好きなんじゃないかな?"と山中。そんなの好きに決まってるでしょう!?とツッコミたくなるが、シャイな山中の笑顔とここまでの本気のステージを見る限り、まんざら叶わぬ恋でも無さそう!?ライブ中盤は最新型のピロウズが感じられる「Comic Sonic」、リリースから10年経って、楽曲の良さが再評価されたという逸話も持つ「Funny Bunny」など、新旧織り交ぜた振り幅や抑揚のある展開で魅せる。「ターミナル・ヘブンズ・ロック」の痛快なロックンロールで酔わせ、「ONE LIFE」の哀愁とタフネスさを持ち合わせた真鍋のギターと、山中の絞り上げるようなセンチな歌声に震えさせられて……いや〜、内容が濃すぎます!"今日は綾小路 翔くんを"翔やん"って呼んでみようかな?"と、頭をかきあげてリーゼント風にしたり、「永遠の16歳」を自称する團長を意識して、"永遠の42歳として頑張ります!"と宣言したり、実はこの場をかなり楽しんでいるご様子の山中。汗を飛ばしながらギターを掻き鳴らして熱唱した「この世の果てまで」、真鍋の鳴らす印象的なイントロのギターから大歓声が上がった「サード アイ」と続いた後半戦は、激しい演奏と山中の伸びやかな歌声で聴かせた大名曲「ハイブリッド・レインボウ」で最高潮の盛り上がりを見せ、ピロウズのライブが終了。演奏を全て終えた後、ギターを掲げながら、"サンキューベリーマッチ!"と叫ぶ山中の顔は実に満足そうだった。

the pillowsのあまりに内容の濃いライブに続き、後攻・氣志團が登場。対バンも初めてということで、BUSTERS(ピロウズファン)の中には「氣志團を見るのは初めて」という人も多い中、無敵のオープニング・コンボ「房総スカイライン・ファントム」〜「ゴッド・スピード・ユー!」の息の合った演奏と切れ味鋭い振り付けで、観客の視線をステージに向けさせる。ピロウズファンの心をガッツリ掴んだのは、"さわおさんもさ、「俺たちのこと好きなのかな?」って……好きに決まってんだろ!どんだけ好きか見せてやるぜ"と始まったMC。光とトミーをステージ中央に呼び、「『KOOL SPICE』!」「『Please Mr. Lostman』!」と、ピロウズの往年の名盤たちのジャケットを真似る(笑)。MCでハートを掴んだ後は、「鉄のハート」でグイグイと前に出る演奏やパフォーマンス、オッサオッサ!のかけ声がピロウズファンも巻き込み、会場に明らかな一体感が生まれてくる。純粋な楽曲の良さで観客を魅了したのは、ランマボーカルによる「オールナイトロング」。ピロウズのライブが残した会場のウェットな空気感も手伝ったのか、トミーのスライドギターが印象的なバンド演奏が構築する世界観はいつも以上に色濃く頭に映り、ランマの美しく感傷的なボーカルはいつも以上に心の奥底まで届く。余談だが、終演後にピロウズメンバーはこのランマ楽曲を絶賛!あまりの絶賛に歌に関して特に褒められなかった團長が、ちょっぴりスネるほどだったそう(笑)。MCでは"こっちは中学生の頃から好きだったんだぞ!"とか、"20年越しで同じステージに立てて、しんみりしております"と、ピロウズへの溢れる愛を語り倒していた團長。もはや同士とも言えるBUSTERSとキッシーズがひとつになって合唱した「One Night Carnival」でGIGは見事クライマックスを迎え、楽しく賑やかな雰囲気の中で氣志團のステージが終了。

アンコールでは"「今日、打ち上げあるよな?そこで仲良くなろうな」と言われた"など、山中にはまだ一線を引かれている状態であることを説明した團長(笑)。……だったのだが、團長の呼び込みで再度ステージに登場した山中は、なんと気合いの入った完璧すぎるリーゼント頭で登場!リーゼントにキャッツアイが似合いすぎてる山中は、本気で驚く團長に"翔やん、仲良くやろうぜ!枕連代表、永遠の42歳だから!!"と告げ、いたずらな表情で高笑い(笑)。"こんなことやんねぇと思っただろ?俺は全然やる男なんだよ!"と山中が男っぷりの良さを見せる中、山中さわお+氣志團で始まったセッション楽曲はthe pillows「LITTLE BUSTERS」。氣志團の鋭く激しい演奏、山中、團長に光を加えたパワフルなトリプルボーカルに熱狂する観客で会場が揺れる中、大盛り上がりでGIGは終演。團長からthe pillowsへの片想いが両想いになる瞬間を目撃した僕は、GIGの満足感と共に、自分の恋が実ったかのような妙な幸福感にも満たされていた。

「夢一夜(ワンナイト・ドリーム・カーニバル)」

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氣志團 VS 森重樹一

2011.11.06(SUN) @LIQUIDROOM

森重樹一が慈義威(ZIGGY)を背負って登場!
名曲「愚露莉亜(GLORIA)」に会場中が大熱狂!!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第20弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜夢一夜(ワンナイト・ドリーム・カーニバル)〜」のゲストは森重樹一! 84年結成、08年に無期限活動休止した伝説のバンド"ZIGGY"の中心人物であり、その独創的なスタイルと圧倒的な実力をもって日本のロックンロール界を牽引してきた森重は、日本を代表するロック・ボーカリストの一人。團長・綾小路 翔が企画原案、製作総指揮を担当するDVD「木更津グラフィティ」では、バーのマスター役として出演し、強烈な存在感を放っていた森重。以前より親交のあったニ組ではあるが、"ついに……神の領域までやってきました!"とMCで珍しく声を震わせる團長や、前説で登場した星屑輝矢の本気で興奮する姿を見ても、この対バンに対する特別な想い入れを感じる。気合いの入ったお兄さま、お姉さまがいつもより多く集い、どこか芳醇な香りが漂う会場。いよいよリキッドルームにロックンロールの神様、光臨!!

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先攻でステージに登場した森重樹一。金の刺繍がビッシリ施された長ラン風衣装に学生帽、カラスマスクという、あまりにカッコ良すぎるスタイルにフロアから大きな歓声が上がる!学帽とマスクを脱ぎ捨て、始まった1曲目はZIGGY時代の名曲「WHISKY, R&R AND WOMEN」。へヴィでドライヴ感のある演奏に、ハスキーで艶っぽいシャウトが映える!ステージに立つ森重の圧倒的な存在感と、ビブラートの効いた色気のある歌声にシビレていると、背を向けた森重の背中に大きく刺繍された"慈義威"の文字に気付く。後輩とのタイマンGIGにZIGGYを背負って挑んでくれた森重は、遠慮なく拳を振り下ろすように「BORN TO BE FREE」、「ONE NIGHT STAND」と大名曲が続く。一切の手加減がない迫力のステージに観客から拳が上がり、序盤戦から大きな盛り上がりを見せるフロア。淡い照明の中、鍵盤に乗せた切なくたくましいボーカルで始まったロックバラード「6月はRAINY BLUES」のカッコ良さは鳥肌もの!<愛がすべて>のフレーズが胸に響いた「愛がすべて」も印象的。"ロックンロールは生き様"と語る人も多いが、森重の歌う姿はまさにその言葉がピッタリ。歌声からアクション、鍛え上げた肉体や佇まいにいたるまで、もはや、その存在全てがロックンロールなのだ。"今日はこのイベントに呼んでいただいて、本当に嬉しいです。最後まで楽しんで帰って下さい!"と短いながらも愛情を感じた挨拶の後は、「HOW」の大合唱で後半戦がスタート。イントロから大歓声が上がった「I'M GETTING'BLUE」、氣志團ファンも巻き込んで、まさに会場中を大熱狂させた愚露莉亜……おっと、「GLORIA」でクライマックスを向かえた後は、"最後の一発だぜ!"と始まったへヴィな「EASTSIDE WESTSIDE」で激しく燃え尽きてフィニッシュ!"Yeah!"とシャウトを決め、場内に熱気とざわめきを残したまま森重がステージを去った。

続いて、後攻・氣志團の登場。激戦が続き、ハートの強さもしっかり鍛え上げられている氣志團はこの日も度胸の良さを見せ、場内のざわめきをかき消すようなランマの静かで力強いギターで始まる「房総スカイライン・ファントム」から、どっしりとした演奏とGIG運びで自分たちのペースを作る。序盤戦をしっかり盛り上げた氣志團。ももクロ風自己紹介でお兄さま、お姉さま方にキョトンとされながらも、團長の強引なMCで半強制的に会場の一体感を生み、森重も出演する「木更津グラフィティ」のテーマソングでもある「木更津サリー」が始まる。トミーの男臭いギターリフで始まり、硬派にシンプルにロックンロールを鳴らすこの曲。歌や演奏に込めた氣志團のロックンロールへの真摯な想いや真剣さは森重ファンにもしっかり伝わったようで、難しい顔をしていたお兄さまやお姉さまからも拳が上がる。MCでは、"20本目にして、森重樹一先輩との対バン。もう最近、ノイローゼ気味です……"と、たび重なる激戦への嬉しい悩みを語る團長。"森重樹一が歌った後に歌うって……今、どんな想いでここにいるか分かるか?カラオケでも、音程も取れないオッサンの後なら楽なのに"と、珍しく弱音を吐き倒す團長に、会場からは慰みにも近い笑いと拍手が起こる(笑)。逆に考えれば、森重への最大級のリスペクトとも取れるMCを経て、"いつまで経っても上手くならない歌だけど、聴いて下さい"と始まったのは「愛 羅 武 勇」。激戦の中、どんどん磨き上げられている鉄壁の演奏に支えられて、團長がしっかり想いを込めて歌うこの曲に、観客から熱い拍手が起こる。尊敬する森重への想い、楽曲に込めた想い、この夜を"夢一夜(ワンナイト・ドリーム・カーニバル)"にしたいという想い。この夜の氣志團を見ていると、「ロックンロールは生き様」でもあるが、「ロックンロールは熱い想い」でもある気がした。リリースされて10年、その時々の様々な想いや血と汗と涙が染みこんだ「One Night Carnival」で会場を大きく盛り上げ、ラストは夢一夜の楽しい気持ちを歌や演奏にたっぷり注いだ「ゆかいな仲間たち」。それぞれが歌うパートを、團長がものまねのムチャ振りをするなどフザケまくって、会場内に森重のライブとは明らかに異なるざわめきを残したまま、氣志團がステージを去る。

アンコールでは、氣志團がメタルマンガ家・喜国雅彦先生の描き下ろし(今回も最高!)によるコラボTシャツを着て登場。"……胸がいっぱいです"と声をしぼり出した團長は、中1の時に原宿で森重を見かけて大興奮した話、普段は興奮を口に出さないトミーが"ちょっと別格だよな"と漏らした話など特別な想いを語り、緊張ぎみに森重をステージに呼び込む。氣志團同様、コラボTシャツを着て登場した森重から、"ジャンルは違うけど、音楽が好きだって所は一緒だからさ"と優しい言葉を受けた團長。"単純にこの距離で聴きたくて、リクエストしました"と照れながら曲紹介して始まった森重樹一+氣志團によるセッション楽曲は、ZIGGYの「STAY GOLD」!!森重のシャウトで始まったこの曲、肩を抱かれながら一緒に歌い上げた團長。團長にとっても夢一夜だったであろうアンコールのセッションは、見ている僕らにとっても夢一夜の名に相応しい、最高に楽しくて贅沢なエンディングだった。

「魁!!クロマニヨン高校」

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氣志團 VS ザ・クロマニヨンズ

2011.10.25(TUE) @SHIBUYA-AX

「極東路薫狼流高校」に絶対王者、光臨!
互いのイズムがぶつかり合った、ロックンロール直接対決

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第19弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜魁!!クロマニヨン高校〜」のゲストは、ザ・クロマニヨンズ!説明するまでもなく、氣志團世代(永遠の16歳前後)で影響を受けてない人はいないロックスター・甲本ヒロト&真島昌利が在籍するこのバンド、團長いわく"ロックンロール界の絶対王者"!"ロックンロール・ハイスクール"を名乗るならば、避けては通れない伝説の先輩との対バンに、発表があった時から震えていたのは僕だけじゃないはず。開演前、熱の入ったファンから、「ヒロトォーー!」「マーシィーー!」と声が飛び交うフロア。いつもとは違う独特の高揚感と緊張感が会場を包む中、いよいよ歴史的な一戦が幕を開ける!

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SEをかき消すほどのかけ声が響く中、ステージに先攻のザ・クロマニヨンズが登場。まさに猿人のように、前かがみ気味の姿勢でゆっくりステージ中央に向かうヒロト。叩きつけるようなドラムから、1曲目「クロマニヨン・ストンプ」でライブがスタート。<人間!人間!人間!>のヒロトのシャウトとマーシーの掻き鳴らすギターに一発で電流が走る!うわぁ、やっぱ凄ぇ!!余談だが06年夏、僕が目撃したザ・クロマニヨンズのデビューライブで一曲目を飾ったのもこの曲。原始的なリズムやシャウトに理屈抜きで心震わされ、"このバンドでやりたいことは、そういうことか!"と理解した気がしたのを覚えている。"よぉこそ!"とヒロトが短い挨拶を挟み、へヴィに痛快に始まった「ひらきっぱなし」から、「オートバイと皮ジャンパーとカレー」とアップテンポな曲が続く中、オリジナルすぎるステップを踏みながらぴょんぴょんステージを跳ねるヒロトとクールな表情でとんでもなく強烈なサウンドを鳴らすマーシーを見て、初めてロックンロールに出会った中学生の頃にグーーッと引き戻されるような不思議な感覚に陥る。汚ぇ実家の自室で何かにとり憑かれたように、夢中でCDを聴き漁っていたあの頃。頭空っぽにして「ワァーー!」と声を挙げてる自分は、笑っちゃうくらいあの頃と変わっていない。「底なしブルー」、「渋滞」はマーシーの哀愁たっぷりのギターに絡みつく、ヒロトのブルースハープが絶品。前半戦を駆け抜け、"みんなに会えてよかったよ。明日じゃなくて、今日会えてよかった"と笑顔を見せるヒロト。"もうちょっとハーモニカ吹こうかな"と、「草原の輝き」が始まる。機材も照明もいたってシンプル。歌や演奏、パフォーマンスや演出も特に凝ったことをしているわけでもないのに、彼らのステージを見ているだけでこんな豊かで満足な気分になるのはなぜだろう?曲が終わって観客からの大きな拍手を浴びると、表情ひとつ変えずにギターを弾いていたマーシーがニヒルな笑顔を見せる。Tシャツを脱ぎ捨て、ガリガリのロックボディを披露したヒロトがセットリストを見ながら、"良いのがいっぱい残っとるよ。暴れてってよ!"と観客を煽り、「ギリギリガガンガン」で後半戦がスタート。「キラービー」、「鉄カブト」とライブが進むに連れて、どんどんエネルギッシュになっていく歌と演奏。「やわらかい」、「歩くチブ」では、激しいサウンドに包まれながら、何かに憑依されたかのようにロックンロールを全身で表現するヒロトにシビレまくる!これぞ誰も真似出来ない、ロックンロール絶対王者の領域!!ステージ上の熱演に応えるように、どこまでも熱を上げるフロアに"もう一曲だけ聴いて下さい"と言い放ち、観客との掛け合いで始まったのはラスト「ナンバーワン野郎!」。観客の歌声とかけ声、ダイブが飛び交ったこの曲で最高潮の盛り上がりを見せ、ライブは終了。ニッコリしながら余韻に浸るヒロトから"またやろうな、ロックンロール!この後は氣志團が登場するよ"と氣志團の名前が飛び出し、マーシーも"またね!"と笑顔で挨拶。鳴り止まない拍手と歓声に送られ、4人はステージを去っていった。

続いて、前回のももいろクローバー戦同様、「THE NIGHTS」の仰々しいBGMに乗せたヒーロー戦隊風のナレーションで後攻・氣志團のGIGがスタート!……ってそうか、ザ・クロマニヨンズの直前に対バンしたのは、ももクロちゃんだったんだ。改めて恐るべし、氣志團のふり幅!(笑)最初こそ、心なしか少し表情が固く見えるメンバーだったが、慎重かつダイナミックに演奏する1曲目「房総スカイライン・ファントム」で自分たちの空気を作ると、いつも以上のキレの良さで前半戦を飛ばしていく。この日、フロアに火を着けたのは「キラ キラ!」。前のめりなほど熱の入った歌と演奏、そして團長のオラオラな煽りを受けて、氣志團を初めて見るであろう観客も両腕を挙げながらかけ声や歓声で応える。ここまでの流れから、今日はザ・クロマニヨンズのステージを受けて、氣志團もロックンロールの本質を見せるシンプルで力強いステージに徹するのかと思いきや、それで終わらないのが氣志團。MCでは横一列に並んだメンバー6人が、"俺たち、今しか会えない、間もなく会えなくなるかも知れないアイドル・月末ビンボー、氣志團ちゃんだぁZ!"と、ももクロ風の自己紹介。ザ・クロマニヨンズのファンを前に(笑)。"房総の狂犬と言えば?""あやのこぉ↑↑"って、コールを返した人が偉いよ!!明らかにキョトンとする観客も見えるが、"俺たちのロックンロール、必ずお前らに届けてみせるぜ"と始まった中盤戦でしっかり仕切り直し。"次の曲は今日のために作ったようなもんで、ホントに心を込めて歌います"と歌った「Baby Baby Baby」は、ロックンロールに出逢ったあの頃の気持ちを色褪せることなく持ち続けている人々にしっかり伝わったようで、フロアが大きく揺れる。"愛を語ったら朝になっちまうけど……ヒロトとマーシーが俺たちに夢をくれました。だいぶ違う方向に来ちゃいましたが、彼らがいてくれなかったら、俺たちバンドなんてやってなかったと思います"と、2人への愛を熱く語る團長にフロアからは惜しみない拍手。ガキの頃から憧れ続けた20年以上のキャリアを持つ先輩たちには到底敵わないかも知れないけれど、メイジャー10年のキャリアをもって懸命に磨き上げてきた"俺たちのロックンロール"で絶対王者に立ち向かった氣志團。氣志團におけるマーシー的存在とも言えるランマが歌う「オールナイトロング」では、世の氣志團のイメージとはひと味違った面を見せ、「One Night Carnival」では会場中をガッツリ巻き込んで盛り上がる。氣志團のロックンロールイズムがザ・クロマニヨンズのファンにもしっかり伝わったようで、GIGが進むごとに熱を上げていくフロア。ラストはサラシ姿で歌う團長に、向き合うランマがギターを掻き鳴らして始まる「MY WAY」。全身全霊で鳴らす氣志團のロックンロールにフロアが熱狂する中、GIGは終了。"ありがとう!一生忘れないよ、今夜!!"と笑顔で感謝を告げる團長に、観客が大きな歓声で応えたあの瞬間。僕は会場中がロックンロールの絆で繋がっているのを確かに感じていた。

「ももクロちゃんに逢えちゃうよぉ〜♡ ウレPギャ〜ス!!」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS ももいろクローバーZ

2011.10.11(TUE) @SHIBUYA-AX

週末ヒロイン・ももクロ×月末貧乏・氣志團、全力対決!!
サプライズ満載、後藤真希まで飛び出した奇跡の夜!

事件〜〜っ!と声を上げて、街中に号外を巻きたくなるくらいとんでもなかった、氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第18弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜ももクロちゃんに逢えちゃうよぉ〜♡ウレPギャ〜ス!!」。ゲストは今をときめくスーパーアイドル・ももいろクローバーZ!!アイドル戦国時代とも言われ、幾多のアイドルグループがしのぎを削る中、ズバ抜けたキャラや楽曲の良さ、そしてライブの凄まじさで大きな注目を集める彼女ら。團長も「今シリーズ最年少でありながら、最強の相手。正直、打つ手が見つからない!」と恐れるももクロは"ライブ最強"と言われるアーティストばかりを集めた、このシリーズにも申し分ナシの強豪!開演前の会場はメンバーカラーのサイリウムに、ハッピやハチマキといった全身フル装備の"ちょっとだけ社会から逸脱している"大きなお友達の熱気や気合い入れで、尋常じゃない雰囲気!!これまでもレポートで"熱気溢れる"などと表現してきたが、開演前の異常な熱気は確実にシリーズ最強!その雰囲気に最初こそ圧倒されたが、初めての生ももクロに興奮してるのは僕も同様。ここは"選ばれしモノノフ(ももクロファン)"のみなさんにリードしていただいて、思い切りライブを楽しむことにする。あ〜、よっしゃいくぞぉ!

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SE「overture」とファンの強烈な歓声に迎えられてステージに登場した、先攻・ももいろクローバーZ。間髪入れず始まったのは、彼女らの代表曲と言える「行くぜっ!怪盗少女」!ど頭から全力で飛ばす5人の少女、そして力強く息の合ったMix(独自のコール)で盛り上がる観客。百田夏菜子のえびぞりジャンプが決まった瞬間、僕も「うわぁっ!」と大きな声を上げてしまった。ヤバい!ももクロ、めちゃくちゃカッコいい!!"私たち、いま会えるアイドル!週末ヒロイン・ももいろクローバーZ!!"と始まったMCでは5人の自己紹介に、ファンが大きな声で合いの手を入れる。DVDでしっかり予習してきた僕も「かなこぉ↑↑」と、ここぞとばかりに声を上げる。うわ、楽しすぎる!!"いいかお前ら、今から目にする物だけを信じろ!"と玉井詩織が啖呵を切ると5人が上着を脱ぎ捨て、この日のコラボTシャツ(江口寿史先生による描き下ろし。最高!)に衣装チェンジ。「CONTRADICTION」のイントロが鳴り、ここからなんと怒涛の8曲連続セットに突入!!彼女ら自身も初めてという、この無謀とも言える挑戦。アクロバティックな動きや奇抜な振り付けが冴え渡った「ピンキージョーンズ」、混じりけのない歌声が胸に響く「キミノアト」、さらに「D'の純情」を披露した後、"まだまだ足りないか!"と佐々木彩夏の煽りで始まったのは、体がぶっ壊れるほどの運動量を誇る「Chai Maxx」。"ロックンロール・ハイスクール"の名に相応しい、身を削るほどの入魂のステージは強烈&圧巻! さらに「スターダストセレナーデ」、「全力少女」、「コノウタ」と、息つく間もなく8曲を一気に駆け抜けたももクロ。彼女らは本気で演れば、必ず伝わることを知っている。いや、もしかしたら本気で演ることしか知らないのかも知れない。汗を撒き散らして、全力で歌い踊る彼女らを見ながらそんなことを考えていたらグッと熱いものが込み上げてきて、"自己紹介代わりに、サクサクッと8曲聴いていただきました!"と、飄々とした笑顔を見せる5人を見て、思わず涙してしまった。"ムシムシしてますか〜!?"(高城れに)など短いMCを挟んで、さっきまでの怒涛の展開を忘れさせるように、ひょいとひょひょいと軽快に始まったのは「ももクロのニッポン万歳!」。ラスト「走れ!」は若さを燃焼させながら全力で走り続ける彼女らと、<走れ>の歌詞や真っ直ぐな歌声が重なり合って、切ない曲じゃないのに泣けて泣けて仕方なかった。"いい汗かいた? 熱かったです!"(有安杏果)"素敵なワンナイトカーニバルをありがとう!"(佐々木彩夏)とそれぞれが感想を述べ、最後は"ご唱和下さい、ももいろクローバーZ!"と会場中で決め台詞を合わせて、熱すぎるステージが終了。初めての生ももクロは噂以上。いや、本当に凄まじかった!

続いては後攻・氣志團。熱気と余韻がたっぷり残る会場に"今回ばかりは絶体絶命、万事休してしまうのか!?"と、現状を言い表すようなヒーロー戦隊風、もしくはももクロ「Z伝説 〜終わりなき革命〜」風のナレーションが流れ、GIGがスタート。しかし、ステージに登場したのは、おでこに"K"の文字が入った白覆面姿の氣志團……ん、氣志團? そして流れてきたイントロは、ももいろクローバーの「行くぜっ!怪盗少女」!!ダハハハ、やってくれたぜ、氣志團!面白すぎます!!その意表をついた展開と完成度の高すぎるコピーに、フロアは大興奮。完璧な歌とダンスからの團長の高すぎるえびぞりジャンプに、会場中から大きな歓声が上がる!!白覆面の6人がステージを去り、再度ステージに登場した氣志團。「ゴッド・スピード・ユー!」からの「キラ キラ!」では光がアドリブで「行くぜっ!怪盗少女」風の振り付けをかまし、観客の心をガッチリと掴む。MCではステージ前方に6人が整列。"俺たち、今しか会えない、いや、間もなく会えなくなるアイドル、月末ビンボー・氣志團ちゃんだぁ〜Z!"の挨拶に会場中が大爆笑!いや〜、やっぱり窮地に追い込まれた時の氣志團は本当に面白い!!「逆境こそがチャンスだぜ」とばかりに、状況を逆手に取った演出には感服です!さらに、ももクロをオマージュした自己紹介で、会場中を味方に付ける氣志團。團長の挨拶では"房総の狂犬と言えば?"のフリに、ももクロファンから"あやのこぉ↑↑"のコールが上がる。ももクロファンのノリの良さも最高!そして、氣志團からのサプライズはまだまだ終わらない。続く「恋人」では、"ももクロちゃんに会えちゃうぜ?"と團長が告げると、バックダンサーとしてももクロの5人が登場!キレの良いダンスで魅せる中、團長が夏菜子にキスするかと思いきや……やっぱり光にキス!なんて小ネタも挟みつつ、華やかさを増したステージが会場を大きく盛り上げる!!さらに、"せっかく、ももクロちゃんとやれちゃうんだ。こんなもんじゃ済まさないぜ!"と氣志團の演奏で始まったのは、ももいろクローバー「キミとセカイ」。「生演奏で歌うのは初めて」という彼女らの貴重なステージに、観客は大興奮。生バンドの迫力や重みが歌とダンスをさらに力強くみせ、ももクロはバンドサウンドとも相性が良いこともここで証明。"一緒に歌おうと思ったけど、もったいなくてジロジロ見ちゃったぜ"と照れた表情を見せる團長もカワユイ(笑)。と、ここでももクロ&氣志團の"桃色氣志團"による夢のセッションは、「ももいろクローバーZ!」の決め台詞を合わせて終了。しかし、ももクロがステージを去った後も、團長の"夢みたいです、どうもありがとうございます!"の挨拶に、"あやのこぉぉぉお!"のコールが上がるほど、会場に強力な連帯感が生まれる。GIG後半戦でも「俺たちには土曜日しかない」に「Chai Maxx」の振り付けを引用。團長のえびぞりジャンプで会場を大きく沸かせるなど、持ち前のサービス精神でファンを喜ばせた氣志團。そこでももクロに媚びたり寄せるのではなく、愛をもってエンターテイメントに昇華して魅せるのが氣志團の凄さ。そんな想いは観客にも伝わったようで、「One Night Carnival」では、会場中が振り付けを合わせ、歌声が聞こえなくなるほどの歓声が上がる。"自分が浅ましいです。ここ(サビの合唱パート)でみんなが静かになってしまったら?そんなことを考えてました。みんな、本当にありがとう!"と團長が感謝の言葉を告げると、会場からは再度"あやのこぉ↑↑"の大きな声が上がった。

盛りだくさんの本編に大満足しながらも、まだ興奮冷めやらない観客。熱狂的なアンコールの声に登場したのは、赤いジャケット姿で揃えたトミーと松。"本来ならセッションで締めるのですが……ご存知の通り、ももクロちゃんは未成年ですので、この時間はお仕事出来ません"と事情説明があり、"俺はこんな法律を作った日本が憎いよ!"とトミーが声を荒げる。しかし、これで終わらないのが"極東ロックンロール・ハイスクール"の凄さ。"この「アイドルの祭典」を締めくくるに相応しいスペシャルゲストをお招きしました!!"と登場したのは、なんと綾小路 翔<愛愛傘>後藤真希!またもや予想すらしなかったサプライズに驚かされた観客から、どよめきと絶叫に近い歓声が上がる!!蛍光カラーの眩しい特攻服を身にまとった團長とゴマキがステージに登場し、始まったのは、GIG初披露となる「Non stop love 夜露死苦!!」!二人のあまりに息の合った歌とダンスに、本編にも負けない盛り上がりを見せた観客。"めちゃめちゃ盛り上がりましたね!"と大きな笑顔を浮かべるゴマキ。團長も満足そうな表情で、"ももクロ、氣志團も一緒に3組揃って紅白行きたいです!"と語る。この日、たくさんの愛情とサービス精神をもって、出演者や観客を最後まで楽しませ驚かせ、大興奮させた氣志團。終演後、誰もいなくなったステージに向かって、"氣志團、ありがとうっ!"と叫ぶももクロファンの声には大感動してしまった。僕もこの事件とも言える奇跡の夜を生んだ氣志團とももクロ、そして"極東ロックンロール・ハイスクール"に感謝しつつ、この現場に居合わせたことを自慢し続け、この夜のことをいつまでもしつこく語り続けようと思う。

「トイスで会おうぜ!」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS POLYSICS

2011.10.04(TUE) @LIQUIDROOM

ザ・同窓会! 当時と変わらぬ格好でやってます!!
学ラン姿のポリとつなぎ姿の氣志團、強烈個性対決!!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG第17弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜トイスで会おうぜ!〜」のゲストは、氣志團とは10年来の盟友であるPOLYSICS。「何度も対バンやってた気がしたけど、酒飲んでただけだったんだね!」と團長が笑うように、インディーズ時代はレーベルメイトだったこともあったり、下北沢あたりで呑み散らかしたりと、公私共にかなり親しく関係の深い二組。楽しく和気あいあいとした、"マブダチ対バン"になるだろうと思いつつ、絶対それだけでは終わらないのも"極東ロックンロール・ハイスクール"の面白さであり、恐ろしさ。いまや、世界を舞台に活躍するバンドへと成長したPOLYSICSを相手に、「あ〜、楽しかった」で終わるとは思えませんっ!!薄暗い照明の中、ステージ上に光るシンセやサンプラーの灯りが何か起こりそうな予感をさせる中、いよいよライブが幕を開ける!

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先攻はPOLYSICS。「Heavy POLYSICK」のけたたましい電子音で登場したのは、標準学生服に黒縁メガネ姿のメンバー3人! このまま入学式に出席出来そうなハヤシ、違和感無いどころか異常に可愛らしいフミ、理数系で異能を発揮しそうなヤノ(笑)。あまりに似合いすぎな3人の姿に笑いとどよめきが起きる中、ハヤシがギターを掻き鳴らし、フミのボーカルによる「How are you?」でライブがスタート。のっけからへヴィに攻め込むPOLYSICSに、モッシュと歓声で応える観客。"トイス!"と一発挨拶かまし、前半戦を駆け抜ける。「Shizuka is a machine doctor」では、ハヤシがギターを鳴らしながらシンセを叩き、頭を振り乱して熱演。ヤノは機械的な正確さと重厚さを持つドラムで独特のグルーヴを生み、フミはベースをうならせながら2本のマイク(ノーマルとボコーダー)を使い分けてのコーラスワーク。もう、圧倒的なオリジナリティ。こんなバンド、他にいませんっ!"トイス!2個下の後輩、POLYSICSです!!今日は氣志團先輩に呼び出されてきました"と、挨拶するハヤシ。衣装に関しては、"あまりのハマりっぷりに落ち込んでるんだよ。このまま入学出来るもん"と本人も着られてる自覚があるよう(笑)。ハヤシの絶叫カウントで始まった「ワチュワナドゥー」ではファンタの一気飲み(笑)、「人生の灰」ではへヴィでタイトなビートに乗せて、乳をまさぐりながらギターソロをギュンギュン唸らせ、「サイコサイコさん」ではまさにサイコギリギリな演奏で会場を沸かす。一曲一曲のサウンドやパフォーマンスにアイデアや発明が盛り込まれた、面白すぎるPOLYSICSのライブ。3人になって約1年、ただでさえオリジナルすぎる彼らのスタイルはさらに独創性を増し、いまや他を寄せ付けぬ独走状態!"氣志團とは10年来の付き合いで……"と思い出話が膨らんだMC。"01年に新宿のリキッドルームでライブをやった時、翔やんと光ちゃんとユッキが学ランで来て、ダイブしてくれて"なんて話から、"実家のクリーニング屋にも来たことがあるんだよ、それも正月に(笑)"なんて話まで。懐かしそうに語った上で、"ライブハウスで対バンするのは初めてなんで、単純に嬉しくって!"と笑顔を見せるハヤシに拍手が起きる。後半戦は「Young OH! OH!」、「カジャカジャグー」、「シーラカンス イズ アンドロイド」など、定番曲を連発。純粋に3ピースロックンロールバンドとしての凄みを感じる、ブ熱いバンドサウンド。"暴れろぉ〜!"のハヤシの煽りに、フロアがもみくちゃになる!!「Let's ダバダバ」で会場中がバカになり、ラストは「BUGGIE TECHINICA」で、フロアをぐっちゃぐちゃにかき混ぜてフィニッシュ!!エゲツないほどの盛り上がりに、ライブ終了後のフロアは完全燃焼気味。やっぱりPOLYSICSは恐ろしかった!

POLYSICSがとんでもないライブを見せ、機械的に表現すると、"プシューッ"と音を立ててショートしているようなフロアの観客だったが。後攻・氣志團が登場すると大きな拍手と歓声が起こり、曲が進むごとに笑顔で振り付けを合わせる観客が増えていく。MCはリラックスした雰囲気で、いつも以上に饒舌な團長。"大丈夫?POLYSICSで疲れてる感じがあるけど……ダバダバしすぎじゃね?"といじわるな笑顔。観客をさらに炊きつけるように"D×D×Dだ、バカ野郎ぉ!"と團長が気合いを入れ、ユッキのカウントで「D×D×D」が始まる。駆け抜ける疾走感でぶっ飛ばすこの曲に煽られて、どんどん熱気を帯びていくフロア。タオル回しで会場がひとつになった所で、間髪入れずに始まった「Baby Baby Baby」の突き上げるビートがフロアの熱をさらに上昇させる!対バンシリーズでは約2ヶ月ぶりのリキッドルームということもあって、少し手狭な会場にズンズンと響く低音や音圧がいつも以上に体中に響き渡り、シビれるような心地よさに光悦……と、ここで氣志團がシリーズ前半戦と比べて、明らかに進化していることに改めて気付く。定期的に見ていたから、改めて考えなかったが、意識して見るとバンドの演奏力や筋力、全体のグルーヴといったサウンド面から、パフォーマンス、MCに至るまで明らかに進化している。分かりやすい進化で言えば、この日もひとつの山場を作ったランマのボーカルによる「オールナイトロング」。08年、ランマがソロ活動をした際に歌っていた曲を氣志團でセルフカバー。ここ最近は定番となっているこの曲は、GIGで披露するたびに切なく美しい世界感に深みを増し、現在進行形で楽曲が成長中。アッパーな楽曲や展開が多かったこの日、メロディアスなこの曲はある種異質で、伸びやかで透明感あるランマの歌声は観客の心をガッチリと掴んでいた。MCではPOLYSICSとの出会いを語る團長。"あの頃、色んな所に連れてってもらって、色んな人に会わせてもらって。振り返ると、あの頃が人生の転換期だったんじゃないか?と思うんです"と、POLYSICSが自分たちにとって特別な存在であったことをしみじみ語る。強制するまでもなく大合唱が起きた「One Night Carnival」では、合唱よりも"トイス!"の声が大きいことに首を傾げながら、あの頃の思いや気持ちもたっぷり込めて歌い上げ、GIGはフィニッシュ。團長、そしてメンバーそれぞれの特別な想いも伝わる、実に良いステージだった。

アンコールの声に、胸に"K"マークを着けたオレンジのつなぎにバイザー姿で登場した氣志團。袖なしの"亀仙流"なつなぎを着た光、三つ編みのヅラをかぶったユッキのコンセプトは不明(笑)。POLYSICSは團長の呼び込みにグレーのつなぎ姿で登場。リラックスした表情で9人がステージに並ぶ姿は、同窓会といった雰囲気の懐かしく温かい雰囲気。"せっかくだから、一緒にやりますか!"と氣志團with POLYSICSによる歌と演奏で始まったセッション曲はPOLYSICSの「Let'sダバダバ」!楽しそうに肩を組んで歌う團長&ハヤシ、観客を煽りまくる光とユッキ。ヤノのドラムに松&フミのベースという図太いビートとトミー&ランマのギターに乗せて、会場中がダバダバの大合唱!團長やハヤシの悪ノリ&バカノリに、笑いや笑顔がこぼれるフロア。そのあまりに楽しくハッピーな空間は、「こんな楽しい時間がずっと続けばいいのに!」と、逆に僕をしみじみさせた。"デビュー前から今まで、ずっと同じ格好してる奴らなんて、なかなかいないぜ。でも、俺たちとPOLYSICSは10年後もこの格好してると思うから"とは團長の言葉。10年後、変わらぬ格好で対バンする両バンドの姿が見たい!と、心から思った。

「怖そうで怖くない少し怖いライブ」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS 怒髪天

2011.09.26(MON) @SHIBUYA-AX

男に必要なのは愛と友情、気合いと根性!
全身全霊のGIGに愛の嵐が吹き荒れる!!

氣志團"THE対バンスタイル" シリーズGIG第16弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜怖そうで怖くない少し怖いライブ〜」(タイトル最高!)のゲストは、氣志團とデビュー前からの長い付き合いであり、氣志團メンバーも大ファンだと公言する怒髪天!氣志團との対バンは05年7月(CRAZY KEN BANDを含めた3バンドで共演)以来6年ぶり。怒髪天の存在を「俺たちの頼もしい兄貴であり、カッコいい兄貴であり、本当に怖い兄貴」と語る團長。僕が強く覚えているのは、02年に氣志團が初の日比谷野音でのGIGをやった時。終演後、酔っ払った増子さんが楽屋口で警備員に羽交い絞めにされながら、「氣志團がこんな良いライブやったんだ、ひと言褒めさせろ!」と叫んでいた姿(笑)。なぜそんなことになったのかは分からないけど、後輩想いでどこまでも熱い増子さんに痛く感動させられた。可愛い後輩だからこそ、本気で潰しにかかるのが礼儀(笑)。男と男の愛と意地がぶつかり合う、熱い夜になることは間違いナシ! 怒髪天のキツ〜い可愛がりに、氣志團は耐えることが出来るのか!?

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開演前から熱気立つ会場にSE「男祭り」が鳴り、先攻・怒髪天のメンバーがステージに登場。モニタに足をかけ、髪をひと撫でする増子。"よっしゃ!"と気合いを入れ、1曲目「GREAT NUMBER」でライブが始まる。地響きのような坂詰のビートにあわせ、オイオイ!と合いの手が入るや、増子がネクタイを放り投げてグイッと襟元を開いて戦闘体制を整える。増子の熱い咆哮、巨大な塊のようにぶつかってくるブ厚いサウンドに一発で血の気が上がる!祭りじゃ、男祭りの幕開けじゃあ!!序盤から熱狂のフロア、<お前をずっと探してたんだゼ>と観客に手を差し伸べる「欠けたパーツの唄」で、一体感というより連帯感や共犯感に近い感覚で会場中のバラバラなパーツがハマっていく。そんな共犯者たちに、"連休明けの月曜日、みんな「今日ばかりは来れない」って言ってますよ。そんな中、こんなに集まって……お前ら、まともじゃないよ!"と増子。見事な漫談(もはや演芸の域!)で会場を沸かせた後は、"今日は色々考えた結果、お客さんを無視しようって。メンバーの好きにやらせてもらうから"と、「男は胸に…」で中盤戦スタート。センチなボーカルや曲調に、上原子の感情的なギターが胸に迫る「武蔵野流星号」にホロリとしていると、"生きてりゃ辛いか?俺らも氣志團もそうだ。でも今日は最高に楽しい。これ以上、何がある?"と「そのともしびをてがかりに」が始まる。搾り出すような歌声とこのまま燃え尽きてしまいそうな渾身の演奏で"生きること"を表現するステージは、まさに全身全霊。生き様を晒すようなステージとそれを受け止める観客の熱狂に、ボロボロと涙がこぼれてきた。演奏後は放心状態で、しばし言葉も発せなかった増子。"……よし、もう今日の仕事は終わった。あとはフザケるだけだ!誰だ、ここまでしないと歌えない曲作ったのは!?"とひと言(笑)。とは言え勢いが落ちるわけもなく、「酒燃料爆進曲」で怒涛の後半戦がスタート。極太リズムに観客の野太いかけ声、酔拳みてぇな動きの増子の高らかなダミ声が響く!♪俺がやらなきゃ誰がやる!と観客を奮起した「ニッポン ラブ ファイターズ」から、ラストは会場を大きく揺らした、ダンサブルな「喰うために働いて 生きるために唄え!」でフィニッシュ! 最高っ!!……と思いきや、突然鳴りだしたSMAP「シェイク」で踊り出すメンバー。何が起きてるんだ?と思っていたら、ステージにセッティングされたのは、10枚積みの瓦。"氣志團はとっても悪い後輩です!楽屋にあったのは道着と瓦。坂さんは空手なんてやったことないんだから!でも、こんだけ振られたら死んでもやるのが先輩です!!"と増子が説明し、"怒髪天"の刺繍が入った道着を着た坂詰が登場。"手を怪我したらマズいけど、死ぬ気でやって!"という明らかに矛盾したフリに"押忍!"と答えた坂詰は"エイヤ!"と気合い一発、頭突きで瓦10枚を粉砕!!最後は歌や音ではなく、本当のステゴロで男の意地を見せた怒髪天。ダハハハ、カッコ良すぎます!!

強烈なライブと瓦割りの余韻にいつまでもザワついている会場(笑)。進軍ラッパのようなサイレン音とSE「BE MY BABY」が会場の空気を引き締め、後攻・氣志團がステージに登場。心なしかメンバーがいつもより鋭く凛々しい表情に見えた「房総スカイライン・ファントム」で始まった氣志團のGIG。怒髪天にも引けを取らない鉄壁のバンドサウンド、張り詰めた緊張感を切り裂くような光のダンス&スクリーム、「物足りないぜ」と挑発するように観客を煽る團長がフロアの熱量を上げていく。MCでは"さっきまでと比べて声のボルテージが下がってねぇか?俺たち、ただでさえ今、弱ってるんだ"と弱音をこぼす團長だったが、ユッキのカウントとトミーのギターで力強く始まったのは、"どんなヤバい時でも、これさえあれば何とかなる"と言われている「鉄のハート」。フロント5人がステージ前方に並んでのグイグイ前に出る演奏から、「やってやんぜ!」と氣志團の強い意志を感じる。ユッキと松でドッシリと支えるリズム、トミーとランマの息のあったソロ、ステージを跳ねまくる光、タフで感傷的な團長のボーカルと、6つの鉄のハートがひとつになって"オッサオッサ"と会場を揺さぶるこの曲に観客が一体となった所で、へヴィなサウンドと力強いメッセージがガツンと響く「Rock'n'Roll Graffiti」が始まる。いまだに色眼鏡で見られることも多い氣志團だが、歌やサウンドにロックンロールへの情熱と愛情を真っ直ぐぶつけたこの曲で、色眼鏡で見ていた観客にも熱い想いが一発で伝わったはず。"個人的には20年前、キャプテンレコードから出てた「ジャンキー・ジャングル」ってオムニバスで怒髪天を知って。バンド名や仙人みたいな増子さんに驚かされました"と怒髪天との思い出、若かりし日のロックンロールグラフィティを語る團長。"個人的にも色々相談していて。昔、女性とのトラブルがあった時……"と完全にアウト!な暴露話で観客を引かせる。"今日もイタズラ気分で瓦を差し入れたら……本当に怖いよ、俺は怒髪天が!"と本音を覗かせる團長だったが、あなたも十分に常軌を逸してます!(笑)GIG中盤戦も渾身の歌と演奏で意地と底力を見せた氣志團。怒髪天界隈の人にも男気がしっかり伝わったところで始まった「One Night Carnival」は、いつも以上に熱く力強い合唱が起きる。最高に熱くて楽しかったこの日のGIGを締めくくったのは、「ゆかいな仲間たち」。笑顔でピースサインを送る團長&光、アグレッシブで踊るような演奏に、会場中が手を挙げて応えるピースフルな雰囲気の中、GIGがフィニッシュ。

アンコールでは團長の呼び込みに、標準学生服に丸メガネ、ご丁寧に体育館シューズまで揃えて登場した怒髪天。"君たちが噂の不良か!僕たちは不良なんか怖くないぞ!!"と、即興コント「優等生と不良くん」を始める増子に、"全然聞いてないことばかりですよ!"と團長もタジタジ。こんな團長、見たことない(笑)。気を取り直して、氣志團with怒髪天によるセッションで始まった曲は「愛の嵐」! 増子&團長の熱い熱いボーカル、ぶ厚い氣志團の演奏とギュンギュン唸る上原子のギター、手持ち無沙汰でマラカスみてぇにラー油を振ってる清水と坂詰(笑)。SHIBUYA-AXに"愛の嵐"が吹き荒れる中、増子&團長がWジャンプで締める!愛と友情、あとは気合いと根性。そこに人生の苦味を加えた"男に大事なこと"が全部詰まった怒髪天。そこに青春のほろ苦さを加えた"男の子に大事なこと"が全部詰まった氣志團。僕は男のホモッ気をキュンキュンくすぐられながら、男に生まれて良かった!男、最高!!と心の声を挙げていた。もちろん、ホモッ気というのは性的な意味ではありません!!(笑)

「ドキッ!丸ごとバナナ 男だらけの吹奏大会」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS 東京スカパラダイスオーケストラ

2011.09.18(SUN) @Zepp Tokyo

「今日は負けられない、負ける気もしない!」とスカパラ。
裸と裸でぶつかり合った、男だらけの吹奏大会!

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIGもほぼ折り返し。第15弾となる今回のタイトルは、「極東ロックンロール・ハイスクール〜ドキッ!丸ごとバナナ 男だらけの吹奏大会〜」。バカバカしいタイトルとは裏腹に、今回迎え撃つゲストは世界を相手に戦い続けるモンスターライブバンド・東京スカパラダイスオーケストラ!デビュー21周年(氣志團のほぼ倍!)のキャリアを持ちながら、今も現役バリバリ。圧倒的な演奏とパフォーマンスで、夏フェスなどでは「スカパラがライブをやった後はペンペン草すら生えない!」と言われるほど、根こそぎ持っていってしまうこのバンド。対バンシリーズの意気込みを聞いた際も、スカパラがタイで地平線の向こうまで観客がいるフェスに出演した際の話を例に挙げ、「あんなバンドはいない。今から恐ろしくて仕方ない!」と語っていた團長。楽器ひとつ担いで世界を渡り歩く9匹の侍たちに、果たして氣志團はどう挑むのか!?

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真っ赤なライトがステージを怪しく照らす中、ドラムとテナーサックスの深い音色から、1曲目「Boogie Stop Shuffle」で先攻・東京スカパラダイスオーケストラがライブスタート。今夜は濃紺のスーツで揃えた伊達男たち。"We are 東京スカパラダイスオーケストラ!盛り上がって行こうぜ!!」"と煽ると、「chase」、「Down Beat Stomp」と続くアッパーなスカナンバーに、観客がモッシュ&スカダンスで応える。しかし、スカパラの音圧&迫力ときたら、もう! Zepp Tokyoでは、明らかに収まりきっていません!!MCでは谷中が"今日はワクワクするね!負けられないね、負ける気もしないね!!"と氣志團を挑発すると、茂木が"バンドはポリシーが大事。スカパラがスーツで統一して熱い気持ちで臨むように、氣志團も髪型を整えて臨む、あの気持ちが大事"と称賛。中盤戦は茂木が歌う「Twinkle Star 〜頼りの星〜」、お馴染みのイントロが鳴った瞬間に会場が沸いた「ルパン三世のテーマ」、NARGOのピアニカ演奏で魅せた「Ska Me Crazy」など、様々な方向から飛んでくる強烈なパンチがどれもクリーンヒット!フロアのとんでもない熱狂に、"最高楽しい!幸せ!ありがとう!!"と谷中が大きな笑顔を見せる。"こうして、氣志團と一緒にやるのも初めて。本当、嬉しいです"と始まった曲は、「All Good Ska is One」。雄大でピースフルな演奏、たっぷり気持ちをこめた谷中の歌声と希望を鳴らすようなトランペットが胸を熱くさせたこの曲。震災後、仙台で行ったライブで"両手を挙げろ!それを左右に下ろして肩を組め!"と全員で肩を組んだ美しい画を思い出して作ったというこの曲で、会場中の気持ちがひとつになる。一流プレイヤーたちがただ技術を重ねるのではなく、熱い気持ちを重ね合っているのが東京スカパラダイスオーケストラの素晴らしさ。楽曲に込めた想いをしっかりと演奏で伝え、人と人の心を繋いでしまうところにスカパラの凄さがあるのだ。ラストは加藤がボーカルをとる「Pride Of Lions」。観客の合唱や激しいステップに煽られるように、どんどん激しさを増していく演奏。演者と観客の相乗効果で会場が最高潮の盛り上がりを見せる中、"最高だぜ、ありがとう!"と加藤が吠え、熱すぎるライブは幕を閉じた。

スカパラのライブが終わり、"ペンペン草すら生えない"ほどではないが、汗まみれのTシャツから上がる湯気がすでに完全燃焼した感をかもし出していたフロア(笑)。ではあったのだが、後攻・氣志團がステージに登場し、「房総スカイライン・ファントム」が始まった瞬間、その雰囲気も一変。張り詰めた緊張感、一瞬の静寂に切り込むランマのギター、高ぶる鼓動のように響くユッキのドラム。対バンシリーズのたび重なる強敵とのタイマンで鍛え上げられたバンドサウンドは、スカパラにも引けをとらない重圧さ!間髪入れずに始まったのは「ゴッド・スピード・ユー」。9匹の侍を前にしてもその自信に満ちた表情を崩さず、堂々とした演奏やパフォーマンスが見せられるのは、この2曲が結成当初、氣志團がまだインストバンドだったころから共に戦い、大切に演奏し続けてきた曲だからだろう。氣志團を初めて見るスカパラファンの心もグラッと動かした所で、團長のMC。"こんなもんじゃねぇだろ?さっきのお前ら、こんなもんじゃなかっただろ?スカダンス踊りすぎだろ、ずいぶんだろぉ!"とスネたあげく、"OK、ひとつになろう。両手を上げろ、それを左右に下ろして肩を組め!"と谷中の美談をさっそくパクった卑劣なMCで、観客の気持ちを強引に引き込む。ダハハ、なんて卑怯な!(笑) とはいえ、やはり氣志團の武器はべしゃりではなく、ロックンロール。"最高のロック聴いて、踊らなきゃ嘘だろ?"と始まった曲は、体ごと持っていくようなビートで揺らす、氣志團のパーティーチューン「D×D×D」。観客をしっかり踊らせ、タオル回しでヒートアップさせた所で、"全ての恋人たちに贈るぜ!"と、抜群に明るくハッピーな「結婚闘魂行進曲 マブダチ」が始まる。この意外性ある展開が問題なく成立するのも、氣志團ならでは。"ついに憧れのスカパラと対バン出来ました。絶対敵わない人たちだけど、「俺たち、負けねぇ」って言ってくれたんだぜ。俺たち、同じ土俵に上げてもらったんだ"とこの日の共演を心底嬉しそうに語る團長。"この曲が俺たちに色んな景色を見せてくれました"と歌う「One Night Carnival」は自信と誇らしさ、たくましさに満ち溢れていて、会場中がひとつになって盛り上がる、この日のクライマックスと言える瞬間をしっかり生み出してくれた。

アンコールではノーマルの短ランにボンタンという、最近では逆に珍しいスタイルで登場した團長。スカパラホーンズとまちゃまちゃをステージに招き、"実は9年前にスカパラのみなさんとセッションしていただいた曲がありまして、今日はその曲をやらせていただこうかと……"と演奏した曲は、シングル「恋人/Love Balladeは歌えない」のカップリングに収録された、「ビー・バップ・パラダイス」のカバー!!GIG初披露であろうこの曲。"こんな緊張、なかなかないぞ!"と團長が言うと、"木更津から出てきた甲斐があったねぇ!"とまちゃまちゃ。氣志團の演奏と迫力のホーンセクションに乗せて、團長、光&まちゃまちゃが本当に気持ち良さそうに歌い上げ、大団円の中で夢のステージは終演。10年のキャリアとスキルを持って大先輩に裸でぶつかっていった氣志團と、それを裸でしっかり受け止めてくれたスカパラ先輩。ポロリこそなかったが、"男だらけの吹奏大会"は裸と裸のぶつかり合いに男同士の強い絆や繋がりが感動を生む、実に素晴らしい対バンだった。

「100%男女交際!!」

TOUR SCHEDULE

氣志團 VS 恵比寿マスカッツ

2011.09.15(THU) @SHIBUYA-AX

世紀の異種混同戦・恵比寿の天使 vs 木更津の妖精音楽隊!
甘い匂いとルール無用の展開に氣志團もタジタジ!?

氣志團"THE 対バンスタイル"シリーズGIG、第14弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜100%男女交際!!〜」のゲストは恵比寿マスカッツ!男子諸君には説明する必要もないが、恵比寿マスカッツとは、テレビ東京系「おねがい!マスカット」から生まれた、セクシーアイドルグループ。リーダーの麻美ゆまが「氣志團さんとステージに立つことが夢だった」と熱く語るほど熱狂的な氣志團ファンであること、恵比寿マスカッツの最新曲「ロッポンポン☆ファンタジー」の作曲を團長が手がけたことなど、様々な縁があって実現した共演だが……対バンシリーズの前後の予定だけ見ても、Dragon Ash〜恵比寿マスカッツ〜東京スカパラダイスオーケストラって、こんなふり幅の広い対バン出来るバンドは氣志團しかいません!極東路薫狼流高校と香蕉芒果女学院(バナナマンゴー・ハイスクール)の公開合同コンパ……おっと、異種混同戦。世紀の一戦を見守るべくか、姫たちを魔の手から守るべくか、SHIBUYA-AXは大きな男のお友達がたくさん集結!男性客9割という、あまりにもむさっ苦しい、フロア(笑)。異様な雰囲気が会場を包む中、シリーズの中で最も展開の読めない対バンが幕を開ける!

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TV番組さながらのナレーションから会場に響いたのは、DJ OZMAのカバーでお馴染み「Spiderman」。カラフルなワンピースに生足むき出し、アイマスク姿のメンバー22人(蒼井そらと桜木凛は欠席)。スパイダーマンのマスクを被った麻美ゆまらしき人物を中心に、綺麗なフォーメーションのパフォーマンスで先攻・恵比寿マスカッツのステージが始まる。なんという華やかさ!こんなのズルい!!(笑)観客も僕も一発でテンション上がったところに、学ラン姿に着替えたメンバー登場。聴きなれたイントロで始まったのは、掟破りの「One Night Carnival」!息の合った振り付けに、麻美による氣志團愛たっぷりのボーカル。麻美の"氣志團のように、みんなを笑顔に出来る存在になりたかっただけさ。行こうぜ、マスカッツの向こうへ!"の叫びには思わず感動。歌い終えた麻美は"先に歌っちゃいました。スミマセンでした"と笑顔を浮かべる。全く問題ありません!!團長コスプレのキッシーズだって、デレッとした顔で踊ってましたから!(笑)山中絢子の一生懸命なラップとジュリ扇でバブル時代再来の盛り上がりを見せた「ヘラクレス〜哀愁のパンサアゲイン〜」、イントロから野太い歓声が上がったデビュー曲「バナナ・マンゴー・ハイスクール」と、中盤戦も全力のステージを見せるマスカッツ。個々の人気ももの凄くって、自己紹介もそれぞれに男性ファンの熱狂的な歓声が挙がる。頑張ってる女の子って本当に素晴らしい!明るい曲調に彼女らの魅力が爆発した「チヨコレイト」にキュンキュンしていると、ラスト「ロッポンポン☆ファンタジー」が始まる。楽しそうに歌い踊った彼女らは、まさに天使の笑顔を浮かべながら、ステージ中央で"イエ〜イ!"とポージングでフィニッシュ。可愛いすぎる!!一晩中でも見ていたい!!終演後も止むことのない野太いマスカッツコールに、再登場したメンバー。懐かしの"セーラーズ"のトレーナー姿で歌ったのは、おニャン子クラブ「セーラー服を脱がさないで」という、どこまでもズルい演出(笑)。しかし抜群に可愛くて、健気でちょっぴりズルい女の子って……騙されてもいい!むしろ騙されたい!!ステージ上にたくさんの余韻と甘い香りを残して、恵比寿マスカッツのステージは終了。

ステージに残る天使たちの甘い香りをかき消すような、熱く鋭い演奏で始まった後攻は、木更津から来た妖精音楽隊・氣志團。マスカッツのステージに暴発寸前、すでに興奮状態の観客は序盤から大きな盛り上がりを見せ、「キラキラ!」では團長の"もっと来いよ!"の煽りに、腹の中のモヤモヤを晴らすような"ワーーッ!"の絶叫が会場に響く。"今日は「今にも暴れ出しそうなギラギラした奴」ばかりで、俺も少しドキドキしてるぜ"と團長。"今日は合同修学旅行よろしく!一晩中枕投げして、あの子の部屋にも忍び込んじゃおうぜ!!"とマスカッツファンと密約を交わし、<たぶんSA・DA・MEさ!>と、マスカッツへのラブコールにも聴こえる「恋人」を演奏。ユッキの甲高いカウントから、團長&光に微熱DANJIも加わって歌とダンスで魅せるこの曲。彼女たちのキュートさや華やかさにはかなわないけど、楽曲の楽しさは観客にしっかり伝わったようで、笑顔で振り付けを合わせる観客たち。次に氣志團と対バンする機会があったら、ぜひこの曲もマスカッツにカバーして欲しい!"しかし、大人気ないというか……本気で潰しに来ただろ?何ですか、いきなり「ワンナイ」って!ムチャクチャだろ!!"と團長。"セーラーズとかジュリ扇とか、本人たちは絶対知らないでしょ?全部マッコイという男(「おねがい!マスカット」演出のマッコイ斉藤氏)が悪いんです!!"と吠えると、なぜかフロアから大きな拍手が起きる(笑)。ラスト「One Night Carnival」が演奏される頃には、マスカッツに恋する男同士の妙な結束や絆が生まれていた会場。"一番大きな声で歌えた人には、麻美ゆまちゃんの電話番号を下ひと桁だけ教えるぜ!"と汚い手口も使いながらも生まれた男臭い大合唱から、團長が"恵比寿マスカッツに、♪恋しているのさ"と歌い、文句ナシの一体感が生まれたところで、氣志團のGIGがフィニッシュ。

アンコールで登場した氣志團。恵比寿マスカッツをステージに迎え入れると、ステージ上は一気に賑やかかつ華やかに!少し照れた表情を浮かべる團長だったが、"あの〜、リハーサルから帰って来たら、楽屋に氣志團さん全員の自己PRとメールアドレスが貼ってあったんですけど……"と楽屋裏での下心丸出しの行動を麻美が暴露(笑)。團長の軽いセクハラトークも観客の反感を買う中、会場の空気を一変させたのは麻美のMC。"翔さんが私の夢を叶えてくれました"と涙する麻美に、光がそっとタオルを差し出すシーンは本当に感動的だった。最後は「生演奏で歌うのは初」というマスカッツが、氣志團の演奏をバックに歌う「ロッポンポン☆ファンタジー」。ステージ中を飛び跳ねながら、元気に嬉しそうに歌い踊るマスカッツメンバー、甘〜い匂いと雰囲気に顔がニヤケっぱなしの氣志團メンバー(笑)。肩を並べて歌う團長と麻美も本当に楽しそうで、こちらまで嬉しく温かい気分にさせられる、幸福感に溢れたエンディングだった。

「ENTER THE DRAGON」

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氣志團 VS Dragon Ash

2011.09.13(TUE) @SHIBUYA-AX

「誰とタイマンやっても絶対負けねぇ!」と宣戦布告。
勝ち負けの向こう側に開いた、ドラゴンへの道!

氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG、第13弾「極東ロックンロール・ハイスクール〜ENTER THE DRAGON〜」。今回、ゲストに迎えたのは、デビューから約15年の長きに渡って日本のロックシーンの最前線を歩んできたDragon Ash。「ロックを一般層にまで浸透させた、最後のロックンロール・ヒーロー」と、團長が最大級のリスペクトを送るこのバンド。氣志團とはロックフェスなどで何度も共演しているが、対バンという形での共演は初。異色にも思える対バンだが、ジャンルに捉われず様々な音楽要素を貪欲に取り入れ、自分たちの音楽へと消化する姿勢、男臭さの滲み出たタフなステージング、初めて見る人も一発で惹きこむ求心力……と、個人的にはどこか近しい部分を感じていた2組。偶発的な化学変化を求めなくても、自然とガッチリ噛み合う良い対バンになるのでは?と思っていたのだが。まさか、あんな恐ろしいことになろうとは……(笑)。氣志團の前に"ドラゴンへの道"は開けるのか?

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「極東ロックンロール・ハイスクール」でいつも掲げられている"極東"フラッグが外され、ステージいっぱいの巨大スクリーンにVJが流れる中、ターンテーブル・BOTSの鳴らすブレイクビーツが会場に響く。ステージに登場したダンサーのDRI-V、ATSUSHIが華麗なステップを踏み、フロアから自然発生した掛け声を背にメンバーが登場。早くも会場の空気が出来上がっている中、1曲目「RAMPAGE」で先攻・Dragon Ashのライブが始まる。体ごと持っていかれるようなグルーヴと、へヴィなサウンドにフロアが炎上! <踊れ感情のまま>の歌詞通りに飛び跳ね、大きな声を上げる観客。"かかってこいや、AX!"とKjが煽り、間髪入れずに始まったのは「Bring It」。全力でバチバチとパンチを打ち合うように、グイグイ攻めるステージとモッシュ&ダイブの嵐で応戦する観客。この<のっけからハンパないテンション>は、明らかにヤリすぎ!!(笑) "Dragon Ashです、よろしくお願いします"と短い挨拶を挟み、メロディアスなギターで始まったのは、DAの代表曲とも言える「Life goes on」。会場中の大合唱が会場に響いた後は、"♪渋谷調子どうだ?"と歌う「La Bamba」で会場がユッサユッサと揺れる。サポートながらサウンドの鍵となっていたベース・KenKenとKjが向き合い、確認し合いながら演奏の激しさを増していった「AMBITIOUS」は、激しさの中にある希望や喜びに満ちたメッセージが胸を熱くさせる。"氣志團、10周年おめでとうございます。俺らは来年で15周年、氣志團の5個上だって(笑)"と氣志團への賛辞を送ったKj。"バンドは10年続けてからが面白いんで、これからも応援して下さい。氣志團とライブハウスに来続けてくれる人に送ります!"と始まったのは、「百合の咲く場所で」。体をいっぱいに使いながら、気持ちを込めて歌い上げるKj。ジャンプ一発サビに入ると、強烈なシャウトで想いを伝える。"分かってると思うけど、俺らは誰とタイマンやっても絶対に負けねぇからな!"と宣言し、"かかって来い!"と追い討ちをかけるように叩きつけたのは「Fantasista」。ここまでも天井知らずの盛り上がりだった会場だが、天井をブチ破って突き上げるような圧倒的な盛り上がりで、ライブはクライマックスへ。ラスト「運命共同体」は、会場中の美しい大合唱からモッシュ&ダイブの嵐。"タイマン張ったらダチだぜよ"の精神で、ボコボコにぶん殴った相手に手を差し伸べ、ギュッと抱きしめるような強さと優しさに、Dragon Ashの男らしさや度量の広さも感じさせられたエンディング。やはりこのバンド、ケンカ最強でした!カッコ良すぎる!!

後攻は常勝無敗を誇る、天下無敵の氣志團。のっけからハンパないテンションで打ちまくってきたDAに対し、「房総スカイライン・ファントム」〜「ゴッド・スピード・ユー!」という、これまで修羅場を何度も勝ち戦に変えてきた連携技で観客を惹き込んでいく。團長と光の一糸乱れぬ動きはいつもながらだが、DAのダンサーをけん制してか、いつも以上のキレ味を見せた光のダンス。グイグイと前に出て観客を煽る姿や、力強い咆哮が実に頼もしい!序盤戦で空気を作ったところで、"ヤンクロックって知ってる?"と團長が問いかけ、「D×D×D」が始まる。性急なビートやザクザク刻むギター、まくしたてるボーカルが気持ちを掻き立てる氣志團流ミクスチャー・ヤンクロックにフロアの熱が一気に上がる!この対バンシリーズだけでも、多くの怪物みたいな猛者と手合わせしてきた氣志團。ケンカ最強のDAにも決して負けてません!!"Dragon Ashは日本で最後のロックンロール・ヒーローだと思ってて。商業的にも成功して、一般層にも認められてるバンドって、Dragon Ash以降いないと思うんです。だから、俺たちはその後釜を狙ってて。今日はその襲名式をしに来たと思ってます"と、團長から最大級の尊敬と図々しさを含んだMC(笑)。"そんなバンドに「タイマンじゃ、負けねぇ」って言われたってスゲェことなんだ!"と喜びを語った後、愛情たっぷりに歌い上げた「愛 羅 武 勇」は、"氣志團に捧げます"とDAが歌った「百合の咲く場所へ」への返答にも聴こえた。"この曲のお陰で、Dragon Ashとも同じステージに立つことが出来ました。そろそろ行こうぜ、ピリオドの向こうへ!"と始まった「One Night Carnival」では、DAクルーもしっかり巻き込んでの大合唱が起きる。初めて氣志團を見る人にも想いがしっかり届き、会場中が一体となるこの瞬間は、毎回ながら本当に涙腺を刺激される。ユッキの"いくわよ、渋谷!"の叫びで始まったのは、本編ラスト「鉄のハート」。純情、情熱、熱血、血潮が騒ぐ男臭さ満点のこの曲に、曲調は全く違えど、DAの「運命共同体」と同じ印象を受けた僕。音楽性うんぬんではなく、男として仲間、友情、絆といったものを何より大事に考え、人と人を繋ぐコミュニケーションツールとして音楽を最重要視する姿勢にこそ、DAと氣志團の共通点があるのではないだろうか?

アンコールでは、Dragon Ashのメンバーが学ラン姿で登場! DAメンバーが着ると、学ラン姿も凄い最先端のファッションに見えてしまうから不思議(笑)。"俺、学ラン初めて着た!"と嬉しそうなKj(笑)。團長の"俺たちに言葉はいらねぇっつうことで、夢を見てる奴らに送るぜ、「Dreamin'」!"の曲紹介で、BOØWY「Dreamin'」のセッションが始まる!ギターを掻き鳴らしながら、笑顔で歌うKjと團長のツインボーカル、肩で風切って練り歩くDAメンバー。男13人が入り乱れる光景は、あまりに貴重でむさ苦しい!(笑) そういえば、氣志團がBOØWY楽曲をカバーするのは、初めてじゃないだろうか?そんな意味でも貴重だった、2組のセッション。タイマンGIGの勝ち負けも越えて、その向こう側に開いた"ドラゴンへの道"は実に楽しく、幸福感に満ちた物だった。

「氣志團パノラマ島へ行く」

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氣志團 VS 筋肉少女帯

2011.09.09(FRI) @SHIBUYA-AX

渋谷を印度にしてしまえ! 渋谷印度化計画、遂行!!
楽屋まで一体化した、パノラマ島での夢の宴

氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG、第12弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜氣志團パノラマ島へ行く〜」のゲストは筋肉少女帯。パノラマ島とは、筋肉少女帯の名盤『サーカス団パノラマ島へ帰る』からの引用で、團長が"自分にとっての神様"と敬愛する、大槻ケンヂ率いる筋肉少女帯とは念願叶っての対バン。対バンシリーズが始まる前、團長が「ついにパノラマ島へ行く日が来ました!」と嬉々として語っていた対バンだけに気合い十分、素晴らしい夜になることは間違いナシ!開演前、会場にひしめく学ラン姿のキッシーズと特攻服姿の筋少ファン。パッと見て、どちらのファンか区別が付かない対バンは初めて(笑)。そう、もはや対バンシリーズでは恒例となりつつある、"限定コラボTシャツ"シリーズ!一流漫画家や一流イラストレーターの描き下ろしによるTシャツの人選やクオリティの高さに、毎回ビビらされているのだが。猟奇漫画の重鎮・丸尾末広先生デザインによる、この日のTシャツは秀逸!対バンシリーズ参加者は、その日限定のコラボTシャツも要チェック!! 学ランと特攻服、コラボTシャツ姿の観客を乗せたフェリーがいざ、パノラマ島へと出航!

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ステージ上に鎮座する、ギター・橘高の2段積み×4列マーシャルに興奮する中、SEのKISS「God Of Thunder」に乗せて、先攻・筋肉少女帯がステージに登場!背中に大きく"筋肉少女帯"と刺繍された特攻服を着た大槻。ドロドロと地を這うようなドラムに乗せて、"筋肉少女帯です、頑張ってやらせてもらうぜ!"と絶叫。大槻のアジテーションから、真っ白なドレス姿が美しい橘高のフライングVが唸り、1曲目「イワンのばか」でライブがスタート! 始まって数秒、橘高の奏でるイントロの早弾きに全身鳥肌。俺、すでに発狂!キャーー、カッコ良すぎる!!大槻の煽りで、轟音サウンドにフロアから野太い合いの手が入る。瞬間湯沸かし器のように、一瞬で熱が急騰した会場はモッシュやヘッドバンキングで波打ち、早くもカオス状態。ヤバい、神の手によって今日こそ氣志團がひねり潰されてしまう!なんて心配をしていたら、"今日は氣志團の対バンシリーズの中で、最も一体感のある夜にしようぜ! ステージから1階2階、楽屋まで一体になるのが見たいぜ"と大槻。さらに、"(一体感のあるライブにするのに)何が必要かと問うならば? 酒じゃ酒、酒持って来い!"とスタッフにビールを持って来させ、"一体化するために、一気いかせていただきます!"とステージ上で一気飲み(笑)。"氣志團さんよりもキレのあるダンスを見せてやるぜ!"と始まったのは、楽器を置いたメンバーがマイクリレーでラップする、「ワインライダー・フォーエバー」。 演奏も楽曲だけでもめちゃくちゃカッコいいのに、過剰なサービス精神と遊びごころを多分に盛り込んだ"それだけで終わらせない"ライブ作りは、筋少も氣志團もすごく良く似ている。ヤ〜バい、めちゃくちゃ楽しいっ!ライブ中盤のクライマックスは「僕の宗教へようこそ」。力強いリズム隊、ギターやキーボードの超絶テクニック。大槻の抜群にカッコ良く、ユーモアやうさん臭さも満載の歌やアジテーション。絶対に筋少にしか構築出来ない世界観に、会場中が釘付け。興奮と笑い、感動という様々な感情が交錯する。「極東ロックンロール・ハイスクール」の予定を見ながら、"これはすごいよ!筋少も見習うべきだね。でも俺、GLAYの日に出たかったな、GLAYとして"と氣志團を大槻流に賛辞すると、ライブも終盤戦。"さらに一体感を作るには、と問うならば?やってやろうじゃない、筋少なりの「マルマルモリモリ体操」を!"(多分、みんなで踊れる曲って意味)と、「踊るダメ人間」が始まる。大槻が望んだように、会場中の人が"ダメジャンプ"で一体となり、AXが大きく揺れる!ラストは筋少の代表曲「釈迦」で大炎上。演奏後、"最高だったなぁ!"と叫び、ヌンチャクを振り回す大槻、フライングVを振り回す橘高など、はちゃめちゃなステージと、拍手と歓声が鳴り止まないフロアの気持ちが通じ合い、本当の意味で一体となった所で、凄まじすぎるライブが終了。

続いては後攻・氣志團。ドッシリと落ち着きあるステージングと鋭くタイトな演奏で、丁寧に自分たちの空気を作った序盤戦。大槻の"一体感のある夜にしよう"の和平宣言でひねり潰される危険性は無くなったものの、楽屋まで一体にしなきゃいけないという難題が与えられている氣志團(笑)。「キラキラ!」では、氣志團のステージングに段々と引きこまれていく筋少ファンを"オイオイ、こんなもんじゃねぇだろ?"と炊きつけ、光の煽りで"ワーー!"と会場中が絶叫。"大槻さんの意思で一体感を生むんだろ?俺たち、前世では一緒だった。同じ岩にこびりついたフジツボだったろ?"と團長。"今日はおかしい奴らのお祭りだぜ!"と変わり者たちの気持ちをくすぐり、「木更津サリー」から始まる中盤戦を飛ばすと、会場の熱量がガンガン上がっていく。"毎日夢みたいだけど、今日は格別ですね……(対バン出来るなんて)全く考えていなかったけど、2011年に筋肉少女帯がいたんです"と團長。氣志團が結成直後の99年に活動凍結を宣言。06年に今のメンバーで活動再開した筋肉少女帯。ひと昔前は共演したくても存在しなかった筋少と今、対バン出来ている奇跡と喜びをしみじみ語る。学生時代、大槻ケンヂのラジオに「トラウマを与えられた」ことを語り、"人生を40°〜50°くらい変えられてる。自分にとっての神様なんです"と大槻の存在の大きさをたっぷり語った後、ランマのギターと團長のボーカルで気持ちいっぱいに始まったのは「愛 羅 武 勇」。 絶対に筋少しか構築出来ない世界観を感じる「僕の宗教へようこそ」同様、氣志團しか構築できない世界観を感じるのが「愛 羅 武 勇」。"ヤンクロック"というジャンルは、間違いなく氣志團の発明。つまり、ヤンクロックで氣志團に敵うバンドは、どこにも存在しないということを再確認。ヤンクロック界では伝道入りとなっている普及の名曲「One Night Carnival」は、学ランも特攻服も一緒になって歌い踊る。確認こそしていないが、きっと会場が楽屋まで一体になったであろう所で演奏された、本編ラストは大槻ケンヂもカバーする、ばちかぶり「オンリー・ユー」! 一途な愛を不器用に歌ったストレートな歌や演奏が、氣志團にばっちりハマったこの曲。筋少ファンや元ナゴムギャルのお姉さまも大きく体を揺らし、大盛り上がりの中で本編は終了。

アンコールで再び登場した氣志團。筋少のベース・内田の昔のヘアスタイルを模した、松のソバージュ頭に筋少ファンも失笑(笑)。"今日は舞い上がったり、センチになったり、調子こいたり色々ありましたが……今日だけは中坊に戻らせてくれよぉ!"と喜びが隠せない團長。筋少メンバーを呼び込み、しばし大槻と談笑した後、團長の"渋谷を印度にしてしまおうか、と"というMCで始まった曲は、筋肉少女帯「日本印度化計画」。"日本を印度に!""してしまえ!!"の掛け合いから、大槻と團長のツインボーカルと氣志團の演奏で曲が始まる。大興奮の観客で、この日一番の盛り上がりを見せるフロア。あれ、ギターソロもトミーかランマが弾くのかな?と思っていたら、ステージ脇から8段積みのマーシャルが運びこまれ、フライングVを抱えた橘高が超絶ソロで魅了!!最後の最後、ブレイクからの決め台詞を、まさかの大槻がトチるというお間抜けさもご愛嬌(笑)。パノラマ島での夢のような宴は、大団円で幕を閉じた――。と、今回のレポートの文量と熱量で気付いた人もいるかも知れないが、実は僕も十代の頃から筋肉少女帯という宗教にどっぷりハマっていた熱狂的な信者(笑)。アンコールで筋少と氣志團が並ぶ姿を見て、オロロ〜ンと一人嬉し涙。團長同様、完全に中坊の気持ちに戻って興奮する自分に、「俺よ、いつになったら思春期が終わるのだ?」と自問自答。たぶん、俺が思春期をこじらせたのは筋少のせいで、思春期がいつまでも終わらないのは氣志團のせいだと思う(笑)筋少と氣志團の両方にどっぷりハマる理由もよく理解出来た、個人的にも貴重な夜でしたとさ。

「超絶魂(ウルトラソウル)」

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氣志團 VS グループ魂

2011.09.06(TUE) @Zepp Tokyo

負けられない対バンがここにはある!
房総魂vsグループ魂、バカバカしく超絶な魂の争い

"THE対バンスタイル" シリーズGIG第11弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜超絶魂(ウルトラソウル)〜」。今回、ゲストに迎えたのは「9年前に対バンした時、完膚なきまで叩きのめされた」と團長が語る、グループ魂! 振り返れば、暴動こと宮藤官九郎脚本による、ドラマ「木更津キャッツアイ」に氣志團が出演し、その名を世に知らしめたのも9年前。当時の恩義やリスペクトもありながら、雪辱戦の意味も含んだ二組の対バンは互いのファンも待ち望んでいたようで、この日のチケットは即完、会場となるZepp Tokyoは満員御礼!

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先攻はグループ魂。超満員の拍手や歓声と盛大なファンファーレを受け、ステージ上に永遠の46歳・港カヲルが登場!電飾で飾られた立派な角をたくわえたカヲルが、"女はかまぼこよりチンポコが好きである――"と口上を始めた瞬間から、グループ魂特有の下品でオモロな空気感が会場を包む。"おっぱい元気?"のコール&レスポンスで観客がしっかり温まった所で、ステージにメンバーが登場。カヲルが"今宵は1時間パックでお送りします!"と告げ、「有名になりたい」で演奏スタート!1曲目から激しい演奏で飛ばしまくるメンバー、フロアの熱量も一気に急騰!!演奏後の"はい、どぉもこんばんは!"の破壊の叫びまでの流れに一切の無駄ナシ!いや〜、凄まじい!!序盤から完全に空気が出来上がった会場は、コール&レスポンスや大合唱でさらなる盛り上がりを見せ、MCや随所に組み込まれたミニコントの大爆笑で観客がひとつになっていく。破壊のMCでは、"氣志團、メジャーデビュー10周年おめでとうございます!実は俺たちもメジャーデビュー10周年なんです"と意外な事実も発覚。え、グループ魂と氣志團はロックンロール・ハイスクールの同級生!?ステージ上では着替えを済ませた、女子高生姿の港カヲルがミニコントを演じている。ミニスカートの下から見える真っ赤なパンティを見ながら、「グループ魂も氣志團もこの10年、誰も真似できない独自のスタイルを追求し続けて、ここで再び出会ったのだなぁ……」と、しみじみ思う(笑)。中盤クライマックスは、"ちょっと乾いてきたんじゃないですか?湿らせましょうか?"と始まった「くん兄さん vs アン姉さん」。♪くんくん くん兄 くん兄さん!と、日本一くだらないコール&レスポンスを会場中で大合唱する姿を見て、ここにいる人、全員バカじゃねぇの!?と大爆笑!このノリの良さには、"俺、(合唱は)しないと思ったよ!"と破壊も仰天。暴動が東北への想いを込めた渾身のギターソロを聴かせた「東北の魂」や、遅刻のサングラスを破壊するカヲルのマジビンタが爆笑を呼んだ「ストイックマン」のコーナーなど、一瞬も飽きさせない魂のステージ。名曲「竹内力」やハードコアなナンバー「パンチラ・オブ・ジョイトイ」に熱狂する観客に"いいな、今日はいいな!"とカヲルが笑みを浮かべる中、ライブは早くも後半戦。「ペニスJAPAN」では会場中が両手を挙げての♪ペニスJAPAN!コール。やっぱり、全員バカなのか!?(笑)ラストは激しいパンクロックに乗せて、真っ赤なTバックのカヲルが激しくフザケた「就職しやがれ!」でフィニッシュ!メンバーがステージを去った後も、破壊演じる"9代目中村屋華左衛門"がステージに登場し、三三七拍子で氣志團の10周年を祝う。爆笑を超えて感動さえ覚えた、凝縮された完璧なエンターテイメントショーに、フロアからは拍手が鳴り止まなかった。

続いて、後攻・氣志團の登場。ワイワイざわめく会場の空気を、けたたましいサイレン音とSE「BE MY BABY」がキリッと引き締め、メンバーが勇ましく登場。ランマの乾いたギターを合図に「房総スカイラインファントム」で演奏がスタート!魂ファンは楽しいことに正直な人や貪欲な人が多いのか、1曲目から魂のライブにも負けない盛り上がりを見せるフロア。ユッキの鳴らす突き上げるビートに体を揺らす人、必死で振り付けを合わせる人……対バンシリーズも10回を超え、安定した歌や演奏、パフォーマンスを見せる氣志團のリードで、フロアの熱量がどんどん上がっていくのが分かる。前半戦を熱く駆け抜けた所で、團長のMC。 "ここでメンバー紹介させてもらうぜ!"という珍しい展開に驚いていると、ユッキが挨拶の途中で、グループ魂「男、腐りかけ」の替え歌を歌い出すというコントに突入。意表を突いた展開に観客は大爆笑!ダハハ、ブッ込んできたなぁ!!(笑)その後も松、ランマ、光とボケまくるメンバーを黒の"氣"印スリッパでツッコみまくる團長だったが、最後は「竹内力」のメロディに乗せて、♪翔、翔、綾小路 翔!と自ら熱唱するという大オチで爆笑を呼ぶ。このゲストに対する愛情とおもてなしの精神、そして観客への過剰なサービス精神や笑いへの貪欲さも氣志團の凄さ!素晴らしいっ!!(笑)たっぷりフザケた後は、氣志團の硬派な部分、演奏や曲のカッコ良さをしっかり見せつける「木更津サリー」でガラッと空気を変える。ライブ中盤、異常なほどの盛り上がりを見せ、とびきりの拍手や歓声が上がったのは、特攻服姿で團長と光、微熱DANJIが歌い踊る「俺達には土曜日しかない」。アッパーな曲調と楽しい振り付け、分かりやすい世界観には氣志團のGIGを初めて見る人もどっぷり浸かっていた様子。"この曲のお陰で「木更津キャッツアイ」に出れたのかも知れません。「木更津キャッツアイ」に出てから、この曲の印税でたくさんの振込みがありました。元々、このCDの契約内容は――"と、團長が氣志團がまだ無名だった頃の思い出を言わなくて良いことまで語った「One Night Carnival」は、会場の隅から隅までの人が大合唱!様々な会場、様々なGIGでこの曲を演奏する姿を見ているが、やっぱり今も昔もストーリーや感動を生むのはこの曲。対バンシリーズでも指折りの盛り上がりぶりに、ピリオドの向こうが少し見えた気がした。

アンコールで再度、登場した氣志團。"ちょっと調子こいて、「GIGやればなんとかなる」と思ってたあの頃、一発で鼻を叩き折られたのがグループ魂。プロのエンターテイメントを目の前にして、「俺らなんか学芸会レベルだな」って思ったんだけど、「だったら、世界最高の学芸会を目指そう!」と考え方をシフトチェンジさせてくれたのもグループ魂でした"と、9年前の想いを語る團長に、会場からは温かい拍手が起きる。改めてグループ魂のメンバーを呼び込み、氣志團の演奏で始まったのはグループ魂「君にジュースを買ってあげる」。ただでさえ、この日一番のとんでもない盛り上がりを見せるフロアに、「君にファンタを買ってあげる?」と大量のファンタを投げ入れると、もはやフロアはカオス状態!さらに、♪きぃ〜さぁ〜らぁ〜づぅ! とサプライズ的に始まったのは、懐かしの「木更津キャッツアイのテーマ」。ステージ上もフロアもぐっしゃぐしゃになりながらニャーニャー盛り上がり、最後は石鹸が2年振りのバック転を決めてフィニッシュ!エンターテイメントでロックンロールするグループ魂と、ロックンロールでエンターテイメントする氣志團。9年ぶりの雪辱戦は、どちらもスコアボードに書ききれないほどの大量得点を決めたあげく、文句ナシの引き分け! 超絶な魂のぶつかり合いを見た後は、あまりの満足感にファンタしか飲めないくらいお腹一杯だった。

「ベルサイユからの転校生」

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氣志團 VS Takamiy

2011.08.22(MON) @Zepp Tokyo

麗しすぎる転校生・Takamiy登場!
FANTA BANDも乱入した、激しく華やかな宴

氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG第10弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜ベルサイユからの転校生〜」。今回ゲストに迎えたのは、麗しすぎる転校生・Takamiy!現在O.A.中、「FANTA」のCMではロックバンド"FANTA"メンバーとして、Takamiyと團長が共演。様式美を重んじるスタイルに共通点があるのか?ロックンロールの偏愛ぶりに共通点があるのか?なぜか近しい印象を感じさせる対バンは、異質にも思えるが不思議ではない組み合わせ。氣志團のGIGではあまり見かけない紳士淑女、外国人も目立つ会場。予想さえしなかった化学反応が生まれ、とんでもない夜になるのでは?と期待しつつ、開演を待つ。

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先攻は豪華バックバンドの演奏に乗せ、白を貴重とした華麗な衣装に身を包んだTakamiyがゴージャスに登場。"ハロー、トーキョー!アイムTakamiy、フロム・ベルサイユ!!"と麗しく挨拶するや、團長が歌詞提供した、「You in Eden」でライブスタート。へヴィなリズムとTakamiyを加えた4本のギターが織り成すギターアンサンブル、そしてTakamiyのハイトーンボーカルが観客を圧倒! フロアはヘドバンの嵐!!会場を震わす重厚なメタルサウンド、惜しみなく披露するギターの超絶プレイ。一流プレイヤーたちの演奏はロックバンドでありながら、オーケストラの演奏や極上のエンタテイメントショーを見ているような気分にもなってくる。これ、極東ロックンロール・ハイスクールですよね?(笑) サングラスを外したTakamiyが不適な笑みを浮かべ、しっとり始まったのはアン・ルイス「六本木心中」のカバー。激しさを増していく演奏、4人のギタリストのリレーソロに大興奮!中盤は「ヤッターマンの歌」、西城秀樹「ヤングマン」と、誰もが知る楽曲のメタルカバーが続き、YMCAの振り付けを合わせるなど、一体となって盛り上がる会場。圧巻だったのは、坂本冬美「夜桜お七」のカバー。刀を振りながら、艶っぽくもたくましく叙情的なボーカルを聴かせるTakamiyと、独特のメタルアレンジで重厚かつ壮大な演奏を聴かせるバンドサウンドが見事に噛み合った、和洋折衷な世界観は独創的すぎる!ラストは高音シャウトや白熱のギター合戦に熱狂する観客が、<引っ越せ!引っ越せ!>と拳を上げる、最高にカッコ良くてバカバカしい名曲「騒音おばさん VS 高音おじさん」。最高潮の盛り上がりに興奮したTakamiyは"どうもありがとう!"と、この日一番高い声を響かせてステージを去った。

ゴージャスさには欠けるが、日本で最も気高く気品ある衣装・学ランに身を包んで登場した後攻・氣志團。Takamiyバンドにも負けない……と思う、氣志團の誇るスーパーギタリスト・トミー&ランマの力強いギターアンサンブルで魅せた「木更津サリー」などで、戸惑う王子ファンの気持ちを少しずつ溶かしながら、自分たちのペースで前半戦を進めていく氣志團。"胡散臭い?分かってる。でも、王子もなかなかだぞ。渋谷を歩いちゃいけないって意味では、同じジャンルだと思ってる"と軽く失礼なMCで王子ファンの心をしっかり掴み、"ダンスタイムとシャレこもうぜ!"と「恋人」が始まる。明るく楽しい曲調やキャッチーなフレーズに体を揺らし、振り付けを合わせる王子ファン。氣志團の高音おじさん・ランマがボーカルを取り、しっかり気持ちを込めたハイトーンボーカルを響かせた「330」では、会場中から大きな歓声が上がる。GIG終盤、イントロのギターにどよめきが起きたのは、やはり氣志團の代表曲「One Night Carnival」。團長曰く、"体感枚数200万枚、実売枚数20万枚"のこの曲。世代を超えるどころか国境も越えていたようで、僕の近くで観覧していた外国人の観客も大熱狂!ラストは"高見沢さんが「この曲、マジでカッコいいね」って言ってくれた曲を聴いて下さい"と、「黒い太陽」を披露。共演してくれたTakamiyさんに感謝と敬意を捧げるように、熱く力強く演奏されたこの曲。楽曲に込めた想いが観客にも伝わったようで、最後はしっかり歌と演奏で会場中の心を掴んでフィニッシュ。MCや演出面、ギミックの部分ばかりが注目されがちな氣志團だが、やはり楽曲の良さや演奏力、伝えたい想いといったGIGに重要な物が土台にあるからこそ、それ以外の部分も映えるし、見る者の心を掴んで離さないのだということはこの日も実証されていた。

アンコールの声に再登場した氣志團。"とても緊張してました。凄いよね、ついに王子とやっちゃったよ!一生の思い出、スターダストメモリーになりました"と團長。"図々しいついでに、一緒にやりたいなって"とステージに呼び込んだTakamiyから"「黒い太陽」、生で聴いて感動しました"と絶賛されて赤面しつつ、"この方々も呼んじゃいました!"と呼び込んだのは、ロックバンドFANTAの谷村奈南、マーティ・フリードマン、くいだおれ太郎(光がコスプレした偽者。でも異常にクオリティ高い!)。ラストは氣志團+ロックバンドFANTAで、デビュー曲である、「Fantastic Love」を演奏。TVを見るような華やかで賑やかなステージに、観客も大喜び!僕はステージ上に並ぶTakamiyと團長の姿を見て、ロックスターに最も必要な条件"唯一無二の存在であること"が、彼らの最大の共通点であることを確信。異質にも思えた対バンが起こした科学反応は、予想さえしなかったハッピーエンディングだった。

「前戯なき戦い」

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氣志團 VS ユニコーン

2011.08.19(FRI) @Zepp Tokyo

前代未聞の師弟対決、掟やぶりのタイマンGIG!
氣志團の過剰な愛情表現がユニコーンを翻弄!?

氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG第9弾「極東ロックンロール・ハイスクール 〜前戯なき戦い〜」。ゲストに迎えたのは、氣志團の所属事務所の名誉顧問でもある奥田民生、そして氣志團デビュー時からのプロデューサーであった師匠・阿部義晴が在籍するユニコーン!!メンバー全員がユニコーンの影響を公言するなど、氣志團の音楽性を語る上でも決して外すことの出来ない、あまりに縁深いバンドとの掟やぶりのタイマンGIG。"氣志團はユニコーンの五番煎じ"なんて意地悪なことをいった人もいたが、氣志團だけでなく、日本のロックシーン全体に多大な影響を与えたレジェンドバンドにタイマンを挑むのは、並大抵の覚悟じゃなかったはず。前代未聞のガチンコ師弟対決、伝説の夜が幕を開ける!

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Zepp Tokyoをビッシリ埋める観客が胸高鳴らせて開演を待つ中、海援隊「贈る言葉」のSEで登場したのは先攻・ユニコーン。揃いの標準型学生服に学生帽というおマヌケな姿に会場中が大爆笑!温かい雰囲気の中、「ライジングボール」でゆったりとライブがスタート。息の合ったバンドアンサンブル、民生の豊かな歌声が一発で会場を包む!民生のギターリフで始まるR&Rチューン「頼みたいぜ」でフロアをガンガン踊らせ、フライングVを背負った阿部が陽気にブチアゲた「WAO!」で熱狂の渦を生み、そのめくるめく展開に会場がどんどんユニコーン色に染まっていく。いやぁ、さすがです!ここで民生から"Uc中学から木更津高校の氣志團先輩に命令されて来ました、ユニコーンです。来年から高校生で……"と挨拶があり、"あ、中3設定だったのね"と理解(笑)。テッシーが歌とギターで魅せる「手島いさむ物語」、楽器を持ち替えての演奏とEBIと川西による"甲殻類"のラップが楽しい「さらばビッチ」など、自由で遊び心満載なライブ展開に、笑顔と興奮が溢れる会場。従来のロックライブの規格に収まらない演出や構成、メンバーの個性を生かした魅せ方なんてのも、ユニコーンと氣志團の共通項かも知れない。「SAMURAI 5」では阿部がボーカルを取って大活躍!メンバーとアドリブでMCを交わし、"あなたのスピード、やばくな〜い?"を掛け声に曲が再開するお約束の下りでは、前回のthe telephones戦で團長が語った"「One Night Carnival」の歌詞にある、<Can you master,baby>ってどういう意味?問題"が話題に上がり会場を沸かす。"「お前、レコーディングの場にいたろ?"と民生から的確なツッコミが入りつつ、その真相は團長に託されることに(笑)。"あなたのスピード!""やばくな〜い?"の掛け合いで一気に駆け抜けたこの曲から、ライブはクライマックスへ。ラスト、聴きなれたイントロで始まったのは「大迷惑」。これには会場、大爆発! メンバー、大暴走!余裕と貫禄のステージングで魅せて、最後はガッツリ盛り上げて去っていくユニコーン先輩。カッコ良すぎます!!

ユニコーンの圧倒的なステージに場内のざわめきが収まらない中、後攻・氣志團のステージがスタート。メンバーの鋭く凛々しい表情からも、十分な気合いを感じたこの日。強烈な勢いと疾走感ある滑り出しに、ユニコーンファンも大興奮!焦りや緊張も一切感じさせぬ堂々としたステージングで、GIG序盤から観客をグイグイ引っ張っていく氣志團。"おい、誰が信じたよ?ただの田舎モンだった俺が今、ユニコーンと対バンしてるぜ!?"と、夢の実現に改めて感動する團長。気持ちを切り替えて、"次は俺たちにとって大事な曲。今年、色々と大変なことが起きてる中、俺たちにも何か出来ないか?って。師匠・阿部義晴さんにお願いして、参加してもらいました"と、東日本大震災復興のために制作した緊急無料配信ソング「スタンディング・ニッポン」を披露。続く「黒い太陽」は氣志團のデビュー作となるVHS作品"氣志團現象三部作"にも収録された、阿部義晴と出会い、初めて一緒に作ったという氣志團にとって思い出深い楽曲。その想いを込めた演奏に大感動……のはずだったのだが、團長の台詞部分で突然、演奏が中断。トミーの"え、なんて言ったの?"の台詞から見たことあるミニコントが始まり、"あなたのスピード!""やばくな〜い?"の掛け声で始まったのは、ユニコーンの「SAMURAI 5」。ダハハハ、面白すぎるだろう!!予想もしなかった展開に会場は大盛り上がり。僕は爆笑しながら、こんな愛情表現もあるのか!と感動してしまった。演奏後、"さっき仕込んだ割には上手くいったな"と團長がニヤリ(笑)。さらにランマがボーカルを取って、ユニコーン「SUGAR BOY」のカバーを披露するなど、この日はユニコーンへの過剰なほどの愛を感じる演出が満載。「One Night Carnival」の曲中MCでは、ついに"<Can you master,baby>ってどういう意味?問題"の答えが團長から語られる。10年間語られることの無かった秘話に、全員が納得&爆笑!謎が解明されてスッキリした所で、会場中が一体になってサビの大合唱!!ユニコーンにも引けを取らぬ盛り上がりを見せる中、本編が終了。

鳴り止まぬアンコールに再登場した、氣志團。"色んなことがあって、同じ時代にロックンロール出来て、一緒のステージを踏むことが出来ました"と感慨深そうに語る團長。考えてみれば、氣志團がデビューした10年前、ユニコーンというバンドは存在しなかったわけで。團長の気持ちも十分伝わってきたし、この奇跡のような瞬間に居合わせられたことを本当に嬉しく感じた。"せっかくだから、7年ぶりに師匠と一緒にやりたいと思います"と、阿部がランマのサポートでステージに立った、東京ドーム公演以来となる氣志團+阿部義晴で、ユニコーン「スターな男」が始まる。阿部の痛快なキーボードに乗せて熱唱する團長と光。するとそこにユニコーンのメンバーが次々と現れ、それぞれが楽器を奪って演奏を始める。結果、ユニコーンの演奏で氣志團が「スターな男」を熱唱するという演出に会場は大盛り上がり!さらに、"この対バンについて、阿部さんから素敵なお言葉を頂きまして……あれ、なんて言ったんでしたっけ?"の團長のフリから、またミニコントの下りが始まり、苦笑する阿部の"あなたのスピード!""やばくな〜い?"の掛け声でまたもや「SAMURAI 5」が始まる(笑)。ラストはユニコーンのメンバーがひと言ずつ挨拶する中、阿部の挨拶に"え、なんて言った?"と團長がダメ押し。頭を抱えながらも阿部が掛け声を決め、この日4度目となる「SAMURAI5」を演奏!伝説の夜は大盛り上がり&大爆笑の中、大団円で幕を閉じた。

「Ring! Ring! 電話がRingin' Tonight!!」

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氣志團 VS the telephones

2011.08.17(WED) @LIQUIDROOM

ロックンロールとダンスが全員の心を繋いだ夜。
合言葉は「ONE NIGHT DISCO!」

氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG第8弾。「極東ロックンロール・ハイスクール 〜Ring! Ring! 電話がRingin' Tonight!!〜」のゲストは今、日本中を踊らせ、アゲまくる勢いを持つエレクトロ・ディスコロックバンド、the telephones!團長はMCでも"すごく一緒にやりたくて、すごく一緒にやりたくなかったバンド。この間フェスで見たら、お客さんが凄くって。とんでもなく魅力的で魔力的なバンドだと思います"とthe telephonesを大絶賛。開演前から「早く踊らせろ!」とばかりに、熱気と期待で溢れた会場の雰囲気もハンパない!どんな展開になるのか予想も付かない対バンではあるが、絶対楽しい夜になること、みんなが汗だくで踊る姿だけは容易に想像出来る。

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ステージ上のミラーボールが周り、勢いよく飛び出すようにメンバーが登場。石毛の"今夜は最高のディスコにしようぜ!一夜限りのONE NIGHT DISCO!! "の叫びで、先攻・the telephonesのライブがスタート。痛快な四つ打ちで「I Hate DISCOOOOOOO!!!」が始まるや、ストッパーが外れたかのようにフロアはモッシュ&ダンスの嵐!会場の熱量が急上昇する中、「Urban Disco」では銀ラメのシャツで踊りまくっていた人間ミラーボール・岡本がフロアにダイブ!激しくグルーヴィーなサウンドと、石毛のハイトーンボーカルも気持ちを煽りまくり、フロアはさらに熱狂の渦に包まれる!うひゃあ、この強烈にハイテンションでカオティックな空間はなんだ!?凄すぎる!! 「Baby.Baby.Baby」では土着的なビートやクラーベでコツコツとリズムを刻む岡本に、大きなかけ声を合わせる観客。フロアに円陣を組み、気持ちのままに手を打ち足を慣らし、髪を振り乱して踊るファンの姿に、僕はthe telephonesの音楽がバンドの歌や演奏に、観客のかけ声や手拍子、ダンスや会場の雰囲気が加わることで完成する音楽なのだと解釈。そして、そういう意味でも團長が話していた、"この対バンシリーズは、ライブに意味を持つアーティストに声を掛けた"という言葉に大いに納得した。"極東ロックンロール・ハイスクールに呼んでもらって、本当に嬉しいです。やってる自分でも異色だと思いますが、音楽ってそういうの関係ないですよね?"とMCで語る石毛。そんな気持ちが十分伝わる演奏やステージングにアガりまくるフロアを"こんなんじゃONE NIGHT DISCOにならないぜ?"とさらに煽った「SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!」では全員とステップ&ジャンプを決め、ラストは"サルになって踊ろうぜ!"と「Monkey Discooooooo」でバンドも観客も頭を空っぽにして踊り狂ってフィニッシュ。メンバーが去った後も一人ステージに残り、音と余韻に浸るようにいつまでもギターのフィードバックを鳴らし続ける石毛。それを静かに見守るファンの姿も妙に印象的だった。

まだthe telephonesの熱気が残る中、風格や貫禄さえ感じる演奏とステージングで、一気に観客を自分たちの世界へと引き込んだ、後攻・氣志團。その迫力に最初は圧倒されていたthe telephonesファンも、氣志團のダンスロックナンバー「Baby Baby Baby」のビートに自然と体を揺らし、拳を上げる。♪da da da da di da!と振り付けを合わせ、フロアに笑顔が溢れたこの曲だが、團長の痛切なボーカルやトミーのギターソロは心もしっかり揺さぶったようで、演奏後は会場中から大きな拍手が起きた。MCでは"今日はONE NIGHT DISCO。the telephonesから受け取ったバイブスをそのままに、ここをダンスフロアにするぜ!"と宣言し、喝采を浴びた團長。光の鳴らすティンパニーで始まった、今の季節にピッタリのちょっぴりセンチなサマーチューン「You & Me Song」でしっかり雰囲気を作り、歌や演奏だけでなく観客と共に歌い踊ることで完成する「俺達には土曜日しかない」で大きく盛り上げ、会場をダンスフロアへと変えていく。そして熱気に溢れる会場を最高潮まで盛り上げたのは、やっぱり氣志團のディスコロックチューン「One Night Carnival」。"異色の組み合わせに思えるかも知れないけど、the telephonesにはとってもシンパシーを感じていて"と曲中に語った團長。ラストは♪ワンナイト・カーニバル、ディスコ〜! 唇っ!!と歌詞を変えて全員で大合唱!表現方法こそ違えど、音楽を通じてそこにいる全ての人を巻き込んで、最高にハッピーな空間を作りたいという根本的な部分は、両バンドとも変わらないのだ。

アンコールでは両バンドのメンバーが石毛を真似た唇型サングラスで登場。團長の"今夜の合言葉は、ONE NIGHT DISCO!"のかけ声で、氣志團の演奏による「Love & DISCO」がスタート!團長と石毛のツインボーカル、ステージ上で楽しそうに歌い踊りまくるthe telephonesのメンバー。フロアには再び巨大な円陣が出来て、キッシーズとthe telephonesのファンが一緒になって踊り狂っている。こんなのもう、氣志團とthe telephonesだけでなく、会場にいる全ての人のセッションだよ!!とんでもないお祭り騒ぎと笑顔と熱気に包まれる中、この日のGIGは終演。ロックンロールとダンスが全ての人の心を繋いだ最高の夜……いや、ONE NIGHT DISCOだった。

「なのはなダンシング・オールナイト」

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氣志團 VS ヒダカトオル

2011.08.09(THU) @LIQUIDROOM

これぞ、千葉のロックンロール頂上決戦!?
「なのはな体操」で沸き、「BE MY WIFE」で弾けた貴重で贅沢な夜

「極東ロックンロール・ハイスクール 〜なのはなダンシング・オールナイト〜」と名付けられた、氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG第7弾。迎え撃つのは、昨年9月に自身のバンド・BEAT CRUSADERSを散開した、ヒダカトオル。現在はMONOBRIGHTのギタリストとして活躍するほか、ソロ名義でバンドや弾き語りで活動を行っているヒダカ。僕の記憶が確かならば、両者が対バンという形で同じステージに立つのは、01年のBEAT CRUSADERS「FORESIGHTS」レコ初ライブ以来10年ぶり。当時、インディーズシーンで大きな話題を集めていた、お面と学ランの直接対決をドキドキしながら見守ったのをよ〜く覚えている。10年のキャリアをもって、再び同じステージで相まみえる両者。果たして、その軍配は!?

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先攻、ヒダカトオルは5人のサポートメンバーを加えた、バンド形式で登場。長ランにサングラス姿のヒダカ含め、学ランに真っ赤なセーラー服とメンバー全員が80'sツッパリスタイルで統一。その意表をついた姿に観客が沸く中、横浜銀蝿「ツッパリHigh School Rock'n Roll登校編」のカバーという意表を付いた選曲でライブがスタート!ノリノリでモンキーダンスを踊り歌うヒダカ。"こんな田舎でツッパリやってる俺たちもアホだけど、お前らもアホ。どうせアホなら踊らにゃソンソン!"と続いて始まった、BEAT CRUSADERS時代のYOUR SONG IS GOODとの共作「FOOL GROOVE」では、観客のダンスでフロアが揺れる。痛快なギターリフで始まった「HIT IN THE USA」では会場中がハンドクラップ!高速パンクナンバー「DAY AFTER DAY」ではモッシュ&ダイブの嵐!序盤から最高潮の盛り上がりを見せる会場に、"今日は翔やんに手ぇ抜いてくれって言われたけど、全力でやります!千葉の話しかしないし、BEAT CRUSADERSの曲しかやりません!! "とヒダカ。なんたるサービス精神!そして、なんたる大人げ無さ!!(笑)予告通り、中盤もBEAT CRUSADERSのキラーチューンを次々と畳み込み、フロアをアゲまくるヒダカ。ライブ終盤にさしかかり、"バンド界の重鎮をお呼びしました!"とステージに呼び込んだのは、吉村秀樹(bloodthirsty butchers)。"先輩、めちゃくちゃ怖いんですけど……"とヒダカも震えた学ラン姿の吉村は、リアル「魁!!男塾」といった感じ(笑)。吉村の厳つくも優しいノイズギターとヒダカの感傷的な歌声が融け合ったThe La's「There She Goes」カバー、「SUMMEREND」でガッツリ聴かせた後は、会場中を巻き込んでの「BE MY WIFE」の大合唱で濃厚で熱過ぎるライブをフィニッシュさせた。

相撲でいうところの"可愛がり"に近い、ヒダカの強烈なステージに続いて、後攻・氣志團が登場。ランマの鋭いギターで始まり、抜群の演奏力と迫力のバンド・サウンドで聴かせるインストナンバー「ゴッド・スピード・ユー!」は、氣志團のGIGをインディーズ時代から10年以上支え続けてきた楽曲。あの頃より確実に成長し、パワーアップした演奏とパフォーマンスに、この日も氣志團を初めて見るであろう観客がどんどん惹かれていくのが分かる。GIG序盤から大きな盛り上がりを見せるフロアだが、「キラ キラ!」では、まだ物足りないとばかりに"こんなもんじゃねぇだろ、この野郎!"と観客を挑発しまくる團長。胸掻きむしるランマのギター、その高ぶる気持ちを開放するような会場中の「ワーーッ!」の叫びでステージとフロアの歯車がガッチリ噛み合うと、いよいよGIGがフルスロットルで回り出す。"木更津からやって来た、俺たちが歌うぜ!"と始まったのは「木更津サリー」。ヒリヒリしたロックンロールと團長の感傷的なボーカルがいつでもあの頃の記憶を思い出させてくれるこの曲だが、この日はヒダカのライブを見た後だけに80年代の千葉の原風景を想像させた。もちろん見たことないけど(笑)。そんな見たこともない原風景までも共有させてくれるのが音楽であり、ロックンロールなのだ。この日、観客に向かって"音楽を愛してくれて、本当にありがとう"と何度も繰り返していた團長。反対に氣志團の音楽への愛情や強い気持ちも観客にしっかり伝わったようで、ランマの力強く透明感ある歌声やコーラスワークも美しい、氣志團のギターPOPナンバー「サイバーシティ」や、ロックンロールへの熱い想いを歌や演奏に全力で込めた「MY WAY」は会場中を釘付けにさせ、観客の心と体を激しく揺さぶった。

アンコールで再登場した團長。「まず、今回のサブタイトル"なのはなダンシング・オールナイト"とは何ぞや?」と、ラジオ体操に対抗すべく、80年代に千葉県内に広められた県民体操"なのはな体操"について説明。千葉県民であろう一部の観客が大爆笑する中、ステージには"なのはなボーイズ"が登場。観客と共に、なのはな体操を実演することに。チープなテクノポップサウンドに乗せて、なのはな体操を元気に踊り切るノリの良い観客だったが、"これをもって、アンコールと変えさせていただきます"の言葉にはブーイング(笑)。改めてヒダカとお面姿の氣志團メンバーを呼び込み、BEAT CRUSADERS「BE MY WIFE」をセッション! 光、微熱DANJI+コレステもチアガール姿で登場して会場中がお祭り騒ぎの盛り上がりを見せる中、氣志團の力強い演奏とバック・ボーカルに乗せて、ヒダカがビシッと歌い上げてフィニッシュ!! 演者と観客が大きな笑顔を浮かべる中、大団円でGIGが幕を閉じた。ここでしか聞けない千葉のロックスター・ジャガー話なども含め、互いの過剰なサービス精神に溢れた、実に貴重で贅沢な夜だった。10年後、もう一度再戦を!(笑)

「ジャイアン VS ブタゴリラ」

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氣志團 VS NIGHTMARE

2011.08.01(MON) @SHIBUYA-AX

"お前の物は俺の物"とは言わせない!
愛とリスペクト、意地と緊張に溢れた真夏の悪夢!?

「極東ロックンロール・ハイスクール 〜ジャイアンvsブタゴリラ〜」と銘打たれた、氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG第6弾。仙台のジャイアンこと、ナイトメアを迎え撃つのは、木更津のブタゴリラ・氣志團。プライベートでは以前から交流が深かったという彼ら。両者の念願叶っての対バンは、ここまでのシリーズの中でも屈指の好試合!愛とリスペクト、そして"お前の物は俺の物、俺の物は俺の物"とは言わせない!という意地や緊張感に溢れた互いのステージは、ひとつの理想型とも言える対バンGIGの形を見せてくれた。

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先攻はナイトメア。SE「おれはジャイアンさまだ!」で登場したのは、白ラン姿のメンバー5人! YOMIが"オラ〜ァ、AXぅ〜!!"と気合いを入れ、1曲目「ジャイアニズム天」が始まる。地鳴りのようなリズム、ギュンギュンうなるツインギターに乗せて、YOMIのハイトーンが♪ホゲ〜!とではなく、艶っぽく伸びやかに響く。フロアにヘッド・バンギングが激しく波打つ中、「a:FANTASIA」〜「Mr.trash music」と勢いある曲を畳み込み、攻撃の手を緩めないナイトメア。"仙台のジャイアン、ナイトメアです!"の挨拶に、すでに湯気が上がるほど熱気だってる会場から、大きな歓声が挙がる!と、"氣志團と対バンしたら、全部持っていかれちゃうんじゃないか?と不安がありまして。今日は学ランで揃えてみました"白ランに込めた気合いを語るYOMI。よく見ると、各自の学ランの形状や着こなしにまでこだわりの見える徹底ぶり! へヴィにダークにダンサブルに、強靭な演奏と雄々しく憂いある歌声で作りあげる世界観に両バンドのファンがどんどん魅了され、さらに熱を帯びていく会場。真っ赤な照明にサイレンが鳴り響く中、YOMIがさらし姿で熱唱した「Яaven Loud speeeaker」は中盤のクライマックス。演奏中、YOMIが咲人に乳首をつままれ、"ステージで乳首をつまむヴィジュアル系なんて、僕らだけだと思います"なんてお茶目なMCも挟みつつ。「trauma」では会場を飲み込む壮大なサウンドで観客を圧倒。"かかってこいやぁ!"と大きく煽り、始まったのはラスト「極東乱心天国」。観客を振り落とさんばかりの勢いで攻めまくる歌や演奏と、頭を振り乱して食らい付く観客。その光景はまさに乱心!偶然か必然か、"極東"と名の付いた楽曲はこの日、このタイミングで演奏されるのにピッタリすぎる曲だった。

そして後攻、氣志團。ステージ転換中にBGMでかかったナイトメア楽曲にヘドバンが起こるほど熱かった伊達姫と伊達漢(ナイトメア・ファン)たち。氣志團が始まったらクールダウンしてしまうのでは?といらぬ心配もしたが、ランマのギターで始まり、一音一音確認し合うように力強く丁寧に演奏する「房総スカイライン・ファントム」から、早くも会場には一体感のようなものが生まれている。「木更津サリー」では、さっきまで頭を振り乱していた伊達姫、伊達漢がキッシーズと一緒に必死で振り付けを合わせている!観客の想いが伝わったのか、ほどよい緊張感も持ちながら、AXの広いステージで堂々とのびのびしたパフォーマンスを見せる氣志團。"すげぇ分かってる、大丈夫!これはお前らの優しさの上に成り立ってる夢なんだろ?俺たちが木更津のブタゴリラ、氣志團です!"と、團長も会場の一体感に興奮と喜びが隠せない様子。余計なことまで喋りまくったMCで心掴んだ後は、氣志團の高速ナンバー「D×D×D」でアゲまくる。熱狂に包まれたフロアはもはや、どちらのファンとか関係ナシ! へヴィで痛快なロックンロールに乗せて観客のタオルがカラフルに舞い、ひとつになって突風を起こす!! "ナイトメアのライブを見てホント凄すぎて、楽屋の隅で震えてた。正直、帰りたかった"なんて弱音も吐きながら、ナイトメアの圧倒的なライブや観客の異常なほどの盛り上がりに触発され、いつも以上にパワフルで勢いのあるステージを展開する氣志團。ホストとゲスト、そして両者のファンがガッチリ三つ巴で噛み合って、最高の空間を作ったこの夜は、まさに対バンの理想型!♪ワン・ナイトメア・カーニバル!と歌詞を変えて歌った「One Night Carnival」では会場中を巻き込んで、とびきり大きな合唱が起きた。

アンコールではナイトメアのメンバーも呼び込み、"お互いがリスペクトしてるバンドの曲を……"と、総勢11人にも及ぶ大所帯バンドでLUNA SEA「ROSIER」を演奏。ギター×4、ベース×2の重厚な演奏に乗せて、肩を寄せて歌う團長とYOMI、間奏では光もマイクを取ってバシッとキメる。演奏を終え、本当に楽しそうな笑顔で手を取り合い、観客に挨拶する11人。悪夢(ナイトメア)どころか、たくさんの幸福が溢れた最高の夜だった!

「ツッパリHigh School Rock'n'Roll (不登校編)」

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氣志團 VS 神聖かまってちゃん

2011.07.27(WED) @LIQUIDROOM

神聖かまってちゃんvs平成こまったちゃん、 問題児同士の譲れぬプライドを賭けたガチンコ対決!

氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG第5弾。今回のゲストは、シーンを賑わす時代の寵児・神聖かまってちゃん。「極東ロックンロール・ハイスクール〜ツッパリHigh School Rock'n'Roll(不登校編)〜」と名付けられたGIG。誰が付けたか、裏タイトルは"神聖かまってちゃんvs平成こまったちゃん"(笑)。同じクラスなら絶対仲良くならないであろう、タイプの違った問題児の初顔合わせ。展開の見えない対バンではあるが、ロックンロールが鳴り止まない、熱い夜になることは間違いナシ!

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先攻は神聖かまってちゃん。SEが流れてメンバーが配置に付く中、ノートPCを片手に実況しながら、の子登場。自分ちみたいなグダグダ感……おっと、リラックスした雰囲気から、「レッツゴー武道館っ!」でライブがスタート。「美ちなる方へ」や新曲「グロい花」で音の波に浸ってると、思考の向こう側に連れて行かれる錯覚に陥る。"最近、三つ編みにしたんです"なんてどうでもいいMCや、"次にやる曲は本当に決まってないんです"なんてMCを挟みつつ、「天使じゃ地上じゃちっそく死」では、へヴィなサウンドに乗せて、<死にたい><もういやだ>とドロドロした内面を吐き出すの子。印象的だったのは、それに対する観客の反応。みんなで合唱するでもなく、腕を振りあげるでもなく。小さく口ずさんだり、体を揺らしたり、会場中が沸く熱狂こそないが、それぞれがそれぞれのスタイルで楽しんでいる。歌や演奏を個々で受け止め、共有する中で生まれていく不思議な一体感。次に演奏する曲を決める際に無言が続き、"無言になってこそが、本当の友達なんです"と言ったの子の言葉は、真意を掴んでいるような気がした。しかし、そんな僕の甘っちょろい解釈をぶち壊してくれたのが、持ち時間ギリギリになり、"あと2曲"と宣言して始まった「あるてぃめっとレイザー!」。真っ赤な照明とノイジーなサウンドがカオティックな雰囲気を醸し出す中、の子、そしてmonoがフロアにダイブ!の子がマイクを取って大絶叫!!ラスト「通学LOW」を歌い終えた後も興奮冷めやらないようで、「まだやらせろ」とばかりに、一人ステージに居座るの子。何度もギターを取ろうとするもスタッフに止められ、最後は抱えられたまま強制退場!「彼らの言動を見逃すわけにいかない!」と、神聖かまってちゃんを熱心に追っかけるファンの気持ちも分かる気がした、デタラメなエンディング。ダハハ。こんな終わり方、あるか!(笑)

後攻、緊張感ある演奏で、会場の雰囲気をガラリと変えた氣志團。「キラ キラ!」で"腹から声出せ!""こんなもんじゃねぇだろ?"と團長が観客に檄を飛ばし、光の煽りで会場中が拳を突き上げる氣志團のGIGのノリは、かまってちゃんと面白いくらいに対照的。まさに陰と陽。それぞれの個性や魅力があまりに際立つステージに対バンGIGの醍醐味や面白さを感じていると、團長が"かまってちゃん、見てただろ?あんな無茶苦茶やられたら、燃えるしかねぇだろ?帰り方とか、俺がネタでやってたことを本気でやってるんだもん!!"と、かまってちゃんのステージに受けた衝撃と嫉妬を告白(笑)。"男の子なら、すげぇ喧嘩強いヤツに会った時、尻尾巻いて逃げるか、全力で立ち向かうかだろ?"と全力で立ち向かう覚悟を語り、松のクールなベース・ラインで始まる「高校与太郎組曲〜喧嘩ボンバー〜」では、氣志團流のロックンロール・マナーで喧嘩を挑む。團長と光が学ランから特攻服に着替え、バイクのエンジン音でけたたましく始まった「俺達には土曜日しかない」で、お祭り野郎・氣志團のペースや雰囲気にどんどん巻き込まれる観客。それでもまだ、自分に篭る観客をちょっとだけ外に引っ張り出したのは、やはり「One Night Carnival」。この曲を書いた、氣志團がまだ何でもなかった時代のエピソードや、"色んな夢を叶えてくれたのがこの曲でした"と正直な想いを語る團長が、タイプの違う問題児である神聖かまってちゃんと、当時の氣志團を重ね合わせているように思えたのは深読みしすぎか?

アンコールでは、團長が「この曲を聴いて"凄い人たちがいるな!"と思った」と、神聖かまってちゃん「23才の夏休み」をカバー。かまってちゃんのメンバーを呼び込むも、一人だけステージに現れないの子。"歌うも歌わないも自由じゃないか!"と演奏が始まり、團長との子以外のメンバーで歌っていると、曲の中盤での子の歌声が聴こえる。ステージ袖にいるであろうの子に、フロアから"の子コール"の大合唱が起きるも結局、の子はステージに現れず。そして後半、マイクを通して、"俺はこういうな、なんか無理矢理すんのはキライなんだよ、このやろー、劔(の子をステージに連れ出そうとした、神聖かまってちゃんのマネージャー氏)ふざけんなこのやろー、てめーこのやろー、このやろー"という、の子のぶちギレた声が(笑)。互いのプライドを決して譲り合わず、それぞれのロックンロールを鳴らしたこの夜は、ある意味伝説。交わるはずない者同士が、最後まで交わらずに終わるのも、ガチンコだからこその面白さなのだ!

「中学まではまともだったのに。」

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氣志團 VS Plastic Tree

2011.07.13(WED) @Shibuya O-EAST

中学まではまともだった千葉のロックンロールバカたちが、 長く待ちわびたこの夜に起こした奇跡とお祭り騒ぎ!

氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG第3弾。番外編として打たれた、GLAYとの仙台での大一番を経て、再び東京で開催された今回の対バンは、地元・千葉のおっかねぇ先輩・有村竜太朗率いる、Plastic Tree。「極東ロックンロール・ハイスクール 〜中学まではまともだったのに〜」のサブタイトルは、Plastic Treeのカバーでも知られる、Theピーズの名曲「バカになったのに」からの引用。團長もこよなく愛するするこの曲や、同郷であること以外はあまり共通点の見えない両バンドだが、実は双方ともにかなり昔から熱望していた、念願叶っての対バンだったそう。共に長く待ちわびたこの夜、一体どんな奇跡が待ち受けていたのか?

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青白い光の中、先攻となるPlastic treeのメンバーがステージに登場。力強くゆったりとしたギター・ストロークが響き、1曲目「理科室」が始まる。途切れそうな繊細さとたくましさを持つ、色気ある竜太朗の歌声に、もっともっとと求めるように手扇子を扇ぐ観客。MCでは、"やぁ、Plastic Treeです。暗い感じで始まってスミマセン。キッシーズのみなさん、海月のみなさん(プラトゥリファンの呼称)、よしなに"と笑顔を見せる竜太朗。アグレッシブかつ正確なリズムと鋭利なギター、胸締め付ける歌声で聴かせた「ザザ降り、ザザ鳴り。」、"渋谷、踊るよ!"とフロアを揺らしたダンサブルなチューン「うわのそら」など、レンジの広さと実力、凄みをしっかり見せ付けた中盤戦。メンバーの楽しそうに演奏する姿も印象的で、"渋谷で千葉祭りだ!"と始まったMCでは、正が♪そーれ踊った ヨイヨイヨイヤサー!と「千葉音頭」を歌い踊るほどの陽気さ!へヴィな演奏にヘドバンの波がうねった「Ghost」で始まった後半戦は、天井知らずで上昇していくフロアの熱気と白熱のステージに僕も大興奮。"我を忘れるほど楽しいです"と感想を漏らす竜太朗も、「ヘイト・レッド、ディップ・イット」で音の波に跳ねるように踊りまくる!千葉の先輩の本気と凄み、そして全力で楽しむ姿を見せつけた約60分のステージ。ラストは千葉を意識して、総武線を歌ったロックバラード「記憶行き」。会場中の拍手に包まれながら、メンバーは深々とお辞儀してステージを去る。

両バンドのファンに大きな拍手で迎えられて始まった、後攻・氣志團のステージ。念願叶っての対バンに賭ける気合いの現れか、仙台での番外編を経た影響か、堂々とした立ち姿や演奏に、いつも以上のたくましさや風格を感じさせる6人。トミーの力強いギターリフで始まったのは、「木更津サリー」。木更津の地名が入り、あの頃の情景や匂いを詰め込んだセンチなロックンロールが、今日は「記憶行き」への返答のようにも聴こえる。ランマのかき鳴らすギターで始まり、会場の空気を一変させたのは、「朝がくる度」。一般的な氣志團のイメージとは多少異なるクールな演奏や感傷的なボーカルは、GIGを初めて見る人を驚かせただろう。"(「カッコいい!」の黄色い声に)カッコいいとかいうな!海月ちゃんたちが凍りつく!初めまして。俺、お前らの大好きなPlastic Treeにすげぇ可愛がられてる後輩!!"と海月ちゃんに思い切り媚びた團長のMC(笑)。続いては竜太朗が地元にある千葉ルックの店員だった頃から知っていることを語り、"優しく見守ってくれねぇと、有村竜太朗が起こした事件の数々を白日の元に晒すぜ!"と脅迫。大人げないMCも最高だが、MCで振り向いた観客を歌や演奏でガッチリ掴むのも氣志團。盛り上がり必至の定番曲で盛り上げた後は、ランマがボーカルを取る「21世紀パラダイム」の幻想的な世界観で観客を魅了。「One Night Carnival」では、<♪やがて海が見える さみしがり屋たちの伝説さ One Night Carnival、アンモナ〜イト!>とPlastic Treeのアルバムをもじった歌詞だけでなく、ご丁寧にアンモナイトのポーズまで取る狡猾さで大合唱をうながす。

アンコールでは、イベントタイトルにもなったThe ピーズの名曲「バカになったのに」を氣志團が演奏。團長の呼び込みでPlastic Treeメンバーも登場すると、演奏がテンポアップ。楽しそうに歌い踊り、跳ね回る両バンドのメンバーと、異常なテンションで盛り上がる両バンドのファン。両バンドを融合させたのは、やはりこの曲だった!團長と竜太朗がツインボーカルで歌う姿や、笑顔でハイタッチ&抱擁する姿はなんだかとても感動的で、「バカになったのに」を一緒に口ずさみながら、この場に居合わせることが出来て良かったと心から思った。

「氣志團&GLAY Presents
極東ロックンロール・ハイスクール×Thank you for your love」

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氣志團 VS GLAY

2011.07.08(FRI) @Zepp Sendai

不安な毎日に安らぎや喜び、楽しみを届けたい。
GLAYと氣志團が仙台から贈る、愛と笑顔とロックンロール

東日本を襲った震災から4カ月。甚大な被害を受けた宮城県にあるZepp Sendaiで行われた、「氣志團&GLAY Presents 極東ロックンロール・ハイスクール× Thank you for your love」。震災後、初めて訪れた仙台の街は予想以上に活気があって驚いたが、GIG前に個人的に訪れた津波の被害にあった地域の光景には声も出なかった。"今こそ、日本に元気を与えたい、立ち上がる勇気を与えたい"と氣志團が開校した「極東ロックンロール・ハイスクール」。その考えに賛同して東日本大震災被災地支援企画「Thank you for your love」との共同開催という形で仙台公演を快諾したGLAY。開演を待つ観客の期待に満ちた表情と熱気を帯びた会場に、僕はこの企画を実現した氣志團とGLAYに敬服しながら、今夜が特別な夜になることを確信していた。

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「公私ともにお世話になりまくってる大切な兄貴たち」と團長が語るGLAYと氣志團の歴史は古く、02年に氣志團が初めての函館GIGを行った際、GLAYが乱入したのが初共演。03 年に氣志團が木更津で行った"氣志團万博"にGLAYがオープニングアクト(!)で出演したのが2度目。そして04年、木更津市民会館でのGLAYライブ「愚麗威現象」に氣志團がゲスト出演したのが3度目。「神様みたいな人たちと一緒のステージに立たせてもらって夢みたい」と團長がMCで語っていたが、"対バンスタイル"シリーズ番外編でもある今回は、遠慮ナシのタイマン勝負!

超満員の観客の絶叫に迎えられ、先攻で登場したのはGLAY。1曲目「誘惑」から、最高潮の盛り上がり!自然な笑顔を浮かべながら、圧倒的な歌声を響かせるTERU。とんでもない演奏と音圧で震えさせる楽器隊。バンドのスケール、観客のテンションと全てが規格外、ライブハウスの枠を超えてる!"あの日からみんな、色んな不安と戦いながら生きてきたと思うけど。少しだけでも安らぎとか喜びとか楽しみを伝えられるように頑張りますから"と会場のみならず、全国の人に届けるように語るTERU。"一緒に歌おうぜ!"と始まったのは「生きてく強さ」。幸福感溢れる会場、観客の合唱を両手を広げて受け止めるTERU。喜びだけでなく、不安や悲しみも受け止めるようなその姿と優しい表情には感涙。HISASHIとTAKUROの美しいギター・アンサンブルに息を飲んだ「風にひとり」。JIROが"楽しいね"と笑い、前半のボーカルを取った「SHUTTER SPEEDSのテーマ」。"もっともっと暴れようじゃないか、OK?"と沸かせた「Chelsea」でライブはクライマックスを迎える。ラストは"遠くにいても絶対、歌を通じて想いが伝わると思って作った曲を歌います"と、TERUのアコギの弾き語りで始まった「Thank you for your love」。この日に賭ける想いを注ぎこむような、熱く壮大な演奏とどこまでも真っ直ぐな歌声には、ただただ涙。"一緒に乗り越えていこうぜ!"の力強い言葉を残して4人がステージを降りた後、フロアからは"ありがとう!"の声がいつまでも聞こえていた。

GLAYのとんでもないステージが余韻を残す中、SE「BE MY BABY」で勇ましく登場した氣志團。「房総スカイライン・ファントム」で始まったGIGには、並々ならぬ気合いと緊張感を感じる。いつも以上に大きくキレの良い動きで振りを合わせる團長と光。演奏がグイグイと前に出る楽器隊。自らも奮い立たせるような前のめりなほどのステージングに、初めて観るであろう観客との距離がどんどん縮まっていく。ダンサブルなロックンロールに会場中が体を揺らした「BABY BABY BABY」で観客としっかり繋がったところで團長のMC。自ら緊張をほぐすように思いつきで喋り倒し、本調子になったところで"思いっきり飛ばしていくから、振り落とされんじゃねぇぞ!"と、「D×D×D」で問答無用に盛り上げる。タオル回しでフロアに乱舞する、氣志團の"みちのく魂"タオルとGLAYの"Thank you for your love"タオル。ランマのギターに乗せてGLAYとの想い出やこのイベントが実現した経緯を語り、"もっとビッグになって、氷室(京介)さんやEXILEみたいにコラボをお願いするぜ"と、團長が冗談交じりに夢を語って始まった曲は「愛 羅 武 勇」。強靭な演奏、光のシャウト、熱い想いを込めた團長の力強いボーカルが胸に響く。この日、デビューから10年のキャリアとスキルを注ぎ込んで、GLAYというモンスターバンドに真正面から立ち向かった氣志團。たくさんの愛と勇気とユーモアをもって挑んだGIGはGLAYファンの心を動かし、「One Night Carnival」では、それまでなんとなくで体を揺らしていた観客も振付けを合わせ、サビでは半強制的ではあったが、会場が大合唱でひとつになった。

大きな拍手と歓声で迎え入れられたアンコールでは、"俺たちの兄貴!"と氣志團がGLAYをステージに招き入れ、両メンバー合わせて10名の大所帯で、GLAY「グロリアス」をセッション!迫力たっぷりの演奏と贅沢すぎる光景で、ハッピーでハートフルな空気に包まれた会場。ラストは團長が"仙台のみんなとこの曲が歌いたかったんだ"と語り、ベガルタ仙台のサポーターソングとしても愛されている、氣志團「スタンディング・センダイ」をセッション。仙台から強い願いを込めて届けた愛と笑顔とロックンロールが日本中の拳を握って戦う仲間たちに届き、生きてく強さになることを信じたい。

「屋上桟敷の人々」

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氣志團 VS 毛皮のマリーズ

2011.06.28(TUE) @Shibuya O-EAST

ロックンロールの神様による小粋なイタズラで、交わるはずの無い2人のボーカリストが奇跡の共演!

氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG第2弾。「極東ロックンロール・ハイスクール 〜屋上桟敷の人々〜」と銘打った今回のゲストは、團長が「楽曲から滲み出るロック愛にシンパシーを感じ、志摩くんのカリスマ性に嫉妬する」と語る毛皮のマリーズ。

SE「愛の賛歌」をバックにライティングされたドラムセットが暗闇に妖しく光り、雰囲気たっぷりで始まった先攻・毛皮のマリーズのGIG。タイトなリズムと強烈なギターで「BABYDOLL」が始まり、ボーカル・志磨が登場するとフロアから歓声が上がる。しなやかに動き回り、観客に投げキッスするセクシーな姿は、男の俺でもクラクラしちゃう!

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妖しくへヴィにスウィートにめくるめく景色を変えていく変幻自在なロックンロールサウンドと、胸に絡みついて離れない志磨のボーカル。フロアの盛り上がりを見ていると、初めて観る観客も一曲ごとに彼らの耽美な世界に引き込まれていくのが分かる。"僕らと氣志團の共通項、翔やんになぜ呼ばれたかが僕には分かります。この曲を氣志團に捧げます"と始まったのは「Mary Lou」。僕にその答えは分からなかったが、気持ちいっぱいに演奏するこの曲には激しさと無邪気さ、愛や優しさといったロックンロールに必要な物が全て詰め込まれていた。"集まった約38人のマリーズメイニア(志磨談)"だけでなく、キッシーズからも合唱が起きた「ビューティフル」。イントロで"♪スタンディング・ニッポ〜ン! なんちゃって"と照れながら氣志團への愛情を伝えた「コミック・ジェネレイション」で大いに盛り上げ、ライブ終了。

後攻・氣志團のGIGは「房総スカイライン・ファントム」〜「雷電」と黄金パターンでスタート。ド頭からキレのある動きと抜群のコンビネーションで魅せる團長と光、圧倒的な勢いと強靭な演奏でビビらせる演奏陣。ヤバい。ワンマンGIGツアー「ロックンロール・プリスクール」を経て、氣志團のGIGがこの短期間で確実に進化している!"お前ら全員と必ず行ってみせるぜ、ピリオドの向こうへ!"と観客を煽り、攻撃的な演奏とタオル回しで突風を吹かせた「D×D×D」。対バンシリーズに賭ける意気込みと毛皮のマリーズへの想いを真摯に語り、"今出来ることは、思いきり心を込めて歌うこと"と熱い歌と力強い演奏で聴かせた「愛 羅 武 勇」は中盤のクライマックス。盛り上がり必至の「恋人」、「愛してナイト!」で雰囲気をガラッと変えた後半戦。「One Night Carnival」ではキッシーズの合唱に戸惑うマリーズメイニアを目ざとく見つけ、半ば脅迫的に合唱を強要(笑)。結果、会場中を巻き込む強烈な盛り上がりが生まれたところで本編終了。

アンコールでは光が指揮棒を振り、「朝焼けBANZAI」を披露。対バン相手によってGIGの構成や魅せ方を変化させ、氣志團の色んな側面が見えてくるのも対バンシリーズの面白さのひとつだが、この日は毛皮のマリーズに楽曲の良さや演奏力が際立つ選曲が多く、氣志團はすてごろでタイマンに挑んだ印象を受けた。アンコールラストでは、毛皮のマリーズが"氣志團に捧げます"と演奏した「Mary Lou」を愛情たっぷりにカバー。ここで両者の想いが通じ合ったのか、ステージ上には志磨と越川が登場。團長と志磨が肩を並べて歌う「ボニーとクライドは今夜も夢中」で、GIGは大団円を迎えた。ロックンロールの神様に見染められた、タイプの異なる2人のボーカリスト。神様のいたずらか、作為的な力が無ければ交わることがなかったであろう両者が向かい合うステージからは、こぼれるほどの愛が溢れていた。

「放課後の道化師達」

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氣志團 VS ニューロティカ

2011.05.09(MON) @渋谷CLUB QUATTRO

ロックンロールを愛して止まない男たちが"最強"のライブバンドを迎え、意地とプライドを賭けたガチンコ勝負に挑む、氣志團"THE対バンスタイル"シリーズGIG「極東ロックンロール・ハイスクール」が開校!

第1弾のゲストは氣志團が多大な影響を受けたと公言する、ニューロティカ先輩。10年来の長く深い仲だけに、アットホームで楽しいGIGになるだろうと思いきや、先攻のニューロティカがゴングと共に猛ラッシュを仕掛ける!

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「DRINKIN' BOYS」で登場したのは、ひと二人分はある巨大あっちゃん。圧倒的なステージングで会場の盛り上がりはいきなり最高潮!!新旧織り交ぜた最強ナンバーを容赦なく叩きつけ、観客を飲み込んでいく様はまさにライブハウス・モンスター!普段はややウケなあっちゃんのMCも冴えまくり、笑って燃えて泣ける凄まじいライブは、大先輩の貫録を十分見せつける「飾らないまま」でフィニッシュ!

後攻で登場した氣志團は「Let's DANCE」「湾岸夜想曲〜ルシファーズ・ハンマー'94〜」でGIGスタート。先輩からの重圧もあってか、ステージを包むヒリヒリした緊張感。ライブハウス時代を思い出す團長の鋭い眼光も鳥肌もの。先輩への最大級のリスペクトを感じた「こんなもんじゃねぇだろう1」のカバー、「D×D×D」、「330」といった久々な曲も嬉しい限り。團長がロティカへの愛と嫉妬を語ったMCでは「俺、どうやってもデカくなれなかったんだよ!」と敗北宣言(笑)。

「One Night Carnival」、「愛 羅 武 勇」で盛り上げ、アンコールでは「スタンディング・ニッポン」も披露。星条旗ラン姿のニューロティカとのセッション「絶対絶命のピンチに尻尾を高く上げろ」では俺、楽しすぎて号泣。「極東ロックンロール・ハイスクール」はこんな時代だからこそ必要な愛と熱気、そして笑顔に溢れた最高の幕開けとなった。